お〜い、誰かyet11の行方を知らんか? Part3
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0003名無しさんだよもん2009/05/02(土) 20:28:23ID:wrGFVS/60
127 名前:だったような気がする[sage] 投稿日:2005/11/21(月) 02:42:16 ID:DpNyYEGn0
友達とか、戦友とか、仲間とか。
そんなものじゃなかった。
まあ、いわゆる社会人としてのつきあい。
それ以上でも、それ以下でもなかった。


「ええ、明日に例の新商品10個出荷、月曜日到着ということで……はい。よろしくお願いします」
受話器を置き、そろそろ汚くなってきた天井を見上げて一息つく。
時計に目をやり、7時半である事を確認。
“今日は閉店と同時に仕事上がりだな”そんな事を考えながら、店番をしているバイト君に声をかける。
「おーい。今日早めに上がっていいよ。時給には影響しないから」
「いえ、大丈夫です店長。閉店時間の8時まで任せて下さい」
その生真面目さに思わず苦笑する。音楽志す人間なんかもうちょっとテキトーでいいのに。
あいつとか、あいつとか。
「今日はこれからスタジオで練習なんだろ? 場代を無駄にしないよう、早めに上がっておけよ」
「……わかりました。この埋め合わせは後日に」
「せんでいい」
0004名無しさんだよもん2009/05/02(土) 20:29:00ID:wrGFVS/60
128 名前:だったような気がする[sage] 投稿日:2005/11/21(月) 02:42:51 ID:DpNyYEGn0
7時50分。開店してから残り10分で客が着た事は無し。
逃げ切り気配濃厚。
今日は頑張ったから、発泡酒じゃなくビールだな。
つまみは豆腐。葱と生姜のコラボレーション付き。
うーむたまらん。
ロッカーは基本的に酒とドラックさえあれば生きていけるのだ。
ドラックに手を出さない以上、豆腐に手を出すしかあるまい。
これで三ヶ月は生きていける。

ガチャ。
ドアが開いた。

“空気読めよ、このやろう”と思いながら「いらっしゃいませ」とスマイルで返す。
帽子を深く被った客は商品に手を取るわけでもなく、俺に向かってきた。
「すみません、道を知りたいのですが」
「ええ、どこでしょうか?」
道案内にも愛想良く。これが商売繁盛の秘訣。
「ここなんですが……」
メモを見せられる。
きったねえ地図。幼稚園時の落書き。
0005名無しさんだよもん2009/05/02(土) 20:29:39ID:wrGFVS/60
129 名前:だったような気がする[sage] 投稿日:2005/11/21(月) 02:43:18 ID:DpNyYEGn0
つーか、チラシの裏に書くな! 
つーか、お日様を書いて顔まで入れるな!
つーか、都心なのに山かくな!

「ずいぶんとアグレッシブな地図で」
「自信作です」
駄目だ。こういう客にはきちんと言わなければならない。
それが商売以前に大人としての義務なのだ。
「ちょっといいですか?」
「地図、わかりました?」
俺は客の帽子を上に引っ張り、こう回答してやった。

「大人気ないですよ、いたるさん」
「えー、やる気が出ないのは吉沢さんのせい……」
こめかみをグリグリしてやった。

久しぶりに悲鳴を聞いた。
0008名無しさんだよもん2009/05/03(日) 00:24:51ID:KiErWYkL0
133 名前:2話[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 01:00:36 ID:icPSBura0
第一問:次の熟語を完成させるために、()の中に接続詞を入れなさい。
    私は〜が得意だ。
    be good () 〜
A:to B:for C:of D:at

「B」「C」

ぶー。
ライフが一つ消える。
50円でライフ4個だから、12.5円が消えた。
おお、即座に暗算で解けた。
日々の店長業務のおかげだ。やはり俺のやってきた事に間違いは無かった。
それに比べて、隣の奴は何をやっているのだ。
「ちょっと樋上さん。こんな問題もわからないなんて、
あなたそれでもコンピューター会社に勤めてるんですか? 勤続ピー年の局でしょう?」
隣の樋上さんに軽く説教を垂れる。
彼女はコンピューター会社にピー年以上勤めているが、“あたし絵さえ描ければ幸せなの!”とモラトリウムに逃げ込み、
未だにフロッピーとDVDの違いがよくわかっていない。
「何を言うんですか、吉沢さん。あなた自称ロッカーでしょう? これくらいの英語がわからないと、
ただの痛い近所のピー路のおっちゃんです。その内近所の奥さんから無言の“早く出てけコール”が起きますよ」
「いえいえ」
「いえいえ」

