「これって高瀬さんと間接キス?」
「おお、確かに♪」
「ほら高瀬さん、アーン」
 わざとらしく男達は自分が一口食べる度に瑞希に向かってスプーンや箸を差し出してくる。
 断る度にパーカーのボタンを外されるとあっては、
否定する訳にも行かずに瑞希は口を開けるのだが、
男達の狙いがあからさまなだけにその表情は決して明るいものではない。
 それどころか瑞希に食べさせるついでに胸や股間へと遠慮無く手を伸ばして来るため、
瑞希は食事に集中する事もままならない。
 散々肉棒を受け入れた膣内へと指を入れられた時には反射的に「嫌っ!」と叫んでしまったために再びボタンが外され、
瑞希の胸元は半分が剥き出しにされてしまい、近くに座った他の利用者達からもはやし立てられる始末だった。
 それでも何とか食事は終わり、車へと戻る事になった。
「そうだ、最後にココの人達にサービスしてくか?」
 食堂を一歩出た途端に人々の喧噪から台風の雨音へと入れ替わる騒音の中、
軽い思いつきを口にしたとでも言うように一人が呟く。
「え?」
「なんだよサービスって?」
「また碌でもない事するつもりだろ?」
 その呟きを聞きつけた3人も何をするつもりなのかと疑問を浮かべた表情で見つめていると、
胸元が軽く開いたパーカーを羽織った瑞希を食堂へと向けて立たせたまま大声を張り上げた。
「お集まりのみなさーん! こちらに注目ーっ!」
 いきなりの号令に何事かと振り向いた人々の前にさらけ出されたのは、
力任せにパーカーをはぎ取られた裸の瑞希の姿だった。
「……………………………………きゃーっ!!」
 悲鳴を上げ、駆け出すまで確実に数秒。
 水着と言うには決してあり得ない日焼け跡を残した肌を後ろ手に縄で縛られ、
ただでさえ人並み以上の胸を絞り出すようにして自己主張させた瑞希のその姿は、
パーキングエリアで休憩していたほぼ全員の目に焼き付けられていた。
 横殴りの雨音にも負けないどよめきが、羞恥に駆け出す瑞希の後ろから押し寄せてくる。
 女性として隠すべき場所をすべて剥き出しにしたまま雨に打たれ、
不自然な格好で逃げようとする瑞希に追いついた男達が、
すかさず自分達の車へと駆け込むと一路東京へと向けて走り出した。