リトバス妄想スレPart11
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
ここはリトルバスターズの妄想やSSを書き込むスレです。
リトバスであればジャンルやエロ・非エロ、キャラは問いません。何でもどうぞ 。
電波を受信したり、思いつきでも構いません。ぜひ文章にしてみませんか?
リトバス妄想スレPart10
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1220111840/
恭介×小毬
もしくは真人×クド
そんなリクエストする俺はマイノリティー 最近謙吾×佳奈多がいいと思い始めたがそんなの書いてる人がいるわけもなく >>161
お前は昔の俺か
佳奈多ルートやるとその組み合わせが思い浮かぶよな
電波が走ったら書いてみるわ >>163
そんなにいちいち「厨」を付けたいのかい?
上腕二等筋にでまくってるぜ。 >>恭介×小毬
まさか公式でやられるだなんて微塵にも思わなかった、4コマだけど 4コマの話なら恭介が小毬のピンチを助けてほんのり小毬→恭介?で
美魚と葉留佳がそれを見てニヤニヤという一話があった フリマで強引な値切り客に困っている小毬を恭介がサクラを買って出て助ける。
その後、恭介がちゃんとお金出して小毬が出品した皿を買おうとして
「えっ いいよ お芝居だったんでしょ」と遠慮する小毬だけど
恭介が「じゃあ今度この皿いっぱいにでっかいホットケーキでも焼いてくれよ」というと
微笑んでうんと頷く。
フリマの帰り道、買い込んだ荷物を抱える恭介に「自業自得だから運ぶのは手伝わないよん」と葉留佳。
「これくらい1人で余裕だ」と強がる恭介。傍の小毬にも「お前も手伝わなくていいんだぞ」と声をかける。
けれど「いいの」と言って恭介が買ってくれた皿を大事そうに抱える小毬。
そんな二人の様子に「ねえねえやっぱり手伝った方が」という理樹に「無粋というものです」という美魚。
とまあそんな感じ。 バス事故で死ぬ筈だったのに生き残ったメンバーが
後で映画のデッドコースターみたいに次々と死んでいくというのを思い付いた リトバスでスクールオブロックみたいな話なら思いついたが 以前までは友人が何を言っているか意味が分からなかった…
「クドは俺の嫁」って、おいおい2次元の世界の女の子が嫁かよww
とか思ってた。
でもリトバスを勧められてプレイしてみたら、その世界観がわかったんだ。なるほど、確かにそうも言いたくなる、と。
それからというもの、俺はkeyのゲームをあさってみた。
そしたら、また友人の言葉がわからなくなってきた。
「何言ってるんだ?クドは俺の嫁だぞ??」 >>174
「○○は俺の嫁」ネタは日本でしか通じないらしいから
むしろじゃぱにーずじょーくだ(∵) もうこのスレ落ちてもいい気がするね
考察スレの後を追おうぜ まだだ……!
まだ終わらんよ……!
あ、だーまえ再始動らしいけど
そもそも休止してたの? 本スレで話題になっていたが麻雀ネタおもしろいな
男4人で脱衣麻雀して馬鹿騒ぎしてるところを
鈴が少し恥ずかしそうに呆れて見てそうだ
旧メンバーやっぱいいよな、なんでドラマCDでないんだか >>180
何もしないどころか、台なしにする貴方よりマシかと・・・・・・ >>181
本スレで話題になってんなら本スレでやれよ 恭「サバゲーチームを作ろう。チーム名は『リトルバスターズ』だ。」
というネタのSSを考え中。
遅遅として進んでないが、もしできたら投稿するかも。 SSを考え付いた元ネタより副産物。
さすがにこれはスレ違いかな?
恭介 戦車長
理樹 操縦士
鈴 偵察兵
クド 偵察兵
佳奈多 偵察兵
葉留佳 突撃兵
佐々美 突撃兵
沙耶 突撃兵
小毬 支援兵
美魚 支援兵
真人 対戦車兵
謙吾 対戦車兵
唯湖 狙撃兵
いろいろすいません。 恭介 お兄さん役
理樹 エサ
鈴 猫使い
クド わふー
佳奈多 おっかけ
葉留佳 びーだまん
佐々美 先輩
沙耶 スパイ
小毬 甘いもの支援
美魚 超能力部門
真人 筋肉増強
謙吾 対戦車兵
唯湖 ハンター(メスサソリ)
こうならゆるす 私の書き込みで場を荒らしてしまい、すいませんでした。
この状態だと、SS投稿でも場を荒らしてしまうかもしれないので、
自重してROMってます。 >>188
「エサ」と「わふー」と「メスサソリ」で吹いたww >>189
> この状態だと、SS投稿でも場を荒らしてしまうかもしれないので、
・・・・・・っえ?書く気あったんだ。 前スレ序盤では、本スレみたいな妄想垂れ流しスレになってたけど
いつからかSS限定のスレになったのか? だからこのスレいらねーつってたじゃん
それなのに一部のバカが必要だつって立てたらこのざまw
おまえらの我侭で無駄なスレが立ったんだからな
カチコチと時計が音を立てる。
夕暮れの寮長室、巷でおばさんくさいと評判の前女子寮長とここ数ヶ月で妙に人気がでてきた現男子寮長は何をするでもなくのんべんだらりとした時間を過ごしていた。
「・・・暇ねぇ」
「・・・暇ですねぇ」
まぁとにかく、暇なのである。
学園祭も終わり、寮会の引継ぎも終わり、書類の整理も終わり、ついでに模様替えもやってみて、何もすることがなくなっていた。
それでも週に2〜3人ほど何かしら要望を言いにくる。その対応のためには、誰かが寮長室にいなければならないのだ。
「先輩は別にここにいなくてもいいと思いますけど」
「んー、まぁそうなんだけどねぇ。なんていうかなんとなーく来ちゃうのよ」
「そうゆうもんですか」
「そういうもんよ」
ずずず・・・とお茶をすする。
やっぱりどことなくおばさんくさい。そう思いながら理樹も自分のマグカップに口をつける。
「そういえば、こんな風にいつも待機する必要あるんですか?意見箱やメールでの受付でもいい気がするんですが」
「一昨年やってるのよ、それ。意見箱置いてサイト立ち上げて掲示板とメールと併用で」
「何でやらないんです?」
「はじめはよかったんだけど、意見箱はゴミ箱に、メールボックスと掲示板はエロサイトの広告と他人への誹謗中傷でいっぱいになっちゃってね」
「・・・それは、なんと言うか・・・」
「仕舞いには顧問がいうには寮会のサイト経由で学校のサーバーに攻撃受けて。それが理事に知れて、ってなってるけど、
教師に対する文句や悪口の書き込みが増えたって言うのがほんとのところね。学校に迷惑かけらんないって、管理してた前寮長が自らサーバー立てて運営してたんだし、学校へのリンクも張ってなかったし。
まぁそんなわけでサイトはあえなく閉鎖。それどころかここのネット環境もなくされてねぇ。彼、泣いてたわ。まぁそんなわけで学校側からこういう風にやれっていわれてるのよ。
あ、ちなみに元意見箱は本物のごみ箱として生まれ変わってここで活躍してるわよ?」
そういいながら部屋の隅においてあるゴミ箱を指差す。
確かにほかの教室においてあるものと比べて妙にちいさいし形が違う。
そんなことを思いながら、クッキーをつまむ。
四枚目のあーちゃん先輩特製手作りクッキー(試作No.03)は少し焦げていた。 「ところでさ直枝くん、一つ聞いていいかな」
理樹のカップの中にある二杯目のお茶がなくなりかけるころ、唐突に前寮長が口を開いた。
「あ、はい」
「かなちゃんとうまくいってないの?」
茶葉を変えようとしていた理樹の手が止まる。
「へ?」
「最近、あなたとかなちゃんがイチャイチャしてるとこ見てないのよね。喧嘩でもしてるんじゃないかって」
「…この間、振られましたから。『もう十分』って」
「そう…」
止まっていた手が動き出し、急須にお湯が注がれる。
「やり直したり新しい彼女を探す気はないの?」
「まだ気持ちの整理がついていないし、やり直すも何も、佳奈多さん次第でしょう」
「そっか。じゃあさ、私なんかどう?今なら特典満載でお買い得よ?」
「丁重にお断りさせていただきます」
「残念。傷ついてる今なら落とせるとおもったんだけどなぁ」
「残念ながら、今のところないですね。恭介なんかどうです?」
「棗君ね…妹さん一筋って感じだし、どうかしらね」
「ほかの人はは皆受験で忙しいでしょうし、いま手が空いてそうで、先輩につりあいそうなのは恭介くらいしか知りませんよ。身内贔屓かもしれませんけど。
あ、そういえば恭介から聞きましたよ。推薦合格、おめでとうございます」
「ありがとね。直枝君は来年どうするの?やっぱり進学?」
「ええ。第一志望C判定ですけど。あ、カップとってください」
きんかん星人とぽんかん星人のプリントがされたマグカップに黄緑色の液体が注がれる。
「はい、お茶入りましたよ」
「ありがと…てちょっと薄くない?これ」
「あれ、ほんとだ。やっぱり安物は出が悪いのかな」
やっぱり180g95円のお徳用パックじゃだめかなぁ…あとでクドにお勧めを聞いておこう。茶葉を足しながらそう考える理樹だった。
「退屈よねぇ…」
「退屈ですねぇ」
「実際のところ、直枝君個人としては、やり直したいと思ってるんでしょ」
クッキーもなくなり、もうそろそろ飲みすぎかな、と理樹が思い始めたあたりでまたもや唐突に。
「…そうですね。でもやっぱり佳奈多さんにその気がないと…」
「そう思ってぐだぐだしてるうちに元に戻れなくなるものよ。それに、多分だけどかなちゃんはあなたのことがまだ好きなはずよ」
「そうですか?」
「そうゆうもんよ。君からアタックかければ、きっと落ちるわ。この手の相談だけはよく受けるこのあーちゃん先輩が言うんだから間違いない、はず。多分。あ、お茶お願い」
「飲みすぎじゃないですか?もう5杯めですよ」
そういいながらも先ほどのあまりを急須から慣れた手つきで注ぐ。湯気は立たなかった。
「…ぬるいしやっぱり少し薄いわね。また話変わるけどさ、実は直枝君あてにこんなもの預かってるのよね」
「何です?」
「手紙。杉並さんって子からよ。大体想像はつくけど中身は見てないわ。近頃の子は耳がいいのねぇ」
にやりとおばさんくさく笑う前寮長から封筒を引ったくり、その中から薄く色がついたルーズリーフの紙を取り出し、三行しかない文字列を目で数度繰り返し追う。
そしてその手紙を封筒に戻し、丁寧に鞄にしまう。
「かなちゃんも最近人気出てきたし、こりゃぁ今頃かなちゃんにも一つくらい…ってあれどうしたの?」
「ちょっと出てきます」
