どうしたの?何かあったの?」

俺はうつむく少年の肩に手をかけた。
見た目より華奢な体。
わずかに震えているのを感じた。

「…さっきは、ごめんなさい」

少年はうつむきながら、そう言った。
謝罪の言葉の後、少年はポツリポツリと語り始めた。

少年が、クラスでイジメにあっていたこと。
いじめっ子達にエロ本を万引きしてくるように強要されていたこと。
目的を果たせなかったことで、またイジメにあうことを恐れていたこと。

言葉少なに訳を語った少年の肩を、俺はそっと抱いた。

「えっ…あっ、あのっ…」

俺の思いがけない行動に驚いて、少年は言葉を失う。

「そういう事だったんだ。わかったよ。さっきの本だけど、君にあげるよ」

俺は少年にそう言った。
少年を助けてやりたい。
そんな気持ちになっていたんだ。