葉鍵的 SS コンペスレ 19
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葉鍵的 SS コンペスレ 18
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1186409866 ガゴゴゴゴゴゴゴ…ガゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…。
芳野祐介の住まう部屋、六畳一間のボロアパートのちゃぶ台の上で、
芳野祐介のPHS(※)が震える。
パシャッ、ピッ。
「あぁ、俺だが…。わかった。今すぐいく」
2月14日、午前1時。
芳野祐介はダークブルーのツィードジャケットをバサリと羽織り、
真夜中の街へと繰り出した。
深夜のファミレスの一番奥の席。そこにジョニーが座っていた。
モシャモシャとサラダバーを貪りながら。
「Ooooh!ヨシノサンおそイYO〜〜〜なにシテタノ〜?」
グッチャグッチャ、ムシャムチャ。 「寝てた…。それより、どうしたんだ、一体。こんな時間に呼び出したりして」
コーヒーを注文する祐介。
「Woooh[うーーっ]、ソンナにアングリーニナラナイで、シヌワヨ?」
ジョニーは軽くおどけながら、懐から出した小さな包みを祐介のお冷の側に、ずい、と突き出した。
そして―洪笑。
「ヒーーッハッハッハッハッハッ!」
ジョニーはバンババンッ!と怪傑ババーンのように机を叩きながら爆笑した。
「よく話が見えないのだが」
半分眠りかけた意識の奥でジョニーに対する軽い殺意を覚える祐介。
「これ、ホワイトスノーね。アフガン直送上物SNOW。ドゥーユーアンダースタン?
ギャヒーーーーッッハッハッハ!!HAHAHAHA」
明らかに異常なジョニーの笑い声に、訝しげにチラリと二人のほうを一瞥する他の客。
その中には、駅前のピンサロで働いている藤林杏も含まれていた。
が。
そんな他人の視線などどうでもよかった。祐介にとっては。
元・ジャンキーの芳野祐介、そう、あの元・ドラッグ漬け歌手芳野祐介にとっては。
「…他に用がないなら、俺はもう帰るが」
まだ見ぬコーヒーを尻目に立ち上がる祐介。
そう、一刻も早く、ヘロインの包みの前から立ち去らねば。
この忌まわしい麻薬から、その実、高校時代から手を出していたヘロインの前から。
彼はそう思った。
しかし。
「祐介サン…無理ハ身体にヨクナE。もっと自分ニ正直ニオープンユァバディァンソォゥ?ライ?」
ジョニーの唇の間から、凄まじいほどの笑みを作るニガーの真っ赤な唇の間から、
アイボリーの、もといミカンの食べすぎで真黄色になったジョニーの歯がゾロリと覗いていた。
そして、光った。ピカリと光ったのだ。
まるで、祐介の心の奥底に潜む欲望、衝動を照らし出すように。
――あの日々をもう一度。あのドロドロに溶けた日々をもう一度。
何れにせよ。
芳野祐介は、公衆電話の通報用ボタンを押そうとした。その瞬間。
ブブブブブブ…。
ジャケットの懐の携帯が震えた。反射的に取り出し、相手を確認した。
名前には見覚えがあった。
たしかに、祐介の携帯に登録してある相手だった。
伊吹公子。
ディスプレイにはそう表示されていた。
「うぐぅ〜〜〜っっ!」
獣じみたうめき声を挙げながら、応じてしまった。
警察に通報することも忘れて。
「公子がっ!?gyびjがっ?!本当に公子がっはっ!?なのかっ!」
興奮のあまり、思わずファミレスの入り口の扉にバーーン!とぶつかりながら
グチャグチャとまくしたてる祐介。
ブツッ。通話時間2秒。
死んだ者から電話がかかってくるはずがない、
そもそも、何故いままで公子の携帯が生きているのか、
公子は死んだのに携帯は生きている、
しかし、公子から電話がかかってきた、死んだはずの公子から。
この理不尽はいかに処すべきか―
祐介の頭のなかはグチャグチャであった。
そう、まるで、ヘロインに溺れていたあの日々のように!
そして―
「ヒャーーーッハッハッハッハッハッハ!!YOUAREくーる!
ぶぅわーいミミニャミ!GYAHA−−−−ッッ!!」
響くジョニーの笑い声。雛ちゃんの歌声ならぬ、ジョニちゃんの笑い声。
振り向くと、いつの間にか後ろに立っていた。ジョニーが。
そして、手の中でもてあそんでいた。見慣れたあの、携帯を。
そう、死んだ伊吹公子、連続殺人で指名手配されていた相沢祐一によって強姦殺された
伊吹公子の携帯を!!
