>>264
「……恵美さんは、もう寝たか」と兄が尋ねた。俺が「ああ、ぐっすりだ。酔いが回ったみたいだ」と答えると、兄は「そうか……」と言って沈黙が流れた。
俺は先ほどの兄の『離婚してから、もう女なんて十年近く縁がないんだ。』その一言が、頭から離れなかった。
そして、葬儀の時から兄が時折恵美に向けていた視線、あの視線は雄の本能そのもののように見えた。
俺は決心して口を開いた、「兄貴、もし……恵美でよかったら、抱いてみないか?」と言うと、兄は目を丸くして俺を見つめ、次いで苦笑を浮かべながら「……お前、酔ってるだろ。冗談はやめろよ」と言った
俺が​「冗談じゃない、本気だよ」俺は兄の目をまっすぐに見て言った。
続けて「恵美も、兄貴に好意を寄せているみたいだし」と俺が言うと、兄は湯呑を置き、深く息を吐いて「……正直に言うと、俺も……昔から一度でいいから恵美さんを抱きたいと思ってた」と兄は告白した。
俺は立ち上がり「……兄貴、恵美の所に行こう」と言うと、兄は一瞬迷ったが、やがて小さく頷き、恵美の眠る寝室へ向かった。

酔い潰れた恵美
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