お〜い、誰かyet11の行方を知らんか? Part3
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259 名前:4話[sage] 投稿日:2006/02/28(火) 00:57:46 ID:sOtRME850
「う〜ん。なんか違う……」
曲の良いイメージが浮かばない。
いや、この表現は正確では無い。
8割方は完成しているが、残り2割が浮かばないのだ。
「サビはオーケー。締めはみつからねー」
日常曲は難しい。
人によって日常は違うのに、その中から最大公約数を求めなければいけないのだから。
まだ、泣き所やクライマックスを作っている時が楽しいし、簡単だ。
よし、こういう時は他人の知恵を借りよう。
俺はフリーの音楽家ではなく、毅然とした社会人。
元所属のグループがオリコン一位を取るときに、
執行猶予中に覚醒剤で捕まるような奴とはわけが違う。
ヘッドホンを外し、ゆっくりと立ち上がり、同じフロアの同僚に声をかける。
「みんな! ちょっと曲の事でアドバイス貰いたいんだけど!」
声は帰ってこなかった。
誰もいなかったから。
しばらくして、すでに昼休みに入っている事がわかった。
260 名前:4話[sage] 投稿日:2006/02/28(火) 00:59:10 ID:sOtRME850
「俺を無視しなくてもなあ」
駅前の商店街で適当なランチの店を探しながら、俺はぼやいた。
しかし、昼休みに全員が別々の店で食事を取るなんで、今に始まった事ではない。
こうなりだしたのは、久弥・みきぽんがいなくなった頃からだから、
期間としては結構長い事になる。
それでも原画さんが時々、みんなを集めて昼飯に行った事も数回あったが、
全て居心地の悪い食事風景だった。
その原画さんがBLゲーの開発で出張中となれば、先程の光景はごく当たり前の結果だったかもしれない。
「むしろ、俺が昔を懐かしみすぎなのかなあ……」
わかっている。昔を懐かしみ、後ろを振り返ったところで何も得ないと。
その“昔”を捨てたのは自分自身だと言うことも。
「あ、お久しぶりですね。折戸君」
keyに移ってからは俺自身が最年長としてまとめなくてはいけなかったことも。
「どうです。一緒にランチでも」
そしてそれが、失敗に終わったということも。
「安くて良い店知ってるんですよ。せっかくだから、私がおごりましょう」
結局、俺はあいつらを道具として利用したかったんだ。
「おい、またんかいボケエ!!」
黙れ。小川直也。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています