一緒に俺の子を産んでほしいってお願いした。
私はお姉ちゃんなんだよ、本気で言っているの?って聞かれたけど、本気だって答えたら泣かれた。
その後で笑われた。
俺がお願いする時は、いつもストレート過ぎるって。
初めてやった時の事を引き合いに出されたけど、確かにあの時は要約すれば「やらせて!」だったからね。
でも、それ以外は結構段取りとか下準備とかしてたつもりなんだけど。姉に言わせると、小さい頃から俺は根回しとかはしっかりするのに、実際にお願いする時はそういった事をすっとばしてド直球で行ってたらしい。
俺としては、そうだっけ?って言うしかなかったけど。
それで姉の答えは、一緒に前向きに考えようって事だった。
一緒に考えて、「これなら大丈夫」ってなったら子供作ろうって。
有無を言わさず「ダメ!」に較べれば大進歩だけど。
それでまず最初に言われたのが、経済的な問題。
姉が妊娠したら、仕事を辞めなきゃならないだろうって事。
少なくともある程度子供が大きくなるまでは、俺の稼ぎだけで暮らしていかなきゃならない。
さらに、子供を預ける保育所が見付からなかったらとか、再就職できても今と同じくらいの収入は得られない可能性があるだの。
(ここで、これからお金が必要になるかもしれないのに指輪なんか買っちゃって…って怒られた。)
その他に、子供に真実(自分の両親が、実の姉弟なんだって事)を、いつどうやって教えるか。そして、その事実を受け入れてくれるかどうか。
まあ、その事はその時になってみないと分からない問題ではあると思うんだけど、姉は「それでも考えられる事は考えておこう」って。
確かに改めて考えると、難題山盛りなんだなって事が分かった。
俺たちは、実家を頼る事もできないし。
でも同時に、姉もいろいろ考えていてくれてたんだなって事が分かって嬉しかった。
それに姉の本音、私だって好きな人の赤ちゃんくらい産みたいって思うよ…って聞けた事もね。