「わたしは人形とか、幻?」須磨寺雪緒スレ#8
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須磨寺はそこにいた。
夕陽を背にただひとり……。
人ならざる雰囲気をまとって、ギターを 弾いていた。
神がかってる……恵美梨が天使のようだと
言った気持ちもわかる気がする。
確かに須磨寺は人ではなかった。
人であることを、どこかで忌避していた。
人の形をし、人の言葉を語り、人のように
振る舞うのに、彼女はいま人ではないなにかだった。
ここは「天使のいない12月」須磨寺雪緒のスレッドです。 薄羽色(うすばねいろ)、と言うのが頭に浮かんだが、こういう色は原色としてはないらしいw
ただ、少しだけ検索で引っかかるので、全くの俺の造語でもないのかもしれない
濡れ羽色というのが青みを帯びた黒で、これの薄い色という意味合いだろうか
ただ彼女の場合、茶色も薄くかぶっているので、一言では言いづらい
少なくとも明日菜さんみたいな、真っ黒系ではないのだし
あれを黒というなら、それを明るくしたのが灰色なのだから、ほとんど同義だ
ただ灰色というのはなんとなく美しくない
イメージ的に >>268
すまん、今見て来たら灰色に近い色だった。
どうやら長い月日が経って脳内補完されていたようだ。 貧乏な上にワルイ男に引っかかって苦労したんだね雪緒タン 若白髪はなんかイメージ嫌だなぁ
苦労して髪色変化事態は悪くないけど 雪緒さんスレってさ、決してスレ進むの早くないし、内容も無いようって感じだけど
何となくチェックしちゃってて、何となく幸せな気持ちになれるよね
オレだけ? 君だけではない
なんか雪緒さんグッヅが欲しいんだけど、無いよなー
発売当時は今ほど完成品フィギュア全盛の時代じゃ
なかったものなあ。。。 出来の良い雪緒さんフィギュアだったらオレも買いますね、むしろ欲しいですね
アニメ化もしくはPSPリメイク天いなとかが発売されれば・・・フィギュアも!
PSPリメイクとかアニメ化して、えっちシーン無いと天いなって成り立たない気がするけど・・・ 久しぶりにこのスレ来たがまだ人がいることに感動したw
冬のダイブと夏の誕生日のときはこのスレ開く習慣が 無口な歌声とか耳コピして弾けるようになりてえ……('A`) 明らかにコラだけど下のやつどう思う?
本編で無いシチュな分、個人的にはアリ
ttp://www.inverse.jp/perl2/gazou/src/1248628253246.png 今時、こんな寂れたスレで、つまらないいたずらするなよw 誕生日おめでとう
いつ見ても美しいシーンが多いなあ
そうか誕生日か。
夏だけど、帰ったら引っ張りだしてプレイするか。 ゆきおはんは・・・
ルート入ったときよりも入ってないときのほうがなんか好き
さりげなさがいいね ちょっと遅れたが、久しぶりにSS書いた。6レス。
「時紀クン、知ってた?」
「何をですか」
明日菜さんは、妙にうれしそうな顔で、意味ありげに俺の腕をつついた。
「雪緒ちゃん、今日が誕生日なんですって」
「はぁ?」
思わず須磨寺に視線をやると、少し曖昧な笑顔で、小さくうなずいた。
閉店処理をしているタイミングで、そんなことを言われても困る。
ぐるりと店内を見渡して、
「ケーキなら、売るほどありますね」
「文字通り売り物だものね。
あー、だめよだめよ、そんないつも休憩時間につまんでいるような物で、お茶を濁しちゃ。
なんかほら、深く思い出に残るような」
明日菜さんは他人事なのに、自分が当事者のような顔でそう要求するが、
「こんな時間に、無理を言わないでください」
「別に形に残るような物じゃなくてもいいのよ? 愛の形は人それぞれだし」
なにを言ってるんだあんたは。
須磨寺もクスクス笑ってるんじゃない。
「いいから片付けるぞ」
「そうね」
「あーん、時紀クンのいけずー」
働け。
「それじゃ後は若い二人に任せて」
そんな台詞と、意味ありげな笑みを残して、そそくさと退散した明日菜さん。
