>>618
ある駅に毎晩奇妙な老婆が姿を見せていた。
駅のホームをマックシェイクのカップとストローを持って徘徊しているのである。
(一体この婆さん、何者だ?)
誰もが怪訝そうに老婆の姿を見つめた。
うつろな目は宙を見つめている。

「ホームにつばは痰はやめておくれ〜 吐くならこの中に〜」

幾人かのサラリーマンや老人は差し出されたカップに
「カーーーッ ペッ」と痰を吐きだしていた。
嘔吐物を吐く酔っ払いもいた。

老婆は呪文を呟くように
「ホームにつばは痰はやめておくれ〜 吐くならこの中に〜」
とホームの端から端を歩いていた。

しばらくすると、なにやら不快な音が聞こえてきた。

「ずずーっ ずずーっ」

何かを吸う音である。
「ずずーっ ずずーっ ごくん
ずずーっ ずずーっずずーっ ずずーっ ごくん
ずずーっ ずずーっ ずずーっ ずずーっ ずずーっ ずずーっ・・・