お〜い、誰かyet11の行方を知らんか? Part3
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285 名前:6話[sage] 投稿日:2006/04/12(水) 23:49:02 ID:tAzFsG7k0
「って、ガミやドザとはどうなのよ」
下川は軽く手を振った。
「あかん。もう完全に……主従関係って奴や」
主従関係。それは高校時代を共に過ごした4人の間では考えられない言葉だった。
だから、俺と下川の間でそれが出来ようとした時、会社を辞めざるを得なくなった。
もちろん、俺は聖人じゃないから、それだけが理由ではない。
製作方針の違い。
会社の未来。
俺自身の不安。
こんなものがごちゃ混ぜになった結果の退職だった。
「ドザは出戻りやろ? あいつ、俺にめっちゃ気を使ってくんねん。
こちらの指示に背くことないし」
「……そりゃあ、処刑マシーンだった過去のお前を知ってればな」
抹茶アイスが唐突に出される。しかし、俺も下川も手をつけようとしない。
「ガミはやな。もうお互い疲れてしまったんやと思う。
あいつだけが一回も辞めてへんが、色々磨り減ってもうた……」
「……いわゆる親友から、同僚になったってことか」
ここまで話して、初めて抹茶アイスを口にした。
半分以上、緑色が液体になっていたが、ハーゲンダッツの3倍はおいしいかった。 286 名前:6話[sage] 投稿日:2006/04/12(水) 23:49:51 ID:tAzFsG7k0
「でも、お前、会社盛り返したじゃん。TH2ヒットしてるじゃん」
TH2。
あれこそが、下川の作り出したいゲームの理想像だろう。
だからこそ、俺や高橋は離れた。
「そやねん。ただ……」
「ただ?」
そこまで言うと、急に下川はテーブルに上半身を突っ伏した。
「……なんか、疲れたわ」
こんな下川は見たことがなかった。
どんな窮地でも、罵声と憤怒によって乗り越える姿の高校時代からは考えがつかない。
「でもよ。お前食わせてかなきゃいけないんだよな」
ここで、慰めるのが元親友の役目だったのかもしれない。
けど、俺も“磨り減って”しまっていた。
「ほんまにな……あータカ坊が羨ましいわ」
「誰だよ、そいつ」
2秒間、時が止まった。
「TH2、やってないやろ」
「やってますよ」
にらみ合い、思わず二人で拭きだしてしまった。
そこだけは高校だった。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています