0249なまえを挿れて。
2021/03/24(水) 15:05:56.98ID:8J9LzT6w0薄暗く静まった部屋。そっと、ドアを開ける。
音がたたないように、足音を忍ばせる。
豆電球のか細い灯りを頼りに、暖かな妹の布団へ向う。
物に蹴躓いて、音をたてないように。一歩一歩踏み出す。
刹那。
みしり…床鳴りがする。奔る電撃、一瞬の硬直。
息を殺し、鼓動が速まる心の蔵に胸を当て、必死に堪える。
やがて辿り着く花園には、小さく可憐な一輪の花の蕾が。
蕾の感触、硬さを確かめたい。
だが、確かめたら、壊れてしまうかもしれない。
ここまで至りて想い悩む。引き返すか、このまま進むか。
思考の間。冷たい手が、布団に温められて蕾の温度と馴染むように、丁寧に時間をかける。
一流の仕事は手間暇をかける。冷たい手が、布団に温められて蕾の温度と馴染むように、丁寧に時間をかける。
一流の仕事は手間暇をかける。
この行為もそうだ。やるとなったら妥協はしない。
勇気を出して一歩を踏み出す。そっと手を伸ばし、触れてみる。寝息は変わらない。
よし。
薄暗い部屋の布団の中、妹を弄る悦び。