「どうしてだよ」
 思案したあげくの果て、西園の手にあった(まだかけてはいなかった)マヨを
奪い地面へとたたきつけた俺は、さらに西園の右頬をはたこうとした。
そのときのあいつの顔は忘れられないものがある。
「なにするんですかっ。わたしに、私にするのであればまだしも……
マヨネーズにそんなことしなくてもっっ」と泣き出してしまっていた。

 そうされるともう終わりだ。そこで俺ができることなんてない。
 すっかりうろたえてしまった俺はごめんなと謝っていた。
 涼やかな風が通り過ぎていったのをよく覚えている。