お〜い、誰かyet11の行方を知らんか? Part3
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0072名無しさんだよもん2009/05/29(金) 00:24:41ID:9qSqF/j00
302 名前:8話[sage] 投稿日:2006/05/08(月) 00:39:19 ID:tE9gVjzA0
夜。
準急は停まるが快速は停まらない微妙な駅のロータリーに俺はいた。
きったねえ地図に書かれてあった指定どおりにギター持参で。
「つか、さむっ!」

もう暦の上では完全に春になったと思ったのに、夜になると急激に冷え込みやがった。
やってらんないとばかりに自販機で缶コーヒーを購入する。
うーむ。やっぱり男はポッカコーヒーだ。
この缶のワイルドな男のイラストに頬ずりするだけで、俺の心は安らいでしまう。
「何してんねん」
横から総会帰りのヤクザ……ではなくて下川がいた。
しかも何故かベース持参。
「お前こそ。社長業に疲れて夜逃げか?」
心底疲れたという顔で、下川はポケットからきったねえ地図を出す。
「なんかようわからんけどな。変な姉ちゃんにここに来いと言われたわ」
「……それ貸して貰ってもいいか」
「ほれ」
下川から投げられた地図を受け取ると、破くかの勢いの如く地図を広げる。
ふむ。このお日様に顔を書く手法はあいつしかいない。
「お前、他に何か知らないか?」
首を振る下川。
だぶん、本当に何も知らされてはいないのだろう。
……あいつ、何するつもりだ?

二人して途方にくれ、しょうがないので世間話でも始める。
「……これって昔にゲーセンでバイトして買ったベースか」
「ん。まだ生きとってくれたみたいやな」
「生きてるって言えば、あのゲーセンはまだやってんのか?」
「もう死んだみたいや。当時から主な客層がくたびれたリーマンやったからな」

「へー。高校の時にこれ買ったって事は、だいぶ苦労したでしょうに」
0073名無しさんだよもん2009/05/29(金) 00:25:29ID:9qSqF/j00
303 名前:8話[sage] 投稿日:2006/05/08(月) 00:40:25 ID:tE9gVjzA0
あまりにも自然だったので、気付くのに時間がかかったが、第三者の声が混じった事に気付いた。
「吉沢さん?」
「あ、お久しぶりです」
「いえ! こちらこそ」
俺より先に標準弁モードに戻った下川が返事をしてしまった。
「え、お前ら知り合い?」
その答えに二人は顔を見合わせて
「ははは」
と言うだけだった。
なんだこいつら……

天を仰いだその時だった。

「お久しぶりでしゅ」
聞いてはいけない声を聞いてしまったような気がする。
これは夢だ。間違いない。そんな事あるわけない。
「お久しぶりでしゅ」
逃げよう。ここでは無いどこかへ。
そうだ。終点近くの温泉へ静養だ。
しかし進まない。何故だ。神は俺に死ねと言っているのか。
そうか。手を握られているから進まないのだ。

「ぐへへへへへへ」

俺。こいつ苦手。
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