お〜い、誰かyet11の行方を知らんか? Part3
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0039名無しさんだよもん2009/05/09(土) 00:10:41ID:guuOKM7V0
193 名前:8話[sage] 投稿日:2005/12/06(火) 01:15:07 ID:hizTQhGp0
「気持ちはありがたいけど……お断りします」
僕は申し訳ない気持ちがいっぱいで、けど、はっきりと断った。
「そうか」
吉沢さんは静かに微笑む。
こんな笑顔されたら余計苦しいじゃないか、と思わずにはいられない程の笑顔だ。
「ある友達の受け売りですけど……内外から見ても、本当に腐っているかもしれないけど……
この業界か好きなんですよ……」
吉沢さんは静かに頷く。
消え入りそうな声になるが、ここで止まる事が本当の失礼だ。
頑張れよ、俺。
「……何時までも愚痴してたのも事実ですし、みんなに多大な迷惑だってかけてます。
SNOWの時だって一人では書けずに共同分担制になりました……」
今、自分は人生の恥部をもっとも話したくない人に話しているのだと思う。
人によってはなんでもない事に見えるだろう。
人によってはイライラする事に見えるだろう。
だが、自分の人生においては最大の障害なのだ。
「MOON CHILDeだって雨音さんに拾って貰ったのに、不平不満で進まないで……」
声がつまる。
喉をアメーバのような物がまとわりついた感覚がする。
何がアメーバだ。
そんなもの飲み込め。
飲み込めなければ吐き捨てろ。
声は出せる。だすんだよ。
「でも、吉沢さんが来て、気づいてしまいました……」

「僕は、結局、エロゲーのシナリオを書きたいんです……
学生の頃からの夢だったんです……」

「すいません、こんな馬鹿で……」
0040名無しさんだよもん2009/05/09(土) 00:11:03ID:guuOKM7V0
194 名前:8話[sage] 投稿日:2005/12/06(火) 01:15:36 ID:hizTQhGp0
吉沢さんは作っていたすき焼き雑炊を、お茶碗に盛り始めた。
「なあ、久弥。覚えているか?」
何故か僕のだけ大盛りだ。
「MOON.の打ち上げパーティーの後、俺とお前と折戸と麻枝で肩を組んで叫んだ言葉を」
肉だって大盛り。
「“俺たちでエロゲー界のトップを取るぞ!”ってな。今思い出しても恥ずかしいわ」
卵汁は味が際だつ絶妙な配分。
「俺だけがエロゲー界のトップになれなかった」
ネギと豆腐が彩りを添える。
「けど、“俺が見つけた人材”は見事にエロゲー界のトップを取った」
熱々のお茶まで添えてくれた。
「それは最高に嬉しかったんだぜ」
別の皿にはたくあんの漬け物まで用意してくれた。
「俺の夢は半分消えたが、半分は叶ったんだ」
後は食べるだけだ。
「お前は俺の自慢の部下だよ」
すき焼き雑炊を顔の前に持ってきて掻き込んだ。
三回目の泣き顔を見られたくなかったから。

もし、あの時、久弥が少しでも今のように挫折を知っていたら。
もし、あの時、YET11が少しでも今のように大人だったら。

━━━だったかもしれない。
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