男の祭り(はじめてのふんどし)

俺、靖史。警察官になって3年目の25歳っす。この春、俺は離島の駐在所に赴任したんだ。俺の上司にあたる山田さんは、週に一度船にのってやってきてその夕方またもどってしまうんだ。
ということで、俺はこの島で唯一の駐在所に寝泊りしながら警察業務をこなしている。人口300人のこの島は漁師町で、特に事件などないほのぼのしたところだ。
俺は、赴任して早々、各家をあいさつがてら訪問した。もちろん、これもれっきとした業務の一環だ。一ヶ月もしないうちに、俺は島の人たちとは顔見知りになり大漁の日などは、新鮮な魚介類をさしいれしてもらった。
また、若い男が一人じゃ、料理もままならないだろうと、近所のおばちゃんたちがおかずをさしいれしてくれたりした。
暇すぎて退屈だと思うこともあるが、もともとのんびり屋の俺にとってはい心地のよいところである。俺が勤務する駐在所のとなりに、豪という俺と同い年の奴が住んでいる。
この島の網本の次男坊で、赴任早々うろうろしてる俺になにかと世話をやいてくれたんだ。同い年ということもあって、すぐ仲良くなり、釣りに誘ってくれたり一緒にあそぶことも多くなった。豪はさすが漁師、日焼けして顔は真っ黒、それにガタイもがっしりとしているんだ。
7月の初旬、汗をびっしょりかきながら、豪が駐在所にやってきた。「駐在さんよ、今晩暇か?おっかあが、酒のつまみにって何やらつくってるらしいから、もっていくからな」そう言うと豪はあわてて港の方に走っていってしまった。

「駐在さん、いるか?」豪がやってきた。風呂敷包みと酒、豪は俺にそれらをさしだすといつものように、奥の部屋にあがってきた。豪はまるで自分の部屋にいるかのようにくつろいでいる、まあ、そんな気さくな奴が俺としては気に入ってるんだが・・・・・・・。酒もすすみ上機嫌になった豪は、俺に言った。