朝から矢を打ち続けていた。しかし、未だに鈴の音は響いていなかった。
 (ノルマを厳しくしすぎたかも・・・)
 何かに取り付かれた様に、今の状況を作り出した私は少し後悔をし始めていた。
 次第に気温が高くなり、ラバースーツの内側はすぐに汗でビショビショになってしまった。道着の紐を切る鋏などは弓道場の外に置いていたので、ラバースーツを脱ぐことは出来なかった。
 「はぐっ・・・!ううっ・・・・。ううっ・・・」
 定期的に振動するようにセットしたバイブレーターが作動すると、意識が遠のき、矢を射るところではなくなってしまう。
今まで射た矢がどうなっているのかを確認することもできなかった。ギャグの所為で水分補給もできない。
 (やりすぎた・・・・。やりすぎた・・・・)
 暗闇にむかって出鱈目に矢を射ている、それが今の私の状況だった。そうしているうちに鈴の音が弓道場に響いた。
 (当たったの・・・・?)
 意識が朦朧としていた私は、其の音で気を取り直すことができた。程なくして2回目の鈴の音が響いた。
すぐに私は、箱を開け鍵を取り出し、目隠しとギャグを取り外した。
 「おえっ・・・。げほっ・・げほっ・・・」
 辺りはすでに暗くなりかけていた。私は片づけをするとすると、弓道場を出ると、道着と袴、そしてラバースーツを脱ぎ、バイブレーターを引き抜いた。
 (次からはもっと冷静にならないと・・・・)
 そう思いながら、私は家路についた。


 「あの娘、こんなことしてたんだ・・・・。これは利用できそうね・・・」
 私の練習の映像を見ながら、微笑を浮かべる存在が居たと言う事をこの時の私は知るはずもなかった。
                                    =終=
 今の自分にはこれが限界です。申し訳ないです。