ぼくが浪人生で、人生にうちひしがれ、世界が灰色に見えていた頃、
国分寺の北口駅前を片足の女性が歩いているのを見かけました。

肌が真っ白で、すごーーく背の高い女性で、
肩ひも付きの小学生みたいな不似合いなスカートをはいていました。
そのスカートは、サイズまちがいのように短くて、
ほとんどミニスカート同然でした。その下から
白くて美しくすごく長い足が1本だけすら〜りとでていました。
義足もせずにこんな駅前に?
ぼくは片側骨盤切断にちがいないと直感しました。

彼女は少し疲れてきたように松葉杖をつきながら、
足元を見ながら一歩一歩確かめるようにゆっくり駅に向かっていました。
連れの男性(彼氏か? 彼氏なのかあ? サエない男だったけど)が
少し前の位置から時々ふりかえっては、見守るように同行していました。
彼女はふりかえる男性に笑顔で答え、まるで
目と目で(だいじょぶか?)(まだ平気よ)と会話してるようでした。

彼女の顔はどこかで見覚えあるような…。
そう中学の時、ぼくのことを嫌ってたクラスメイト、
タカコに面影が似てる…。
ぼくは勝ち気で自己チューなきみのこと好きで、よく話かけてたけど、
きみはことごとにぼくにつらく当たったね。
恥ずかしがり屋でシャイな女の子が、ぼくに好意をよせてくれてたけど、
ぼくはばかだったから、きみしか見てなかったんだ…。(続く)