「どっちに?」
「…両方です」
「がんばんなさい、かな?留守番は任せて。鍵は開けておくわ」
「ありがとうございます。それじゃいってきます」
窓の外は雪がちらつき始め、すっかり日も落ち、蛍光灯の明かりが照らす寮長室の中。
「…やっぱり…あの時キープしておくべきだったかな…」
そうつぶやきながら茶葉を足しても薄いお茶をすする姿は、やっぱりどこかおばさんくさかった。
お茶が薄いのは電気ポットのコンセントが抜けていてお湯が冷めかけているのが原因だと気づくのは、机から出した徳用のりあられが残り2個になったころのことである。
同時刻、女子寮旧館の一室にて
「ねぇ姉御、なぜ私たちは二人で人生ゲームなどに興じているのでしょうかネ」
「さあな。おや、子供が生まれたか。祝い金をもらおう」
「もう子供乗り切れてないじゃないですか」
「3回ほど君にノリでスタート地点に戻されたからな。養育費がかさんで仕方ない。ところで葉留佳君」
「ハイハイ?」
「人生と名乗るぐらいならもう少し若いところからはじめてみいいと思わんかね。生まれるは無理にしても中三あたりから」
「どうすかネ」
適当に返事をしてルーレットを回す。
「さらに現実は小説より気なりともいう。タイヤキくわえた少女にぶつかられたり、校門で立ちどまってるところに声をかけられたり、娘を産んだら嫁が亡くなるとかとかのイベントも付加して見たらどうだろうか。
母親が蒸発して大道芸で稼いでいくしかないとかのスタートでもいい」
「それ別のゲームになってません?確かに人生はいってますけど。あー借金がまた…」
「フリーターやって、ギャンブルで大損して、転職に失敗、給料日以外の収入のマスにはあまり止まれない…それでも破産はしない君の強運には驚かされるよ」
「いやぁ人生の幸運をここで使い切ってる気がしますヨ」 来ヶ谷がルーレットを回す。
「ふむ、…また子供が生まれたぞ。ピンが足りん」
「どんだけヤッテるんですか…」
「知るか。そんなジト目でみるな。…時に少年と佳奈多君の話はきいたかね」
「…もちろん。というか多分直接最初に本人から聞いたのが私デスネ。『飽きた。』っていってましたヨ」
「チャンスじゃないか?少年のことが好きだったのだろう?杉並女史は動いたようだが」
葉留佳の手でルーレットが回る。
「姉御こそいいの?黙っててもわかるよ」
「私はすでに振られた身だよ。君なら…おや、久しぶりの高額収入じゃないか」
「借金返済に全部消えますケド。…姉御もわかってると思うけどあれは絶対に本心じゃないよ。
それに理樹君は先に佳奈多が手をつけたんだから佳奈多が責任もって最後まで食べればいいんデスヨ。私は私でもっとおいしそうなの見つけようと思うんで」
「そうか」
「私とお姉ちゃんとで共有なら考えたんですがネ。」
「そうだったら私も混ぜてほしいものだな」
「考えときますヨ。おぉ〜月収50万$っすかいいなー。…あ、そうだ。いっそのこと私たちが付き合いません?姉御ならいいっすヨ?」
「ふむ…それも面白そうだな。一考の価値はありそうだ。確かに君とならこうはならんからな」
ピンク色でいっぱいの自分の車を複雑な感情のこもった視線で見る。
「でしょでしょ?」
「だがそれならクドリャフカ君や鈴君のほうがいいな」
「えー姉御ちょっとそれひどいっすヨ」
来ヶ谷が笑いながらルーレットを回し、次に葉留佳がまわす。数回の繰り返しの後、また一人、今度は長男が生まれた。
昨年の冬に書いて、お蔵入りにしていたssです
一応、まともに形を成したものとしては、初ssになるのかな…
最終的に何を書きたかったのか、正直、過去の自分がよくわからないです。
一人称とか表記とか、投稿してから見直すと怪しいところがたくさんある…
スレ汚しすいません…
なんか、久しぶりに血肉沸き踊る筋肉祭をみたよ。GJ! あなた「しょうがねぇな・・・」
唯「わぁ(キラキラキラ)」
あなた「あ・・財布が・・」
唯「ZU-N」
あなた「お、キャッシュカードが」
唯「キラキラキラ・・」
あなた「いや、レンタルビデオの会員カードだった」
唯「絶望した!!!」
あなた「おもしれー・・・」 個人的な話だけど、ちょっと病気にかかった。
体調悪くてごめんだけど投稿してみる。
「ホントウに行ってもいいのかなぁ」
背中を押されたい気分のままで投げやりに尋ねていた。
ちょっとというよりも、もう少し大きな勇気があれば、独断で決めて、
みんなの返事を待たずに足を踏み出している。
「駄目だぞそんなことじゃ。君は謝らなくちゃならないんだから―恭介氏に
会う義務があるとさえ言ってもいいだろう」
「いいのかなぁじゃないよ〜」
「そうだ理樹。オレも一緒に行くからよ。な」
これはとんでもない不運な出来事だったんだ。
「ショートへのライナー性のボールをさばく恭介は輝いていたよ。それは
みんなも認めているところだと思う。でもあのときのはさ、よっぽど
強振だったんだろうね、グローブを突き抜けちゃうなんてさ」
あのとき、僕が放った一打は恭介のグローブの親指と人差し指の間にある
隙間にぴたりとはまったかに見えた。が、ボールは恭介の頬に直撃していた。
軟球とはいえバンって鳴って、みんな騒然としてしまった。
「人ごとのように見えるぞ? お前はもう子どもとは違う。
スポーツであればこういうこともあろう。だからだ。なぜ謝らなかった。
時が経った今ではやつも真っ直ぐには聞いてはくれないかもしれないぞ」
謙吾にひとにらみされる。言われたことはもっともなことだった。
僕は独りで階段を下り、保健室をあたっていた。
誰かいますかと声を投げかけれども何の応答もない。
なので引き戸をするりと開けて中に入る。けど、恭介がおとなしくしている
と思ったのは僕の間違いだったようで、人の気配は感じられない。
「大事なときの一言が出ないなんて、……はぁ。
それにしても……誰もいないなぁ……」
ふと疲れを感じてベッドの上に身を投げ出していた。体、頭とともに低反発の
枕が深く沈み、頭上のクーラーからの風が足元をひやりと冷やした。
そのままの姿勢ではもう今にでも寝てしまいそうだったので、体を横に倒した。
心の中で、友達がいのない友達だろうなぁと自分のことを自分で卑下してみる。
すると不思議なくらいに孤独な気持ちになっていく。駄目だなって。
それが自然な状態の僕なんだろうと独りで納得のいくまでの瞬間を、この部屋の中
で待ちつづけていた。僕が僕を避けているようなさまだった。
彼は手をだらりとぶらさげて、そうしてそのまま動かなくなってしまった。
白い手首は細く、やつれたさまがありありとしていた。
僕はここがどこなのかが分からないし、彼が誰であるのかも知らない。
だから当然のごとくして流れ落ちる涙もなかった。
これは、予見された未来と過去の両方としてありうる夢だった。
青年の親族とおぼしき女の子の声が、耳の中で延々とコダマする。
僕の気持ちをたまらなく重くした。漠々とした心の奥で
蚕の糸に絡めとられた鳥が、野犬に緋色の羽を引き裂かれた。
今偽物の生として起きているこの痛みは、いつしか僕の心の内側へと
移りよって来るのだろうか。未だ眠れずにいる僕は――
「理樹。どうした」
目を開くと、恭介がいた。記憶が混在していることは不思議なことではなかった。
「ああ、ごめん痛くなかった。って、あ、さっきのことなんだけどさ。
何が起こっているのか分からなかったんだ。いや、今でもあまり
分からないんだけどさ、頬……大丈夫? やっぱり腫れてるよう
に見えるよ。痛い……よね、ごめん」
僕は気を使っているようでまるで気を使っていない口調ですらすらと謝罪の弁
を述べ立てた。こんな僕だけど、
「理樹がなにかしらの責任を果たさなければならないような何かなんて
あったか? 疲れてるようならここで少し寝ていたほうがいい。
元気があったらまた明日しような」
恭介はまったく気にせずにいてくれた。
「ありがとう 」
片手を挙げて部屋を出て行く恭介に僕は、心からの気持ちを伝えていた。
崖から転落し,鈴と理樹は潰れたバスの間の少しの隙間に入っており,なんとか脱出出来た
理樹は奇跡的にも打ち身だけで済んだが,鈴は右足に大きなけがをしていた.
「鈴,危ないからここで休んでて.僕は恭介達を助けてくる」
しかし命に別状はないと考え,次に鈴を座らせておいてバスの中から他のメンバーを救出しようと中を覗き込んだとき,理樹はさっきまで楽しく騒いでいた仲間達の無惨な姿を眼にした
能美クドリャフカの頭は潰れ,なんとかクドと判断出来た材料の亜麻色の髪をただ紅く染めていた
西園美魚の胴体は,皮肉にも彼女の好きな本達を入れるための大型の旅行ケースと床の間に挟まれ,下半身と上半身が違う方向を向いたまま,その眼は虚ろに虚空を眺めていた
バスの中はそれがバスなのか既に廃棄されたスクラップなのかもわからない状態で,また,声を上げる者は居なかった
理樹達が助かった空間と反対側にあったもう一ヶ所の空間に三枝葉留佳が無傷で横たわっているように見えたが,彼女の腹には折れた鉄パイプが貫通していた
空間の傾斜の先には,血貯まりができていた
真人と謙吾は,落ちてゆくバスの中で何かを守ろうとしたのか,潰れ行く車体を筋肉で押し戻そうとしたのか,二人とも手が血まみれで,頭を打って気を失ったまままた挟まれたようだった
真人の右手右足と,謙吾の左足は,座席の詰めたい骨格の向こう側に曲がってはいけない方向に曲がり,一部の骨が皮膚から突きだしていた
謙吾の脇腹を抉った棚の残骸の下には,謙吾の腹の中にあるはずのものがこぼれていた
「…………!!!!!!!」
理樹はその人間の中に入っているものだということが信じられないような臭気と光景の中,これは鈴に悟らせるわけにはいけないと考え,まだ見つけていない恭介を探すため,一度車体から出た
その際に近くの樹に座り込んでいた鈴に聞かれた
「理樹…みんなは、だいじょうぶなのか…?」
理樹は本当のことを答えられなかった
本当のことを答えたら鈴は壊れてしまうかも知れない
そう思ったから.
「みんな気を失ってるけど,大丈夫だとおもう.」
こう答えた.
すぐにばれてしまう嘘を今は鈴のショックを和らげるために吐いた 個人的な話だけど、今ネット環境なしだからとある漫画喫茶から投稿。
今後も復旧には時間がかかります。物語性がないような話で申し訳ない。
こうなるのはなぜだろう、にしても、経験上からすれば今穏便……?