膠着。
ああ、不毛。

第二問
次の内、第五文型を表しているのは〜

「まあ、今はゲームだ」
「そうですね」
0009名無しさんだよもん2009/05/03(日) 00:25:12ID:KiErWYkL0
134 名前:2話[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 01:01:26 ID:icPSBura0
只今の状況を説明するとこうなる。
閉店間際におしかけてきたいたるが、「ご飯食べたい。でも、その前にゲーセンで遊びたい」
とガキ同然のお願いをしてきやがったので、年長でありレディーファーストを重んじる俺は、
快諾させるを得なかった。

で、選択したのはクイズゲーム。
ガキの頃には難攻不落だったジャンルだが、社会人となった今となっては500円もあれば即落城という、
非常にぬるいゲームだ。
資本主義万歳。

どうやら、クイズに正解するたびに女の子の好感が上がっていき、3月の卒業式までに結ばれるか!?
ってのが売りらしい。
しかし、俺といたるで攻略対象ヒロインを取り合ったため、“複数ヒロインをどっちつがずで追いかける”
という恋愛ゲームのタブーを繰り返していた。
ただ、主人公の名前は一瞬で決まった。
ひさや。
0010名無しさんだよもん2009/05/03(日) 00:25:55ID:KiErWYkL0
135 名前:2話[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 01:02:20 ID:icPSBura0
“あ〜あ。今日は進路相談か。もうそんな時期なんだね”
“ふふ、ひさやくんはどんな道に進みたいの?”
画面の中のひさやがヒロインに対してぼやく。
しかし、イベントの発生が遅れているせいか、今は3年の1月だぞ、ひさや。
言ってやれ、ひさや。
“僕はは君みたいな子が泣きながら股を開いて処女散らすエロゲーのシナリオ書きたいんだ! 
 子供の頃からの夢なんだよ! ……笑わないでよ、恥ずかしいなあ”って
「ゆとり教育の弊害ですね」
「ぶっちゃけ、俺らも他人事じゃねーけどな」
お互い苦笑する。あの業界で、この状況が他人事だと思える奴はそういないだろ。
俺らがいたところだって、そういう奴の集まりだ。
ただ、一つ違っていたのは、たまたまみんな才能があった。
それだけだ。

“これ、ひさやくんに……バレンタインデーのチョコレートとセーター”
“ええ〜!! 嬉しいよ! 大事にするから!”
喜ぶひさや。良かったな、元上司として俺は嬉しい。
「おかしいです、吉沢さん。私女なのにときめいてます!」
「こいついい女だな。ひさやには勿体ねえ。3年の2月14日という事を考えなければ、もっといい女だ」
「彼女はきっと推薦で決まってて、今頃オートマの免許取りに自動車学校に通ってるんですよ」
「おお、無理がない設定だ」
大事にしろよ、ひさや。ところでお前、進路は?

進路については何も触れられないまま、ひさやくんは卒業式にノルマ15問のクイズを乗り越え、
無事に告白に成功して学校生活に幕を閉じた。
0011名無しさんだよもん2009/05/03(日) 00:27:01ID:KiErWYkL0
136 名前:2話[sage] 投稿日:2005/11/22(火) 01:03:35 ID:icPSBura0
ゲーセン帰りの外はいつも心地よい。
騒いで火照った体を、11月の冷気がさましてくれる。

「いたる、お前なんで来た?」

ふと、何気なく最大の疑問を聞いてみる。
Tacticsのお家騒動の跡も交流は存続していたが、コミケ等のおおきいイベントに限っての事だ。
それにここ1・2年はコミケにも行っていないし、かなり疎遠になっていた。
最盛期の時だった、こんな平日の夜にいきなり訪ねるほどの仲じゃない。
なんらかの理由があるには違いなかった。

「ご飯奢ってくれたら教え」
「前払い」

だいたい理由はわかっていた。
悲しいかな、俺はそういう事に関しては経験を踏みすぎてしまっていたから。

「吉沢さんに一目会いたかったか…」
「嘘付け」

もういい。言っちまえ、いたる。

「……」
やっぱり。
0012名無しさんだよもん2009/05/03(日) 00:27:47ID:KiErWYkL0
だったような気がする(久弥編)
 第1話 >>3-5
 第2話 >>8-11               
0013名無しさんだよもん2009/05/04(月) 00:46:50ID:spJENpEB0
141 名前:3話[sage] 投稿日:2005/11/23(水) 01:48:27 ID:plN1TW2X0
「女連中は、あれはあれでたくましいから心配していない」

