>>407
白いワンピースの人が足から靴を外したとき 空気がふっと静かになった
その動きはゆっくりで 何かを始める合図のようにも見えた
足は細くて 指先まできれいにそろっていて 目が自然と引き寄せられる
歩くたびに足の裏が床にふれる音がかすかに響く
かかとが軽く持ち上がり つま先が名残惜しそうにあとを追う
ただそれだけなのに 胸がざわつく

言葉はなく 視線も合わない
それでも 動きには何か意味があるように思えた
まるで心の奥をのぞきこまれているようだった

足を止めたあと 一歩だけ近づいてくる
そして 片足を持ち上げて まっすぐこちらへ向けた

その足の甲には 小さな文字が書かれていた
しずく と読めた瞬間 世界がすっと傾いた

床がなくなり かわりに水が広がっていく
息を吸うことができず 体がゆっくりと沈んでいく