他力本願ながら緊張がいい意味でほぐれることを祈っています……。
グラス2割ほどに注がれているハーブティーに口をつけた。
もうかれこれ二時間ほど座り続けているので腰が疲れていた。
伯は、痺れを切らしたように尋ねた。
「キミはどうしてこの謎を追うのかね」
私は、そのものが問いであるようなあの青白い男にただ興味と憐憫を
感じているのだ。そこに一人分の命が埋もれていることを確認したいのだ、
とそう答えた。
スタンドライトに照らされたノートに適当な言葉を並べているのは西園美魚。
「……あまり…意味はありません」
やがて、うつらうつらと書きかけの小説のようなもののその上に伏せって、
こくりと寝付いてしまった。
長い年月が経ったと思う。
どれだけの日々が経ったのか把握できないくらいに、時はよく流れていた。
持ち込んだ1ホール分のケーキを葉留佳さんに披露して、お店のひとの了解を
得ようとしに行った隙にこれだ。
「あれ、トッピングのフルーツが少し減ってるんだけど」
「いっぱいあるからひとつふたつだったらバランスよく食べれば気づかれない
かなーなんて思いましての行いでございますデスヨ」
葉留佳さんの口元にはいかにも今食べましたと言わんばかりにクリームが
ちょこんとついていた。わるびれた風にはみじんも感じられないので、
内心では『はるかさんだから』を付けて納得をした。
今はまだ夕方の5時。実は到着がかなり早すぎている。
僕は真人からのメールで4時半に待ち合わせだと知ったのだけど、
家を出たあとで真人からの訂正メールを受けた。6時半だって知らされた。
「みんなに会えると思うと待ち遠しくなりませんかネ?」
葉留佳さんは何故かこの時間にいるし、やけにテンション高いようなのが
わからなくもないんだけども、久しぶりのこの日常のヒトコマ。
葉留佳さんがいるとなんていうか、安心……いや、
なにか理不尽なことが起こるんじゃないかだとかで心配してしまう。
「そうだね。でももうたべちゃだめだからね」
ふたりでいると、時が流れるのがまた少し早くなったように感じた。
いつだったかは正確じゃないんだが……明石焼きを食いに行くか
ってことになって西園と商店街の屋台にまで出かけた。
空模様がよくなかったからおっさんからパックを受け取ってすぐに、
「これは(寮に)戻ってから食べたほうがよさそうだな」
って声をかけたんだ。だがあいつさ、いいですって言うんだよ。
(一瞬肯定の「いい」なのかと思った……)
そしてさ、
「あの場所があいてます。座って食べてみるのはいかがですか」
なんて言って中央広場にある棚田みたいな石段にハンカチ敷いて
腰下ろしはじめたんだ。
俺としては天気さえよければなぁ……だった。
でもあいつが珍しく乗り気だったから隣に座ることにしたんだ。
出来たてのほうがうまいってのはまず間違いないし。
で、俺たちは並んで座って容器を開いたわけだ。そうしてから
輪ゴムを取ってしまうと、ふわっふわの蒸気のやつは立ちのぼらざる
をえないわけだ。ああ。それはもうふわっふわだから俺たちの顔を
つつみこむわけだ。いや、もうそれはふぁさっふぁさだ。
すると西園のやつなんて言ったかな……、何も言わなかったな……。
なんつーか別に俺たちは恋仲じゃなくて明石焼きやその他間食で結ばれた仲で、
お互いにワッフルのトッピングにゆずれないものがあったりと趣向の違いもある
わけだ。だからこそその場で違和感をおぼえてしまったことがある。
「なぁ西園」俺は声をかけたよ。そしたらあいつも手を止めて言った。
「……許してはもらえないのですね」と。
分かるよな、理樹。明石焼きってのは普通はだし汁で食うもんだ。カリカリの
表皮にじゅわっと染みて、口の中でまた渾然一体とよみがえる……至高の一味だ。
紅ショウガまではいい。しかしマヨネーズ? 一体どういうことだ?
どういうことになる? 俺はどうすべきだった?
ふぁさっふぁさの湯気の立ちのぼりによって俺の前髪はもうくるくるだった。 >>236
,,....::::::::':::::ヽ
____,......::::'''::::::::::::''、´:::::::::::::::::::::::::l
l::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::\::::、::::::::::::::::::::l
.l::::::::::::/:::/::ハ:::lヽ::::::::::::::\:::::、::::::::::::/
l:::::::〈::::/、( ゙、! ヽノ\::::::ヽ:::::::、:::/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
l::〈:::::〉 >、:::ヽ::::::::\ | う ぶ き |
/:::::〉\_ ィ´=ミ、::::ヽ::::::::::::| ち っ え.. |
/::::/:!/,"::ヾ' "lO:::::ハ } :::::、:::::::::::|. に と .ろ ..|
.,-.、/::::/::::::l l:l:::::lj し::ノ;ノ '"';::::lヽ:::<.. な. ば . |
lこ!l :/:::::::::i `=" ' `¨ ⊂⊃ソ;:l丿::::l|. ! さ .. .|
| | .__::::::::::ゝ⊃ <^ .-v ,--イ|ハ:::::| | れ . |
r┤ }イ fヽ\|` _ `ー‐' _ i';/|:::/リ ` | ん . . ..|
〈 { ノ-、 ¨T:::' L-、__ \_____/
| ヽ } __ノ´rノ .r‐‐‐/  ̄,, ̄ヽ
ヽ //  ̄ |―‐‐/ ,,'' イヾ丿 >>237
,,....::::::::':::::ヽ
____,......::::'''::::::::::::''、´:::::::::::::::::::::::::l
l::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::\::::、::::::::::::::::::::l
.l::::::::::::/:::/::ハ:::lヽ::::::::::::::\:::::、::::::::::::/
l:::::::〈::::/、( ゙、! ヽノ\::::::ヽ:::::::、:::/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
l::〈:::::〉 >、:::ヽ::::::::\ | う ぶ き |
/:::::〉\_ ィ´=ミ、::::ヽ::::::::::::| ち っ え.. |
/::::/:!/,"::ヾ' "lO:::::ハ } :::::、:::::::::::|. に と .ろ ..|
.,-.、/::::/::::::l l:l:::::lj し::ノ;ノ '"';::::lヽ:::<.. な. ば . |
lこ!l :/:::::::::i `=" ' `¨ ⊂⊃ソ;:l丿::::l|. ! さ .. .|
| | .__::::::::::ゝ⊃ <^ .-v ,--イ|ハ:::::| | れ . |
r┤ }イ fヽ\|` _ `ー‐' _ i';/|:::/リ ` | ん . . ..|
〈 { ノ-、 ¨T:::' L-、__ \_____/
| ヽ } __ノ´rノ .r‐‐‐/  ̄,, ̄ヽ
ヽ //  ̄ |―‐‐/ ,,'' イヾ丿
「どうしてだよ」
思案したあげくの果て、西園の手にあった(まだかけてはいなかった)マヨを
奪い地面へとたたきつけた俺は、さらに西園の右頬をはたこうとした。
そのときのあいつの顔は忘れられないものがある。
「なにするんですかっ。わたしに、私にするのであればまだしも……
マヨネーズにそんなことしなくてもっっ」と泣き出してしまっていた。
そうされるともう終わりだ。そこで俺ができることなんてない。
すっかりうろたえてしまった俺はごめんなと謝っていた。
涼やかな風が通り過ぎていったのをよく覚えている。
崖から転落し,鈴と理樹は潰れたバスの間の少しの隙間に入っており,なんとか脱出出来た
理樹は奇跡的にも打ち身だけで済んだが,鈴は右足に大きなけがをしていた.
