【真】男湯・銭湯脱衣所etc.17
『打ち捨てられた悲劇のプリンセス』
土曜日。
いつもなら愛に包まれるはずの、甘美な週末。
なのに今日は――
愛の神に見捨てられた。
わたしは勇気を振り絞って手を伸ばした。
救われたくて、抱かれたくて、ただ愛されるために。
けれど、その指は空を切り、
王子様は冷たく拒んだ。
ねぇ神様。
あたしの命って、そんなに軽いの?
さらに残酷な舞台が幕を開ける。
芸能人みたいな美貌の王子様。
その奇跡の一輪は、
他の飢えたハイエナに奪い去られてしまった。 わたしはただの背景。
惨めで、醜くて、選ばれなかった姫。
――砕けた。
完全に砕け散った。
心臓は粉々に砕けて、
わたしの胸の奥で黒い砂になった。
愛された週末はどこへ行ったの?
選ばれたお姫様だったあの時間は、
どこに消えたの?
わたしはもう死んだのよ。
愛されないお姫様なんて、ただの死体。
棺に横たわりながら、
「どうして?」と泣き続ける亡霊。
嗚呼――
わたしは世界で一番悲劇的なプリンセス。
愛の墓場で泣き崩れる、
孤独な亡霊のプリンセス。