当然のように、俺と肩を並べて店を出る須磨寺。
何かを期待しているのか、すっと俺の顔を見上げて、
「くれるの?」
「なにをだよ。やるもんなんか、なにもないぞ」
「木田君なりの、愛の形」
おまえな。
「おまえはそれでいいのかよ」
「木田君の一世一代の告白とか、見てみたい気もするわ」
「売り切れだ」
身についた店員根性のせいか、つい、そんな軽い切り返しをしてしまったら、須磨寺は驚いた顔で、
「……誰に売ったの?」
「売ってねぇ!」
ムキになって叫んだら、須磨寺はわかっていたのか、笑っていやがる。
くそ、こいつの方が一枚上手か。
もういい。なんでもいいから、こいつになんかやって黙らせよう。
どっかコンビニかなんかでも……と。あれでいいか。
「須磨寺、プレゼントだ」
「あぁ、この屋台をくれるの?」
「ラーメンおごってやるって言ってるんだ」
さらっと恐ろしい切り返しをする女だな。
さすがにいやがるかと思ったら、意外と須磨寺は乗り気な様子で、
「楽しみだわ。初めて」
「あぁ、普通は女は屋台になんか入らないか」
「ううん、ラーメンを食べるのが」
なんだと!?
日本の国民食の一つ、ラーメンを食べたことのない人間が、日本にいるのか?
「おそば屋さんの娘だもの、私」
そ、そうか。
いや、待て、その理屈はおかしい。 いくらライバルの麺類であるとはいえ、ラーメンの一つくらい食っても罰は当たらないだろう。
疑いのまなざしを向けてみたが、須磨寺は何も知らない無垢な動物のような目で、俺を見返す。
そしてなぜか、楽しげな口調で、
「勘当されるかもしれないわね。この不良娘がって」
などと言いつつ、須磨寺は率先してのれんをめくった。
おいまて、いいのか本当に。いや冗談だよな、いくらなんでも。
「いらっしゃい」
と、新聞から顔を上げて、迎えた親父もさすがに戸惑い気味だった。
須磨寺はのれんを手で掲げたまま、物珍しそうに周りを眺めている。
「ほら座れよ」
「ああ、そうね」
こっちの方が落ちつかねぇったら。
「何を食う?」
「木田君に任せるわ」
私は何も知りませんよ、みたいな顔をして。
とりあえず無難に、醤油の大盛りと普通盛りを一つずつ。
「あいよっ」
と、親父の返事が返ってきた後は、お湯の沸き立つ音しかしない。妙に気詰まりだ。
親父もそう思ったのか、愛想笑いをこちらに向けて、
「しかしこんな屋台に、こんなお嬢ちゃんが来るのは珍しいな。デートの締めには向いてねぇと思うけどよ」
「いえ、私たちバイト帰りなんです」
「ああ、そういうことかい。それで制服か」
「ええ」
親父は納得したように、何度もうなずいた。
俺は須磨寺が余計なことを言わないのに、ほっとした。ほんの一瞬だけ。 「今日、私の誕生日だって言ったら、ここに連れてきてくれて」
おい。
言うのか、それを。
いや、これは些細な復讐なのか。実は不満満載なのか、おまえ。
「そいつはねぇなぁ。いや、自分の味を卑下する訳じゃねぇけどよ、
せめてもうちょっと、ムードのあるところに連れて行くもんだろう。
そんなんじゃふられちまうぞ、兄ちゃん」
大きなお世話だ。
なんだこの、俺が甲斐性なしみたいな雰囲気は。早くできろラーメン。
一分ほどの気まずい時間はようやく過ぎて、
「それじゃ、これは俺から嬢ちゃんに誕生日プレゼントだ」
「ありがとうございます」
須磨寺の普通盛りには、チャーシューが二枚と、味玉が余計に載っていた。
食べようとして、須磨寺は、髪留めを左右とも抜いて、流れる髪の毛を今度は一つにまとめてくくった。
「髪が入っちゃうから」
つい、見とれていた俺に、そう説明して。
「い、いいから、ほら、食えよ」
「えぇ、いただきます」
いかにも、和食になれた、きれいな箸使いで麺をたぐり、上品に数本すする。
サラリーマンらの荒っぽい食い方を見慣れていた親父も、感心している様子。
次いで、レンゲでスープを一口すすってから、花の咲いたような笑顔で、
「おいしい」
と、つぶやいた。
なんとなく俺はほっとする。親父も照れくさそうに頬を掻いた。
次いで、俺もラーメンに取りかかった。あぁ、確かにここは当たりだ。