「鈴,危ないからここで休んでて.僕は恭介達を助けてくる」
しかし命に別状はないと考え,次に鈴を座らせておいてバスの中から他のメンバーを救出しようと中を覗き込んだとき,理樹はさっきまで楽しく騒いでいた仲間達の無惨な姿を眼にした
能美クドリャフカの頭は潰れ,なんとかクドと判断出来た材料の亜麻色の髪をただ紅く染めていた
西園美魚の胴体は,皮肉にも彼女の好きな本達を入れるための大型の旅行ケースと床の間に挟まれ,下半身と上半身が違う方向を向いたまま,その眼は虚ろに虚空を眺めていた
バスの中はそれがバスなのか既に廃棄されたスクラップなのかもわからない状態で,また,声を上げる者は居なかった
理樹達が助かった空間と反対側にあったもう一ヶ所の空間に三枝葉留佳が無傷で横たわっているように見えたが,彼女の腹には折れた鉄パイプが貫通していた
空間の傾斜の先には,血貯まりができていた
真人と謙吾は,落ちてゆくバスの中で何かを守ろうとしたのか,潰れ行く車体を筋肉で押し戻そうとしたのか,二人とも手が血まみれで,頭を打って気を失ったまままた挟まれたようだった
真人の右手右足と,謙吾の左足は,座席の詰めたい骨格の向こう側に曲がってはいけない方向に曲がり,一部の骨が皮膚から突きだしていた
謙吾の脇腹を抉った棚の残骸の下には,謙吾の腹の中にあるはずのものがこぼれていた
「…………!!!!!!!」
理樹はその人間の中に入っているものだということが信じられないような臭気と光景の中,これは鈴に悟らせるわけにはいけないと考え,まだ見つけていない恭介を探すため,一度車体から出た
その際に近くの樹に座り込んでいた鈴に聞かれた
「理樹…みんなは、だいじょうぶなのか…?」
理樹は本当のことを答えられなかった
本当のことを答えたら鈴は壊れてしまうかも知れない
そう思ったから.
「みんな気を失ってるけど,大丈夫だとおもう.」
こう答えた.
すぐにばれてしまう嘘を今は鈴のショックを和らげるために吐いた >>240
. . :-─────-: . . ._
,. . : :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
/ : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : \: : : : :\
': : : : : : : : : : : /: : :/: : :/: : : : : ヽ: : : \: : : : :ヽ
. /: : : : : : : : : : : /: : :/: : :/: : : : : : : }: : : : : :',:. : : : : .
/: : : : /: : : : : : ,′: /: : : :|: 、: : : : :∧: : : : : i:.: : : : : i
,′ : : /: : : : : : :{ : : ,′ : : |\\: : / __V_: : : |:.: : : : : |
,': : : : /: : : : : : : :i: : :| : : : : |\\∨´ V: : : l:.: : : : : |
: : : :./: : : : : : : : :|: : :| : : : : |\\/ ∨ /}:.: : : : ∧
′: : :{: : : :/ : : : |: : :| : : : : | : ヽ/ ,ィ示r ∨∧:. : : /:|
: : : : :,': : :/: : : :/ : |: : :|: : : : : ',: :/ 〃 んハ } rイ|: : /: : j
i: : : /: : /: : : :/: : ∧: :l : : : : : ∨ { {トx} {リj/|:.: :/
|: : /: : /: : : :/: : : { ∨: : : : : : ∧ ー' ヽ:.:. |:.:/
|: /: : /:. : : /: : : :八 ∨: : : : : : ∧ //// }:.: |/
|/: : /:.:. : /: : : : ':.:.:.\.}: : : : : : : : l __ ′ |
{: : :,':.:.:. /: : : : /:.:.:.:.:.ハ : : : : : : : :! { ⌒/ /:.:. :| なんていうか・・すごくつまらないですね!!!
