>>116
あの詩には続きがある。

母さん、あれは好きなブルマでしたよ、
僕はあの時、ずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから

母さん、あのとき、向いから若い女の子が来ましたっけね。
紺のブルマに白いシャツを着た
そして拾おうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの

母さん、ほんとにあのブルマ、どうなったでしょう?
あのとき傍に咲いていた、車百合の花は
もうとうに、枯れちゃったでしょうね
そして秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あのブルマの中で、毎晩きりぎりすが鳴いたかも知れませんよ

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは
あの谷間に、静かに雪が降りつもっているでしょう、
昔、つやつや光った、あのナイロンのブルマと
その裏に僕が書いたY・Sというイニシャルを
埋めるように、静かに、寂しく