>>830
日本人は気合を入れることが大好きなんです。日露戦争では白刃を振りかざして
敵を奇襲するという戦法がうまくいき、成功体験として定着してしまった。
それがかえって、太平洋戦争ではいくつもの悲劇を生んだわけですね。
総力戦ですから気合ではどうにもならなかった。しかし気合主義は戦後
にも引き継がれ、ブラック企業の悪あしき伝統を生んだのです。ただ、悪しき、
とばかりも言い切れないのは、それが高度経済成長をひっぱったという評価もあるからです。

 気合主義の源流を探ると、日本にはもともと資源がないということが一因にあると思います。
資源、石油などのリソースがないところをどう乗り切るか、というときに「大和魂」
「気合で乗り切る」という気合主義が生まれる土壌があったのです。

 もう一つは、仏教系の修行文化の伝統として、「体をいじめ抜くと精神がより高まる」
という思想があります。これは日本人の勤労の美徳とむすびつきやすいのです。
「徹夜して体をこわすほどがんばるとタフになる」とか、逆に「精神を追いつめると体も
鍛えられる」とかいう発想はまだ企業にもスポーツ界にもあると思います。