「あいつは、まあ前の会社でも修羅場潜ってたみてーだからな。
タフだしゴキブリのように死なないだろ」

「あいつは……まあ、馬鹿だからな。ハードル走に例えれば、
ハードル全部薙ぎ倒したり、
スタート直後から逆走したり、
何故かストライキ起こしたり、
周りの走者に喧嘩売って逆にリンチ食らう事くらいしそうな感じがする。
とても心配だ」

「だがな」

「なんだかんだ言っても、あいつは最後までゴールするだろう。
転んでも、逆走しても、リンチされても、自分の足でゴールするだろう」

「本当に心配なのは、お前だよ」

「俺にはハードルで転倒しても、自力で立ち上がるお前の姿が想像出来ない」

「なあ、本当にお前の事が心配だよ。新しいとこでも、やっていけるのか?」

「久弥?」
0014名無しさんだよもん2009/05/04(月) 00:47:16ID:spJENpEB0
142 名前:3話[sage] 投稿日:2005/11/23(水) 01:49:30 ID:plN1TW2X0
目が覚めた。
嫌な夢だった。
せめて寝ている時くらいは、幸せでいさせてほしい。

時計を見る。午前7時ジャスト。
いつもより10分早く起きてしまった。
とても中途半端な時間だ。
寝るのにも微妙だし、早く会社に行きたいわけじゃない。
わざわざ好き好んで、早く行きたいものか。

7時15分。髪セット完了。
会社ではどうせ誰も気にしないと思うが、20後半の大人が寝癖ボサボサで出勤するわけにもいかない。
近所の人にでも見られたら、一気に危険人物の烙印を押されてしまう。
もうちょっと、独り者の多いアパートに引っ越したかった。
僕は孤独主義者なのに。

7時20分。朝食完了。
カロリーメイト、チーズ味を1分で食って朝食終了とする。
別に忙しいサラリーマンの真似しているわけじゃない。
ただ、面倒臭いから。

7時25分。朝のいつもの奴が来る。
やれやれと座り。対処する。

僕のせいじゃない。僕のせいじゃない。
SNOWの発売遅れたのは僕のせいじゃない。
MOON CHILDeの発売がずれ込んでるのは僕のせいじゃない。
limit offがなかなか進まないのは僕のせいじゃない。
僕は立ち上がれる。僕は立ち上がれる。

7時35分。出勤。
0015名無しさんだよもん2009/05/04(月) 00:47:40ID:spJENpEB0
143 名前:3話[sage] 投稿日:2005/11/23(水) 01:50:36 ID:plN1TW2X0
玄関のドアを閉めて、鍵をかけた時に子供を連れた隣の奥さんに声をかけられた。
「林さん。おはようございます」
「あ、おはようございます」
隣の部屋に住む一家は、夫婦と幼稚園児の男の子一人の三人暮らし。
端から見てても、とても幸せそうな家族というのが良くわかる。
「今からご出勤ですか?」
「ええ、まあ。そちらは幼稚園へのおでかけですか」
ふと子供の方を見てみる。
嫌悪丸出しで見ていた。
僕だって嫌いだよ。
「ええ、でも、もう6歳ですから来年から小学校ですよ。月日の経つのは早いですね」

6年。
kanonが発売されてから6年。
僕、その間、何してた?

「あ、大丈夫ですか?」
「ええ、ちょっと目眩が……薬は朝処方してきたんですがね」
僕は顔全体を押さえた。
「気をつけて下さいね。今年のインフルエンザはしつこいそうですから」
「はい。では、また。」

「ママ」
「な〜に」
「いまのおにいちゃん。目がうるうるしてた」
「今年の風邪は目にも来るらしいのよ」


久弥直樹。彼は人生の迷子になっていた。
0017名無しさんだよもん2009/05/04(月) 00:55:14ID:ouWSAkWB0
↓ここ何度見ても笑えるw


> 7時25分。朝のいつもの奴が来る。
> やれやれと座り。対処する。
>
> 僕のせいじゃない。僕のせいじゃない。
> SNOWの発売遅れたのは僕のせいじゃない。
> MOON CHILDeの発売がずれ込んでるのは僕のせいじゃない。
> limit offがなかなか進まないのは僕のせいじゃない。
> 僕は立ち上がれる。僕は立ち上がれる。
0018名無しさんだよもん2009/05/04(月) 09:14:38ID:PxiuKwlNO
たしかついにだーまえ登場でスレ落ちちゃったんだよな

あと末期少女病マダ?
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