東京15区は江東区全域。亀戸、深川など昔ながらの下町気質を残す地域と、臨海副都心、豊洲など近年になって
整備が進み人口が増えている地域が混在している。コミックマーケット、こみっくパーティーなど、同人誌即売会の
会場となっている、東京国際展示場(東京ビッグサイト)も選挙区内だ。

 同人誌即売会のイメージとは裏腹に、保守の強い地域である。
 6年前に初出馬した大庭詠美(27)は、その現実を思い知らされた。
 供託金没収されたばかりか、「こみパの女王様」は1万票にも満たない惨敗だった。「こみパは
“一般人”には縁のない存在」(党関係者)だった。
 しかし、近年になって臨海副都心の新住民が急増。都議選では、民主党の現職候補がトップ当選するなど、
風はここでも吹いている。

 お盆前の豊洲駅前。足早に通り過ぎる通勤客に向かって、にこやかにお辞儀をする大庭の姿があった。
「やっと、ここまで来た」と関係者はいう。「ちゃんさま(大庭)には、勝つための目標がはっきりしていることが大事なんです」。
 同人誌、商業誌を問わず、漫画なら売上。そして、選挙では一票でも多くの票を得て、当選すること。
最初の立候補の時は、慣れない街頭にあがって、何も言えずに突っ立っていたこともあった。
だが、今は違う。場所によって話題を変えることも、聴衆の機嫌を取ることも、そして見知らぬ相手に
頭を下げることも、できる。それが勝つためだから。
 その分、独自の政策を訴えることには消極的だ。
(続く)