l: : :|:.:.:.,': : : : :/:.:.:.:.:/ | : : : : : : : | ー' /:.:.: :|
V: :|:.:.:|: : : : /:.:.:.∠_ ハ: :iヽ: : : :|__ /:.:.:.:. : |
\{\{: : : /:./-──- V ',: : : |:.:.:.:丁 二:.:.:.:.: : /
∨/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:\V: /_ノ人 }:.:.:ノ/
/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.∨::.::.::.::.::.:ヽ ノ//
/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.}ヾ:.:.::/⌒Lう、
. /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.∧: ∨ } )
秋のよい日和りの中、アスファルトから突き出た雄日芝
をひと房ずつ刈り込んでいる謙吾のもとに、
「まめだな。普段から」と恭介がやってきた。
恭介が尋ねると謙吾は手を休めて口を開いた。
「見落としやすい場所なんだ。
でこぼことして走りづらくてな、俺はよくここで滑る」
と、謙吾は高木の影の下で微笑を浮かべた。そして、
自身の日課と言わんばかりに黙々とした作業に取り掛かろうとしていた。
恭介は隣に並んで(……なんて退屈な作業を続けるやつなんだ)
と思いながらも手に鎌をたずさえて、手伝う気満々だった。
「なぁ、終わったら後で缶コーヒー奢ってくれ」
「勝手に手伝いに来てなんだそれは」
こうして一日が、何事もなく過ぎ去った。
小毬と近くの公園まで散歩に出かけてしまった理樹に取り残されて
しまった井ノ原真人は、これ以上ないくらいにヒマをもてあましていた。
「くっっやべぇ、理樹のやつがいねぇとこんなにも時間が長く感じるとは
思いもしなかったぜ」
一人身もだえするこの物体を、特別に加工された教室から眺めている来ヶ谷
唯湖嬢は、「もうすぐ十月だというのに」と暑苦しさを感じていた。
彼女と真人との距離は10mほどあり、その中間点にはバードフィーダー(鳥
のエサ台)や生け垣が置かれている。なので唯湖は真人のことをなかば鳥たち
を鑑賞するのと同じ態度で鑑賞していた。
だが、真人の野性的な視力によって一瞬で発見された彼女は、見られる側へ
と転換してしまう。
「んぁ?あそこにいるのは……」
「――――」
遊び相手にされてしまうのが不服な彼女は、真人に背を向けて、カップに室内の備品である
粉コーヒーを入れ、お湯で溶かしてから氷を入れて、アイスコーヒーにして飲むことにしよう
とした。
だが、そうしている間にも金木犀の間をかきわけて彼は近づいてきた。
「来ヶ谷じゃねぇか。おーい、オレにもそいつを飲ませてくれねぇか」
トイレの芳香剤に似た甘めで強い香りを漂わせながら、彼は言っていた。彼の頭上にはナガ
コガネグモの巣がからみついている。
「あがるならあがっていけばいいが。……何かいろいろなものにまみれている事を自覚した方
がいいぞ、キミは」
丁度ふたつあるスコーンの片一方を差し出してコーヒーでおもてなし。
「ありがとよ」
真人はなだめられるたかのようだった。
暇だから久しぶりに頭慣らしにSS書きます。
落ちも山もないただのtestテキストだから期待しないで下さい。
あと、俺がここに書いたSS全部、保管庫にきちんと入れてSS情報サイトに登録します。
時が迫っていた。
私は必死に彼女のいるこの機内のファーストクラス目がけて走る。
彼女はすぐそこにいる。午前9時51分。彼女はここからエコノミークラスのある人物に例のモノを渡すことになっている。
そしてそれを奪還するのが私の役目。
コード名「秘宝」。
私に課せられたその任務とは、日本から海外サーバーに少しずつ流れ出ている、日本の官民の戦略と技術情報の元を突き止めて食い止めること。
午前10時2分。あと、3分で彼女は出てくる。愛用のベレッタに手をかける。
ーーーカチャリ
ドアの空いた瞬間、彼女の前に立ち塞がり銃を彼女の胸を照準にして構えた。
「そこまでよ、香織」
香織…CIA諜報員カオリ・アリーナスは驚いた顔で私を見た後、すべてを悟ったのか遠い目で私を見つめる。
「沙耶…いえ…さすがはトレジャーハントウィッチィといった方がいいのかしら…すべて気付いていたのね……」
「ええ、そうよ。そのバッグをこちらに渡しなさい。妙な真似をすれば即座に胸を打ち抜くわよ」
「でも、ここは治外法権よ? 撃った瞬間、あなたは国際犯罪者になりステイツの軍法会議にかけられ、
あなた自身の身分も国際的な日本の地位も地に落ちることになるわ」
カオリは堂々と「それ」が入ったバッグをぶらぶらとさせ余裕の表情をみせる。
「バカなことを言わないで。日本の領空のどこに治外法権が…」
そう言った時だった。
ーーーゴォォォーーーーン
戦闘機の音? あれはF22!
そんなことって…!!
「まさか……!」
「その通り。ここは在日米軍基地の上よ」
なんでなのよ…! あれほど米軍内のテリトリーには入るなと上に直訴したのに…!
「残念だったな。沙耶」
後ろから聞き覚えのある深みのある低い声がした。
「あなたは…!?」
「そうだ。俺だよ」
振り返ると、私がよく知っているあの人だった。
「もしかしてあなたが…!!」
「明察どおり、お前の推測は当たっている」
「信じられない…あなたが裏切るなんて…」
「その前にカオリを放してやってくれないかな」
どうする? 考えるのよ!
でも、これをどう考えればいい?
この人が裏切り者だとするとこの機内にも仲間が乗っていると考えていい。
いったい、どうすれば?
考えるのよ! まだ詰んではいない!
諦める訳にはいかない! 最後の最後まで…!!
「おねーちゃんっ!!」
何か聞こえる…
「おねーちゃんっ!! 起きてってっば!!」
うるさいわね……私はもっと夢の続きを見たいの。
「新学期早々、遅刻する気!? ねぇ! 起きてってば!」
この後、沙耶はどんな行動を取るのだろうか?
私なら絶対に任務を完遂する為に最後の情報は渡さない。
しかし、あの状況でどうすればいいのだろうか?
私なら……
「この…!!! 起っきろーーーーーーーーーーーー!!!」
ーーーどおぉん!!!
眠い。特に日曜明けは。
目をこすりながら目の前の目玉焼きをつつく。
葉留佳は一体どんな起こし方をしたんだろう?