今度エミ公でもつれてきてやるか。あいつはお子様だから、こういう店は嫌がるだろうけど。
俺が食い終わってから数分遅れて、須磨寺もようやく食べ終えた。
「ごちそうさまでした」
「あいよっ」
うまいと言われたせいか、若い女が嬉しいのか、親父も妙に上機嫌でどんぶりを受け取る。
一応、プレゼントという名目だから、俺が全額払ったわけだが、親父はおつりを返すついでに、
「しかしよ、兄ちゃん。さっきも言ったがラーメンはねぇだろ。アクセサリーの一つも買ってやんな」
「いいんだよ」
だいたいこいつに何をやったら喜ぶかなんて、わからねぇし。
「姉ちゃんも、そっちの方がいいだろ」
「そうかもしれませんね。でも、ラーメンもおいしかったですよ」
本心か、リップサービスか、須磨寺がそういうと、
「また来てくんなっ」
と、威勢のいい声が、のれん越しに俺の背中を打った。
「ふぅ……」
無駄に疲れた。ラーメンを食っただけだったのに、なぜこんなに。
対して須磨寺は、いつもとは違う一本だけのしっぽを振りながら、上機嫌そうに、
「ごちそうさま、木田君」
「ああ、喜んでもらえて何よりだ」
「あ」
「なんだ?」
不意に、須磨寺は俺に顔を近づけて、
「ナルト、ついてる」
「なに?」
なんだそのギャグみたいな光景、と思うまもなく、須磨寺は俺を引き寄せて、唇を頬に触れさせた。
「とれたわ」
……なんのつもりだよ、まったく。
だいたい、
「さっきの店、ナルトなんか入れてなかっただろ」
「そうだったかしら?」
そうだよ。いったい何を考えているんだ、この女。
「それで、買ってくれるの?」
「なにをだよ」
「アクセサリー」
「おまえ、ラーメンで十分満足そうだったじゃねぇか」
「ラーメンのお礼は、したもの」
さっきのキスかよ。なんか納得いかねぇぞ。
よかっただろうが、ラーメン初体験で。この上、光り物まで欲しいってか。
……いや、まて。そこのところを、きちんと確かめていなかったぞ。
「なぁ、須磨寺」
「なに?」
「ラーメン食ったの初めてだって、本当か?」
須磨寺は今度こそ、本当に驚いたような顔をしてから、クスクス笑って答えた。
「まさか」
この野郎。
だからラーメンの礼はキスくらいで十分だってことか。
「欲しい物でもあるのかよ」
「そうね」
手持ちぶさたそうに、一本しっぽを指でもてあそぶ須磨寺に、ふと思いついて、
「髪留めでも、買うか?」
「そうね、そうしましょう」
えらく適当だな。そんなんでいいのか、おい。
「いいのよ」
くるりと、先行する須磨寺が半回転して、俺を正面から見据える。
「適当に見つけたそのへんの店でなくて、木田君がちゃんとえらんでくれるなら」
……そこが不満だったのかよ。まったく、女ってやつは。
以上です。ツインテールでラーメンというと、某乙女を思い出しますが、さすがにキムチラーメンはやめておきました。
そういえば、なんか雪緒さんにこの暑い中ラーメンを食わせて汗だくにしてみようというのが初期企画だった気がする。
すっかり忘れていた、もったいない。では、そんなとこで。 >>299
乙!寝る前に幸せな気分になれました
指輪でもねだるのかと思いました ttp://www.inverse.jp/perl2/gazou/src/1249904618247.jpg
監禁されちゃった雪緒さん 出張で誕生日祝えなかったorz ごめんなさい雪緒さん・・・ 萩原さんが出てるラジオ始まったけど流石にイメージ違うなw ラジオドラマでもいいから、やってくんないかな雪緒さん役 ( ´・ω・)―[] / ペチ ☆
[ ̄ ̄ ̄] ( ´・ω・) ―[] / ペチ ☆
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☆ ペチ []―.[ ̄ ̄ ̄]
☆ ペチ \ []― (・ω・ `)
ブワッ\[]― (・ω・ `) .[ ̄ ̄ ̄]
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, '´ ヽ. :. ヾ.: ヽ ‥, ズバッ!
__i ノノ))))〉.: .; .i^)))〉、 ::*:∴
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Z((くj、 yソ ノ ..; ./ つ(( `
)く/j∽}───'〈 〈
´ し'´l_ノ (_(_)
雪緒「魔物は狩られた、でも私たちの戦いはまだまだこれからよっ
雪緒さんコラをちょこちょこ見かけるけど
どう思う? ビッチビッチした雪緒さん拝めるのは良い
クオリティの低さは目を瞑るしかない ttp://moepic.logdb.net/img/remodk/0001015020070310124955.png
の差分というか、PSDファイルを誰か再アップしてくれまいか?
このスレを未だに見ている同志にしか頼めぬのだ 古い作品のヒロインだしもう無理じゃね?
新しい二次創作もこないんだし 少し早いかもしれないけど…
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 ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄ | 僕は跳びつづけます、figma須磨寺が出るまで!
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今年もぎりぎりだった…
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| ⊂( 。A。 )/( 。A。 )っ 今年も遅刻だ
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>>328
そういえば、前から貴方にひとつお願いがあったんだ
来年もここで会えたら、そのときにでも聞いてくれないか? ┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬
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| ⊂( 。A。 )っ 遅刻したので一人でっ
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 ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄ | >>329
内容によるけど、
来年の1月末まで出張中で土日も仕事してることが多いような状態なので難しいかもです。 雪緒さん、それにファンの皆様、あけましておめでとうございます おまいらあけましておめでとう
お年玉代わりに5レス書いてみた
日付変わる前に間に合うかなと思ってたら、うっかりやべっちFCを見てしまっていた
それでは
特に行きたかったわけじゃない。神頼みなんて当てにしたくもない。
生まれてこの方、それに感謝する気分になんて一度もなったこともない。
そんな俺が初詣などという、神社の詐欺行為に寄与するつもりになったのは、
「年が明けたら、初詣、行かない?」
という須磨寺の誘いに、何となくうなずいてしまってたからだ。
うなずいてから、少し後悔した。
これがデートなら、誘った方がチケット代を出したりするもんだが、
「お前が誘ったんだから、賽銭出せよ」
とはさすがに言い出しにくい。
まぁ、五円玉くらいなら落としたつもりでくれてやるか。
──そして当日。俺はもう一度後悔した。
ものすごい寒い。
俺はいったん回れ右して、玄関内に待避し、
「キャンセルできるか?」
「ダメ」
電話してみたが、須磨寺の割にはきっぱりと断りやがった。
あげく、断った方は遅れていやがる。
近所のたいしたこともない小さな神社だが、さすがにこの日ばかりは大賑わいで、
入り口の石段下で待つ俺の前を、今にも神の元に召されそうな爺さん婆さんや、
着飾った人間などがわんさか通り過ぎていく。
「木田君」
あ?
