6市3町からなる兵庫5区の東端は大阪府と接する猪名川町、西端は鳥取県と接する新温泉町。直線距離で
約120キロ、面積は大阪府の約1・7倍にあたる約3305平方キロと県内で最も広い。文化や風土、産業基盤も
異なる選挙区内を、4人の候補者は12日間にわたって駆け回る。
「体力勝負やでぇ、これは」と猪名川由宇(28)はつぶやいた。
7区からの転区となった今回の衆院選。猪名川の地元ではないものの、葉派にとっての地盤の一つだ。
修羅場離れているとはいえ、同人活動との同時進行はやはりきつい。「あんた若いんだから、
気ぃ入れてかなあかんで!」と有権者に励まされ「うちが先にいう台詞や」と苦笑したこともある。
「排外主義やないか、それは!」党マニフェストの会議で、坂上の外国人への主張に噛みついたのは猪名川だった。
手を出そうとした次の瞬間、地面に叩き付けられた猪名川の姿があった。「止める暇もなかった。
一瞬の間でした」(党関係者)。「先に手を出したのは失敗やったな。反省はせんけど」と猪名川はいう。
『党内党』とも言える漫画党グループ所属。党内最左派と見られ、坂上など鍵派の一部や、葉派でも
来栖川色の強い東鳩会などとは距離があるとされる。しかし、猪名川は「それだけ葉鍵は大きゅうなったということや」
と意に介さない。坂上とも、政策の違いはそれほどでもないという。「ただ、智代さんの方が民族主義的ですね。
それが一部からは排外主義に映るのかも知れません」(党関係者)。
猪名川は、党のマニフェストを積極的に頒布する傍ら、個人演説会などでは坂上との喧嘩も枕にしている。
応援演説に現れた坂上本人を前に、「あの蹴りは一級品や、政治家辞めてもプロレスラーになれるな」と
再現してみせると、場内は爆笑に包まれた。
兵庫5区は共産党が擁立を見送った。葉鍵は左派色の強い猪名川で、共産支持者にも狙いを定める。
自民党前職の谷公一(57)に、猪名川を始め、民主党元職の梶原康弘(52)、幸福実現党新人の
丸岡眞澄(51)が挑む構図だ。