館内、道中と誰ともすれ違うことなく混浴露天風呂に到着すると、そこには男女別の入り口があった。
浴衣を乱雑に籠に入れ、手ぬぐい一つ持ち風呂へ入る。
旅館HPで見たより全体はいくらか狭いが、それでも人が一度に50人は入れそうな奥行きのある広さ、そして絶景はホンモノだ。
柵や仕切りがないため露天に浸かりながら遠くの山々を180度以上見渡せる。
陽が傾き、冷たくなり始めた空気に、程よい湯加減。
しばしその贅沢なシチュエーションに時を忘れた。
しかしほどなくして、ここが混浴であること、もう一組宿泊者がいることが思い出された。
『もうそろそろ夕刻だし、夕食前に大露天に入りそうなもんだが』
何かしらの期待というよりも、単にどんな人なのかが気になり、相当な長湯となっていた。
が、15分ほど浸かっていても誰か来るどころか、鳥の囀りとかけ流される湯音以外は何も聞こえず・・・
なんとなく寂さと怖さを感じた俺は上がることにした。
ろくに体も拭かず浴衣を羽織り、適当に帯を結び、履いてきたトランクスは丸めて手に持ったまま。
母屋へ戻ろうと扉を開けると!
暖簾の間から見える3Mほど離れた正面に、旅館の浴衣と丹前を着た、可愛い、いや綺麗な、三十前後と思しき女性がいた。
突然扉が開きビックリしたのだろう、彼女は目を丸くして一瞬立ち止まった。
正直言うと、俺は顔を見る前に、彼女の胸元を見てしまった、いや、否応にも目についてしまったといったほうが正しい。
緩く合わされた浴衣の胸元からは、一目でノーブラ、そして巨乳とわかる真っ白な谷間が覗いていた。
俺は一瞬にして股間が疼くのを自覚した。