「沙耶さん、なんでこんなこと・・・ぐすっ・・・」
「決まってるでしょ、理樹君に手を出したからよ」
「そんな・・・滅茶苦茶だよ!だからって何でこんな事しなきゃいけないんだよ!」
理樹君が指をさしたそこには、あたしが手にしている銃で殺したばかりの「女」が無残な姿で横たわっている。
「リキ、リキ・・・」と最後まで動かしていた口は、憎たらしい顔ごと吹き飛ばしてやった。

「理貴君、ここの世界では、あたしが支配者(ゲーム・マスター)なの。
彼女は支配者に歯向かった。私の理貴君を奪おうとした、当然の報いを受けただけ」

レーザー・フェンスに体を切り刻まれたあの瞬間・・・、あたしは「何か」に目覚めた。
バラバラに崩れていく自分の体と、激しく焼かれるような痛み・・・
そして、その向こうに確かに存在した!今まで無い絶頂の感覚!
あれからあたしは、理樹君にもその感覚を味わってもらいたい、共有したい・・・が為に沢山傷つけてきた。
これまで理樹君を苦痛のまま沢山死なせちゃってきたけど大丈夫。何度でもやり直せる。いつか理樹君もきっと、あたしと同じ気持ちになれる。
この手で勝ち取った私と理樹君のためだけの世界・・・誰にも渡すものですか!!

あたしは「女」の死骸にぺっと唾を吐いてやった後、可愛らしい泣き顔を見せる理貴君に振り向き声をかける。
「さあ、邪魔者がいなくなった所で・・・始めましょ。(今回)使うのは・・・これよ」
そう言って私は、「器具」をライトで照らす。
このギロチン式の「器具」は、私がスイッチを押せば、刃が降りて理貴君の首をはねる。
同時にあらかじめ仕掛けておいたブーメラン式の刃物が飛んできて私の首も吹き飛ぶ仕組みになっている。
理樹君は怯えていた。すごく怯えている。失禁している。口をがたがたさせている。どれも愛おしい。