「あがが…」
アゴがはずれんばかりに愕然としている祐介の肩を、ポンポンと、
裏表で白黒ツートンカラーの手のひらで優しく叩くジョニー。小さな手のひらならぬ、大きな手のひらで。
雨の日、そっと、祐介に自分の傘を差し出した時と同じ穏やかな笑みをたたえながら肩を叩くジョニー。
「イッツァジョーク、メーーン?」
COJICOJIに登場するジョニーくんのように悲しくおどけてみせるジョニー。
芳野祐介は、怒り、絶望、ショック、そして空腹のあまり、彼の足元にドサリと倒れた。
(ソーリー、ユウスケ。でも、これも君のためなのだ。俺は君のためなら死ねる、なんだってする)
そんなことを内心(英語で)思いながらジョニーは、駆けつけてくる店員たちを適当にごまかし、
外においてある黒いミニバンの中に気絶した祐介をそっと放り込んだ。
そして、一路、新宿へと向かった。区役所跡にあるあの病院へと。
ミュージシャンとしての挫折、ヘロイン、公子の死、風子というお荷物―
すべての重荷から、彼を、愛すべき芳野祐介を解放してやるために。
(ふっ、これでいいのさ。俺なんかを愛しちゃいけないのさ)
心の中でクールにつぶやき、ジョニーはアクセルを強く踏み込んだ。
そして、実は盗んだミニバンでアスファルトきりつけながら暗闇走り抜けた。
それから一週間後。
新宿区。
「先生、一つ、お聞きしてもいいですか」
「なんだね」
白い医師は極上の微笑をたたえながら、ベッドの上に横たわる患者に応じた。
「死んだものが生き返ることはあるのでしょうか。そして、愛する者のもとへ帰ってくるのでしょうか」
公子の携帯を固く握り締めながら祐介は問うた。
しばしの沈黙の後――
「眠れぬ夜を、過ごすが良い」
そう答え、白い医師、否、白い美影身は病室を後にした。
まだ、午後3時だった。
それから1時間ものあいだ、祐介は公子の携帯とにらめっこを続け、
その後、テレビをつけた。
理由は、ただ、暇だったからであった。先ほどの質問についてはどうでもよくなっていた。
ポルノチャンネルではメロドラマがやっていた。
「この白い尻は誰のものだ?あぁ?この白くてまぁるいデカイ尻はよ!」
「貴方のものよ、貴方のものよ!」
AV女優「水瀬亜樹子」がケツを振っていた。相手役は眠り屋ケンちゃんこと「片瀬健璽」だった。
祐介のチンコが勃った。
そして祐介は公子の携帯を肉棒にあてがい、グチュグチュとこすりつけ始めた。
これぞ、魔技「電コキ」である。
2こすりで、芳野は精を放った。
同人誌『膣をキュッ!とね』でヌイたとき以来の快挙であった。
青い光の降り注ぐ院長室で、白い医師はその様子を伺っていた。
空中に輝くホログラムスクリーンで。
呪歌「だんご大家族」を静かに口ずさみ、愛するせんべい屋に用もないのに
電話をかけよるべきか否か、迷いながら。
―同時刻:
藤林杏(20)は勤め先のピンサロで春原陽平(20)のチンポをしゃぶっていた。
サービス料は30分4000円なり。
「うっ!」
ドピュッ!
ユーロビートがアホのように鳴り響く暗いピンサロのブースの中で、
春原陽平が藤林杏に口内発射した。妹の芽衣にメールを打ちながら。
〜終わり〜 立ち上がり、お冷を一気にあおって、なんと喉チンコのすぐそこまでせり上がって来たその欲望を流し込み、
「…自首するつもりはないんだな?なんなら、付き添ってもいいんだぞ?」
冷静を装い、余裕を見せ、ジョニーを諭すフリをする祐介。
「モチロンデゴザルyO。バザールデゴザール・ギャハッ(はぁと)」
またしても、机をバンババンッ!とリズミカルに叩き、笑い転げるジョニー。
そのリズム感は彼に流れるニグロの血がなせるものか。
(だめだ…。こいつ、なんとかしないと…)
明らかにラリっているジョニーと、ぽつねんとテーブルの上におかれている
ヘロインの包みを放置し、ファミレスの入り口の公衆電話へと向かう祐介。
携帯から連絡しては、匿名の通報ができないからである。
自分もかかわりを疑われては困る。
公子が死んでから半年。
未だ、病院で昏睡状態のまま眠りこける風子の介護ができるのは祐介だけなのである。
(とにかく、ジョニーをぶち込み、なおかつ自分は一切の無関係を貫く)
そんな虫のいいことを考えているのである、芳野祐介は。
思えば、そんな浅慮、そんな浅薄さが、彼をヘロインマスターへの道へと誘ったのかもしれない。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています