厄除けの文化が根強いこの町では、子供を鬼から守るために親が子の振りをする"子隠れ"という変わった風習がある。
内容は数日から一ヶ月の間、親が子供の格好や振る舞いを真似てそっくり子供になりきる生活を送るというもの。
鬼の目を欺き子を護った母親の昔話に基づく習わしで、この土地に古くから根づいている。
近代以後は町起こしのための伝統行事として行われる。
大抵の子供は成人するまでに"子隠れ"を行う。
対象となる年齢はまちまちで、早い子で低学年、遅い子だと成人間近の場合もある。
"子隠れ"期間中の親は、市や自治体による町ぐるみのサポートを受けながら完全に子供扱いされて暮らす。
当然ながら対象となる子供の行事まで全てこなすものとされる。
小学校の制服を着て友達と学校生活を送ったり、リクルートスーツを着て就活したり等々。