「どうしたんだ笹瀬川、こんな夜更けに急に呼び出すなんて」
「すみません宮沢様。実は今日、こんな手紙が投げ込まれて……」
「うん?どれどれ……なになに?

  こんや 12じ おまえは きえる

 ……何だこれは。悪戯にも程がある!」

「はい。それで、宮沢様に傍にいて頂きたくて……」
「そうか…。まあ気にするな。どうせ何も起こりはしない」
「でも……不安です」
「…わかった、安心してくれ。今夜は俺がずっと傍にいる」
「今夜だけ……ですか?」
「む?いや別に、明日以降も構わないが……」
「そ、それはプロポーズって事ですわよね!?」
「な、なに!?」
「嬉しいです…こんな私を貰って下さるなんて……」
「いや…悪いがそれは……」

「となれば、善は急げですわね。今日の内に婚姻届を出してしまいましょう。
 ……あらやだ。こんな所に届出用紙が!?」
「うおおお…何だそれは」
「しかも丁度待ち合わせ場所が役場の前だなんて、運命…ですわ」

「…笹瀬川、頼むから返事をしてくれっ…」

「今日で笹瀬川佐々美という名の人間はこの世から消えて、
 明日からは宮沢佐々美に生まれ変わるのですね。嗚呼……」

「(やられた……)」