なんか着飾った人間が俺の前にいる。
「明けまして、おめでとう」
そう、振り袖姿で挨拶してきたのは、紛れもなく須磨寺だった。 赤い晴れ着に縫い取られた、何かめでたそうな鳥。
金糸銀糸で飾られた華やかな意匠は、どこか須磨寺にそぐわない。
後頭部でアップにまとめられた髪型のせいもあるのかもしれない。
「変かしら?」
本人も気になるのか、花を象った髪飾りに触れながら、首を傾けて聞いた。
「あー、いいんじゃないか。めでたくて」
まぁ、似合ってないわけじゃない。ただ見慣れないだけで。
なんだか落ち着かない気はするが。
「お母さんが、彼と初詣に行くって言ったら、引っ張り出してきちゃって」
「余計なこと言うなよ」
「聞かれたから、答えただけ」
「それで遅れりゃせわないな」
「そうね。着付けの真っ最中に、キャンセルの電話はかかってくるし、大変だったわ」
それでさくっと断ったのかよ。新年早々振り回されてるな、俺。
「木田君は、いつも通りね」
「そんな急に変わるかよ。数字が一つ増えただけだろ」
そういって、石段を上がりだしたが、すぐに、
「あ、ちょっと待って」
振り返ると、2歩も3歩も須磨寺は遅れていた。
「この格好、歩きにくくって」
確かに。おまけに階段は結構急だわ、下りてくる参拝客は結構いるわで、危なっかしいことこの上ない。
けどなぁ。
逡巡してると、隣に追いついた須磨寺が、
「……そうね」
なんか一人で納得している。
「どうした」
「お年玉、ってことでいいかしら」
「なんだ急に」
と問い返す間に、須磨寺が俺の腕をつかんできた。
「お、おい」
「転んだら、嫌だから」
いや、分かるけどよ、理屈は。 周りからは典型的なバカップルのように見られていると思うと、石段を登る足取りも重い。
くそ。晴れ着って厚いから、あんま嬉しくねぇな。
「素直に手を貸してって言えばいいだろ」
「そうね、素直に手を貸すって言ってくれればいいのにね」
この野郎。
「俺の方にはないのかよ」
「お年玉? 欲しいの?」
反撃のつもりで言ったのに、くすくすと、わがままを言う子供をあやすように笑いやがった。
後でなんでもいいから請求してやる。そうだな、とりあえずは──。
「あ、それとね」
「ん?」
「これ、脱いだら、元に戻せないから」
なんだと。
「私、着付け出来ないもの」
先手を打たれた。どうやら姫初めとはいかないらしい。
今年は厄年か。
とりあえず、五円入れたんだから、なんか願わないと損だよな。
……あー、この五円が、五億円になって返ってきますように。よし。
さっさと願いを終えて横を見ると、須磨寺がやたらと厳粛な表情で、何事か祈っている。
そのくせ意外と、たいしたことは願ってない気もする。
まぁ、聞いても答えちゃくれないんだろうが。
「それじゃ、行きましょうか」
「もう終わりか。……なんか、えらい時間の無駄をしてないか」
「なら、おみくじでも引く?」
「それは金の無駄だ」
なにがおかしいのか、須磨寺はまた笑う。
「それじゃ、無駄遣いしてくるわ」
で、結局須磨寺はおみくじを引いたんだが、興味深そうに読み込んでいるものの、内容は教えてくれない。 「なんだよ、けちけちするな」
「木田君も教えてくれたら、見せてあげてもいいけど」
「だからやらねぇって言ってるだろ」
「あら、想い人と結ばれるでしょうですって」
「言ってんじゃねぇか」
なにがしたいんだお前は。木に結びたいんですか、そうですか。
年が明けてもとらえどころのない奴だ。
