(選挙は終わりましたが、選挙中のシリーズなので最後までやります)
>>78より

 民主党前参議院議員の浅尾慶一郎(45)の参戦で、民主公認の長島一由(42)、自民の林潤(36)との
激戦となった神奈川4区。
 「まさか、選挙のために組合に入ることになるとはな…」と苦笑したのは、岡崎朋也葉鍵連合書記長(21)。
 前回、前々回と出馬を見送った葉鍵は、葉鍵協力の一環として、鍵派候補の来栖川労組支援内定を取り付けていた。
しかし、岡崎の公認が決まると、露骨に「蔵等会なら、(坂上)智代さんか、(古河)渚さんならよかったのに…」
と不満の声を上げる組合幹部も現れ、岡崎との間に緊張が走った。「不良崩れという評判が、
一人歩きしていたようです」(組合関係者)

 さらに、混乱に輪を掛けたのが浅尾の出馬表明だった。浅尾はかねてより民主公認での出馬を希望していたが、
認められないとなると7月24日に出馬表明。「みんなの党」公認での出馬となった。浅尾は民社協会に所属しており、
労組票の流出は避けられない情勢となった。

 岡崎は労組の組織力に頼らず、鎌倉駅などでの街頭演説を選挙運動の中心に切り替えた。「長話はするな」と
アドバイスを受け、5〜6分の間に、政権交代や表現規制反対を訴える傍ら、生い立ちのこと、仕事のことなどを織り交ぜて話す。
市議や県議の組織のバックアップを受ける、他党候補にはない「空中戦」だ。
 しかし、岡崎の本職が電気工であることを聞き、「電機連合傘下の組合に入ってはどうか」と勧める者がいた。
「電機連合自体は長島さんを支援するが、来栖川労組と同じ旧同盟系。来栖川労組との付き合いも好都合だろう」と。

 厚生労働省の試算によると、二〇〇八年六月現在の、労働組合推定組織率は一八・一パーセント。組合員は、
勤労者の二割にも満たない。岡崎も、労組は選挙で頭を下げる団体としか聞いておらず、「自分が入るものとは
考えも付かなかった」(選対関係者)。それを聞いて、来栖川労組の幹部は本紙記者に漏らした。
「我々は、普通の勤労者からそれほど遠い存在になっているのか…」
 結局、来栖川労組は岡崎支援を決めた。しかし、全面支援とはならなかった。
「それでいい。つかず離れずでやって行けばいい」(選対関係者)。