「理樹は…本当にだれが好きなんだ」
部室には女子メンバー。午後のお茶会に花を添えるのは、恋愛話。もちろん全員が理樹のことを好きなのは合意のうえである。
「鈴くんが(空気を読まずに)何度きいても誤魔化されるからな」
「だって、気になる」
誰かを選んで、みんなの関係を悪化させたくない。理樹はそう考えてるのではないか。しかしそれだと理樹に全員の気持ちを知られてることになる
「うーん…理樹くんの一番大切なひと、この中にはいないんじゃないかなぁ?」
「わふっ!わたしたちの他にリキと仲の良い方がいらっしゃるのですか…?」
「理樹くんはわたしたちの知らないところで、わたしたちが知らない子といちゃいちゃしてるってことですかっ」
「ほう。もしやそれはウチのクラスの…。確か彼女は理樹くんのことが好…」
「なんだっ誰だその相手って!」
「リキに…リキにそのようなお相手が…」
「そんなぁ理樹くんはわたしたちのおもちっモゴモゴ…なのにーー!」
「ほわぁっちちちっ違うよぉーわたしが言いたかったのはー」
来ヶ谷の言葉に動揺を隠せない全員…いや、一人静かに立ち上がる人物がいた
「『この中にはいない』そう…おっしゃいましたね」
なぜだろうか。この少女の目に『何か』が見える
「う、うんっ言ったよぉ…」
小毬にもそれが見えるのだろう。すこしばかりおびえながら返事を返した
―ほんの2、3秒だったが、美魚を見る全員に緊張が走る
「この中、つまり女子の中。直枝さんが好きな相手…それは…男性っっっ」
一瞬「またか…」と言いたげな空気に…
「うんっそうだとおもうよぉ」
包まれたかに思えた。だが、それに応えた小毬の言葉と
「やはりそうか。実はそうではないかと思ってた。」さっきのはほんの冗談だという来ヶ谷の言葉
あるものは叫び、あるものは言葉をなくし、またあるものは目を輝かせた