花壇の脇に咲いているノアザミの色は褪せ、季節は移り変わろうとしていた。
「あ、挨拶は時の氏神。い、石の上にも三年。う、有為転変は世の習い」
「――『え、得がたきは時、会いがたきは友』でいい?」

廊下を散策していた杉並に声をかけてきたのは理樹

「あっと、急に割り込まないでください。私としては……そうですね、
『枝を矯めて花を散らす』がいいと思っていたんですよ」
「そう、それじゃあ悪かったかな」
変わった子だと思いながら、理樹は廊下を過ぎ去っていった。