続き

四国に行く予定を決めた時から俺は「去年の脱衣所の続きを…」という思いで頭がいっぱいだった。
滞在初日から、あのいいムードから再開できると勝手な勘違いをしていた。
しかしながら妹の俺に対する態度は、表面上は「お姉ちゃんの旦那」に戻っているようだった。

初日二人きりでいられるのは、嫁が両親と買い物に行ってる3時間だけ。
状況打破の糸口も掴めず、家事をしている彼女とゆっくり会話することもままならずに時間は過ぎていった。
少しづつ話を持っていって「去年、脱衣所でさ」と切り出すと「何のこと?」との返事。
拍子抜けしてガックリきた。
どう話していいのか、ちょっと悩んで考えていると彼女は「覚えてるよ」と言った。
ほんの少し前進しただけで、この日はタイムアウト。情けない。

二日目は嫁は母親と朝から外出。嫁の父親は趣味の陶芸教室に2時間ほど出かける。
この2時間を有効に使って妹に接近する。
ダンディへの愚痴を頼れる男風に聞いてやるが、頭の中では「この子とヤリたい」としか考えていない。
親身になって話を聞いてやり、下ネタなどで打ち解けた所で嫁の父親が帰ってくる。
ここで俺は「近所にある四国八十八ヶ所の札所でも見てこようかな」と言う。
巡礼とか遍路とか全く興味が無かったけれど、妹に「もし時間があるなら行かない?」と誘う作戦。
嫁の父親が「案内してやれ」と後押ししてくれて、妹と二人で外出。
札所は予想外に人が多く、実力行使には出られない。
人影が少なくなった所で妹の手を握った。
「知ってる人に見られると困る」と妹は慌てて手を振りほどいた。
それはそうだ。俺にとっては旅行先だけど、彼女にとっては地元だった。
すぐに「ゴメン」と謝った。
「去年みたいに抱きしめたい」と言うと、しばらくしてから「誰にも見られない所でならいいよ」と答えた。
「キスもしたい」と言うと、小さく頷いた。
「明日、二人きりになったらいい?」に、また小さく頷いた。
あとは実家まで黙って歩いて帰った。すでにカチカチに勃起していた。