なんだか、やけにお腹が痛む。
「おねーちゃん、はい、塩コショウでしょ?」
「ん、ありがとう」
葉留佳に取ってもらった塩コショウを目玉焼きにかける。あ、かけすぎた。
「リボンほどけてるよ」
「ん、ありがとう」
葉留佳に指摘されたリボンを結びなおす。うっ、締めすぎた。
「あ! UFOだ!」
「ん、ありがとう」
そう言って目玉焼きを口に入れる。葉留佳がが作ってくれる料理はなんでもおいしい。ちょっと辛いけど。
「だめだこりゃ…」
葉留佳の呆れた声が聞こえた。
いつもは寮生活のため葉留佳が起こしてくれることは滅多にないが、
月曜日の朝は毎回、葉留佳が私を起こすと決まっている。
なぜなら日曜日には一緒に葉留佳の家に帰るため、気が抜けて一週間の疲れを癒すことができるからだ。
気を抜いて葉留佳との時間を持つとリラックスしすぎて夜中まで自由にできるため、夜更かしして朝が起きにくくなるのだ。
窮屈な二木の家と学校の寮も行き来している身としては葉留佳の家は格段に落ち着く。
今日の夢も葉留佳の勧めでスクールレボリューションという漫画を読破してしまったからだろう。
「いってらっしゃい。二人とも」
母さんの優しい笑顔に私たち二人もいつものように答える。
「「いってきます!」」
私たちの最後の学園生活が始まる。
学校につき、葉留佳とも別れ、いつもの寮の部屋に授業の用意を取りに行く。
「あ、佳奈多さん、おはようございます」
「ええ、おはよう、クドリャフカ」
「今日から、いよいよ最上級生ですね」
「ふふ。クドリャフカは新入生と間違われそうだけどね」
「絶対にそんなことはないですっ!!」
「じゃあ、リボン着けないで今日一日いてみなさいよ」
「ええ、いいですよ。今までの私とは違うことを見せてあげるのです!」
軽くクドリャフカをからかうつもりがムキになって本気になっていた。
ちょっと、やりすぎたかも知れない…
このまま行くと絶対、今日の入学式後のクラブ活動の勧誘で一年の子に新入生と間違われるに違いない。
確かにクドリャフカは成長してると思う。身長も7cmも伸びて出るところも出てきた。
でも、それは中学二年生が三年生になったようなもので、元の幼さは変わってないため結果は用意に想像できる。
新学期早々凹ませるわけにもいかない。
これでもクドリャフカのことはよく考えているのだ。
「冗談よ、冗談。本気にしないで」
「いいえ、私も女です。もう、子供じゃない事を証明してみせます」
「大丈夫よ。もう証明してるじゃない。あなたの成長は…」
「いいえ。論より証拠です。最上級生としての威厳というものを見せてみせます!」
ああ…誰かクドリャフカを止めてあげて…
私は風紀委員を引退しどこにも属さなくなった。あーちゃん先輩の「寮長になりなさいよ」の誘いも断った。
少しでも自由が欲しかったからだ。二木と三枝のしきたりは相変わらず続いている。
それでも母さんと父さんたちが本家に圧力をかけてくれるおかげで、私の生活も随分楽になった。
週に一度、葉留佳の家に泊まることを許された時は涙が出そうだった。二木の叔父たちも私に手を上げることがなくなった。
本当なら完全に解放されたいけど現実はシビアだ。日常はそう簡単には変わってくれないし変えられない。
でも、これから先の未来を考えたら、私自身が学生生活を本当に楽しめるチャンスはこの三年生の時期にあると思う。
そう思っていた。そして期待していた。私が大きく変われるチャンスでもあると。
しかし、この予感のさらに斜め上に行く学園生活が待ち受けているなど私がわかるはずもなかった。
「おねーちゃん!」
その声の方向を振り向くと、クラス替えの発表が書かれた紙が張り出されている場所から、私の方に走ってくる葉留佳だった。
「やったよ! おねーちゃん! なんと、また一緒のクラス!」
葉留佳のその言葉に、私は期待通りの楽しい学園生活が送れる気がした。
「そう。よかったわね」
「あとね。姉御と理樹君と鈴ちゃんと真人くんとクド公も一緒だよ」
「へえ。来ヶ谷さんとクドリャフカもなの」
「残念ながら謙吾くんとみおちんとこまりんは別のクラスだけど…」
「そう」
微妙な人選だと思ったが。まるで私の為に選んでくれたように見えた。
正直、棗さんたちは苦手だったが、風紀委員でない以上どうってことない。
教室に入る。前のクラスの人たちがチラホラ見える。うん。どうってことない。
へえ。笹瀬川さんもいるのね。なんだか個性的なクラスね。
棗さんと騒ぎが起こっても注意しなくていいわけだから楽だわ。
そんな心の思いもホームルームで空しくみんなに裏切られるのだった。
「ではクラス委員は誰にしますか? 立候補でも推薦でも構いません」
その先生の一言が原因で。
「二木さんがいいと思います」
「俺も」
「私もそう思います」
「僕も同じ意見です」
「横に同じく」
「っていうか、二木以外いないだろ?」
「ま、おねーちゃんが妥当ですネ」
「以下同文」
うう…誰か私の自由を返して…私は少しでも自由が欲しいのよ…
こういうのには慣れっこだけど、正直言って、なるべく生徒会関係の仕事はしたくない…
>支援サンクス
さらに美化委員や図書委員など複数委員を兼業させられるのだった。
いえ、兼業するしかなかったというべきか…
最初に個性的なクラスと言ったが取消させてもらうわ。
自分勝手なわがままクラスなだけ。
みんな、委員や係の押し付け合いで、終いには喧嘩にまで発展しそうになる始末。
「図書委員は頭の悪い井ノ原真人がやるべきだと思います」
「あ、鈴、てめーずりーぞ。お前がやればいいだろが」
「いやだ」
「俺もおんなしなんだよ! フッ…筋肉委員ならやってもいいけどな」
「死ね、ばーか」
「んだと! てめー!」
棗さんと井ノ原真人のやりとりに思わずこめかみを指で押さえる。
「いい加減になさって! 迷惑ですわよ!」
「じゃあ、ささ子。お前がやれ」
「さ・さ・せ・が・わ・さ・さ・みですわ! わたくしはソフトのキャプテンで忙しいんですのよ」
頭が痛くなってきた。昨日、あまり寝ていないせいだろうか。
「あの…先生…」
私は思わず先生に決まるまで代りにやると言ってしまった。どこまで良い子ちゃんぶってるんだろう私は…
おかげで気付けば数多くの「暫定」委員になってしまっていた。
ああ、もう…今日は早く寮に帰って寝たい…
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています