「さっきの店、ナルトなんか入れてなかっただろ」
「そうだったかしら?」
 そうだよ。いったい何を考えているんだ、この女。
「それで、買ってくれるの?」
「なにをだよ」
「アクセサリー」
「おまえ、ラーメンで十分満足そうだったじゃねぇか」
「ラーメンのお礼は、したもの」
 さっきのキスかよ。なんか納得いかねぇぞ。
 よかっただろうが、ラーメン初体験で。この上、光り物まで欲しいってか。
 ……いや、まて。そこのところを、きちんと確かめていなかったぞ。 
「なぁ、須磨寺」
「なに?」
「ラーメン食ったの初めてだって、本当か?」
 須磨寺は今度こそ、本当に驚いたような顔をしてから、クスクス笑って答えた。
「まさか」
 この野郎。
 だからラーメンの礼はキスくらいで十分だってことか。
「欲しい物でもあるのかよ」
「そうね」
 手持ちぶさたそうに、一本しっぽを指でもてあそぶ須磨寺に、ふと思いついて、
「髪留めでも、買うか?」
「そうね、そうしましょう」
 えらく適当だな。そんなんでいいのか、おい。
「いいのよ」
 くるりと、先行する須磨寺が半回転して、俺を正面から見据える。
「適当に見つけたそのへんの店でなくて、木田君がちゃんとえらんでくれるなら」
 ……そこが不満だったのかよ。まったく、女ってやつは。

 以上です。ツインテールでラーメンというと、某乙女を思い出しますが、さすがにキムチラーメンはやめておきました。
 そういえば、なんか雪緒さんにこの暑い中ラーメンを食わせて汗だくにしてみようというのが初期企画だった気がする。
 すっかり忘れていた、もったいない。では、そんなとこで。