【第三小説】
浩介は「さあ、淳子。窓側の一番前の籍のところまて行け。そこに雑巾と水の入ったバケツがある。
淳子は、浩介を背中に乗せて、四つん這いになって、窓側まで歩いた。水の入ったバケツの横に雑巾が
置いてある。
「雑巾を水に浸して、濡れぞうきんでの床掃除、はじめろよ、淳子」
淳子は、背中に77キロの浩介を乗せたまま、バケツの中に片手で雑巾を突っ込んで
水に浸し、水に浸した雑巾を取り出した。しかし、片手は床に突いてないと四つん這いの姿勢を
支えられないので、びしょ濡れの雑巾を搾れない。
浩介はそれに気づき「なんだ、雑巾を搾れないか。だったら、搾らなくていいよ。その濡れ雑巾で
床拭きやれよ」
淳子はびしょ濡れの雑巾の上に両手を突いて、雑巾がけを始めた。
両手がびしょ濡れなのは仕方ないとして、両足も、ひざを床についているので、
ハイソックスと上履きもびしょ濡れになってしまった。
浩介は、「床がびしょ濡れだなあ」と言って、自分の両足を上げて、淳子の両肩
の上に乗せた。デブちん浩介の太い足の重量が肩に乗ったので両腕への荷重が増し、
淳子の雑巾がけは、すごくやりづらくなったのだが、乗ってる浩介は、
「おお、この座り方が気持ちいいなぁ」と、肩に乗せた両足をぶらぶら動かした。
淳子は無言で、両手両足をびしょ濡れにしながら、四つん這いで前進していた。
そのうちに、雑巾の水分も少なくなり乾きぎみになってくる。
すると、浩介が「そろそろ、一度、雑巾濡らしに行くか、ホイ、じゃあ、バケツのとこまで行こう行こう」
淳子は四つん這いで、バケツまで移動。
浩介は「おおっ、雑巾がけしながらでなければ、こんな速く歩けるんだ、いいねぇ〜」と。