お〜い、誰かyet11の行方を知らんか? Part3
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451 名前:3話[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 03:18:36 ID:ImXMfaB10
吉沢は思った。
客が来ねえと。
こんな時は、昔の事を整理してみる。
何回か整理した中で、一番考えた項目は『どうやったら、KEY組の離脱を防げたのか』だ。
これに関しては既に結論は出ている。
言ってしまえば、“当時では無理”だ。
あの時の関連人物の、それぞれのキャパシティを考えると、どう考えても全員離脱を防げた可能性は無い。
そんじゃあ、今の自分がタイムスリップして、もう一回やり直せたら?
まあ、意味が無い仮定とは承知している。
“もう一回人生やり直せたら、俺は人生成功してるね。まず勉強して東大行って……”
こんな愚痴は、新橋やミナミの飲み屋で溢れまくっているだろう。
だが、これに関しても既に結論は出ている。
“麻枝は引き止められない”
どうしようも無いのだ。
あのダイヤの原石を手に入れた瞬間に立ち会ってしまえば、すぐに昔の俺に戻ってしまうだろうから。
そして、また同じ間違いをやってしまうだろうからな。
そこまで考えて、少し鬱になっている自分に気付き、気分転換に首を回してみる。
ボキッ!
……客がいたら骨折かと思われるような音に、自分が年をとった事を実感さぜるを得ない。
昔は今の仕事より数倍きつい仕事をしてたのに、疲れを全然感じなかったなんて、若かったなー俺。
いや、疲れ始めたのはあの頃か。
もっとも忙しく、
もっとも燃えていて、
もっとも悲しかった時だ。 452 名前:3話[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 03:19:40 ID:ImXMfaB10
あのメンバーを揃えたのは、とにかく個性的な人物を揃えて、一刻も早く体制を整えたかったからだ。
仮に離脱した6人の内、だれか一人でも残っていれば、あのメンバーは誰一人集まらなかっただろう。
そういう意味では奇跡的なメンバーだったかもしれない。
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「柏木」
「はい」
「俺はお前にHシーンの曲を依頼した」
「はい」
「しかし、この3分52秒のトラックには、何も聞こえてこないんだが」
「それが狙いですよ、吉沢さん」
「ほう」
「ぶっちゃけ、エロシーンの音楽なんて邪魔ですよ! ○ナニーの邪魔でしかない! それをアシストしたいんですよ!」
「……」
「100曲の名曲より、1曲の伝説曲! それが俺のモットーです」
「コタ」
「はい」
「俺はお前にHシーンのイラストを依頼した」
「はい」
「しかし、この原画を見ると、途中から肌が黒くなり耳が尖がっている気がするのだが」
「それはダークエルフですよ、吉沢さん」
「ほう」
「ぶっちゃけ、人間を書いてても楽しくないんですよ、やっぱりユーザーは人間以外を求めているんですよ」
「……」
「“くろいえるふさんはとてもえろいとおもいます”これが僕の小学校の卒業文集です!」 453 名前:3話[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 03:25:27 ID:ImXMfaB10
一時間後
「すみません、電車が遅れました!……あれ? るざりんやコタは?」
「ああ、あいつらなら反省したいからって仮眠室で座禅している。それより災難だったな、有島」
有島は異様な程に汗をかいていた。電車が遅れたのなら普通ならば、これ幸いとばかりに遅れてくる同僚ばかりだったが、
こいつだけは少しでも時間を無駄にしまいと走ってくる。
“……助けて! ゴキブリの擬人化は無理っ!!”“ゴキの! ゴキの羽音がBGMとなって俺を苦しめるぅ!”
「……なんか悲鳴が聞こえてくるんですけど」
「有島。お前はシナリオライターだから知らないだろうが、イラストや音楽の創作現場等あんな物なのだ。
インスピレーションとの戦いが、あのような絶叫を生み出す」
困惑している有島にインスタントのコーヒーを渡してやる。
「あ、どもです」
「お前は焦りすぎだ。たまの電車遅延くらいゆっくり歩け」
「……はい」
有島は明らかにハイペース気味にシナリオ作業を進めていた。
別に出来上がった内容は突貫工事レベルというわけではないが、最良とも思えない。
あらゆる意味で気負いすぎなのだ。
その分、柏木やコタは良くも悪くもマイペースだった。
二人がおちゃらけているのも、場の空気を和ますために、わざとやっているのだろう。
“いやああ!! 助けてくろいえるふさん!!”“ぶっ殺す!! 調子ぶっこいてんじゃねえーぞ虫がああ!!”
たぶんそうなのだろう。 453 名前:3話[sage] 投稿日:2006/11/06(月) 03:25:27 ID:ImXMfaB10
「相変わらず騒がしいですね」
嫌な声が聞こえた。
「あ……おはようございます!!」
そんなに元気な声は、俺には出せない。
「うん、ご苦労様」
あんたの笑顔は見飽きた。
「どうだね。吉沢くん。“勝てそう”かね」
なんで、そこが駄目と気付いてくれないんだ。
“コタ! このゴキは社長だ! そう思えば怖くない!”“うおおお! 僕の中から迸る勇気が!!”
ナイスタイミング。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています