「枕ン草子」 K 少納言

春はねンだわ。やうやう太くなりゆく財布、少し開いて、ヌポポで差し出す札のフルフルたなびきたる。

 夏はカネ。振り込み日の頃はさらなり、その前もなほ、札束の多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行く硬貨もをかし。万札など降らすもをかし。

 秋は半グレ。墨を刺した親類のいと近うなりたるに、K家の元へ上京すとて、三つ四つ、二つ三つなどやってくるさへあはれなり。
自称親類などの連ねたるが、いとたくさん見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、酒宴の音、怒鳴り声など、はた言ふべきにあらず。

 冬は振り込み。渡米の費用は言ふべきにもあらず、生活費のいと高きも、またさらでも至急ヘルプと、送金など急ぎ頼んで、金振り込ますも、いとつきづきし。
時が過ぎて、ぬるくゆるびもていけば、税金の仕送りも、途切れがちになりてわろし。