手を伸ばして、木の枝におみくじを結んでいる須磨寺を見て、ふと、手が伸びる。
ぺし。
と、後頭部に触れても返ってくるのは固い感触。
つまらねーな、と固められた髪の毛を、軽くつつく。
しばらくして結び終えた須磨寺が、ようやく怪訝そうに振り向いた。
「ひまつぶし?」
「まぁそんなところだが」
「やっぱり似合わないかしら」
「いつものほうが手触りがいい」
若干角度をずらして答えると、須磨寺は小さく苦笑して、髪飾りを抜いた。
あれよという間に髪はほどけ、手早くリボンで髪をくくる。
そこにいたのはびっくりするくらい、いつも通りの須磨寺だった。
服は違うままなのに、髪型一つでだいぶ戻るもんだな、と実感する。
「はい」
と須磨寺は、伸ばしたツインテールの片方を、俺の手に握らせる。
さらっとした、柔らかく流れる髪の感触が、指に絡まる。 「よくなった?」
「え?」
「手触り」
あー……、いや、そうじゃなくてな。
「人を変態みたいに思うな」
髪フェチか、俺は。
「違うの?」
「違う」
たぶん。あまり自信はないが。
「髪型の方は、元に戻せるのか?」
なんか間が持たなくなって、どうでもいいことを聞く。
「戻せないけど、別にこれは恥ずかしくないもの」
そりゃそうか。晴れ着が乱れてりゃ、なにがあったかわかりやすすぎるもんな。
「それに珍しく、木田君がほめてくれたし」
「ほめてねぇよ。手に結ぶな、おみくじじゃねぇんだから」
「大吉だったから、半分くらい分けてあげる」
「おまえなぁ」
こいつのやることは、本当に時々わけがわからん。
……もしかして、ほめられたと思って浮かれてるのか?
やがて髪の毛で結ばれた俺と須磨寺は、仲のいい恋人同士……というよりは、犬の散歩状態に思えた。
なんかエミ公とか真帆ちゃんとか透子とか、俺の周り、犬系の女ばっかりの気がするな。
戌年はだいぶ先のはずだが。
「木田君」
「なんだよ」
「今年もよろしくね」
須磨寺はもう一本の余ったしっぽを揺らしながら、緩やかに微笑んだ。
終わりです
今年もよろしく
ついさっきまで考えもしなかったが、ほんと犬系多いなw なんかいい方向に向かってる感じの二人で乙ー!
今年もよろしくおねがいします 二人の初詣なんて考えた事もなかったわw
いいもの読ませてもらいましたー 冬馬かずさ
幼少時ピアノコンクールを総なめ、ウィーンに留学
誰かさんに似てね?
ふたりの連弾が聞いてみたいな 家柄に決定的なさがあるな。
雪緒さんは見た目お嬢様で実は蕎麦屋の娘ってギャップにぐっとくる。
雪緒さんが女将で、イルファさんが女中の蕎麦屋に行きたいなあ ウィーン行きの航空券なら、さっき髪の長いきつめの娘が持ってたよ 雪緒さんを想い続けてはや数年
いい加減自分の前に雪緒さんが現れないだろうか
もしくは真面目な話続編とか出ないだろうか >>156追加
1973年 川村美香
1997年 持田雛子
1998年 河田穂鳥
1998年 あやね
1999年 石原紀美香
2001年 ティナ・ハミルトン
2003年 峰澤ゆか(栗原ゆか)
2008年 高橋サチホ
生年不明 冬木るりか 軽く哀れだが、見過ごせないな
ttp://jun.2chan.net/b/res/14320388.htm リクエストするのは良いが
なんというリクエスト内容なんだw
絵描きはよく頑張った
ttp://karuken.blog37.fc2.com/
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