エロシーン回避しようとするとバッドエンド一直線ってことも考えると、
だーまえの意図としては多分そういうことなんだろうと思う。
でもさあ。
あのサイコな結局行動を受け容れた長森にせよ、(途中まででやめとけば)
浩平を肯定した七瀬にせよ、その2人には意志と選択肢があったわけじゃん。
そういう独立した存在である彼女たちと触れ合うことによって
浩平自体が変えられてゆく、過去のろくでもない「約束」とやらも
ついでに書き換えてもらっちゃおう、ってのがあの2本のシナリオのテーマ。
そういう視点で考えていくと、繭シナリオってのはその真逆なんだと思うのね。
終始変わってゆくのは繭の方で、ストーリーの主眼は明らかにそっちにある。
うん。発見。繭シナリオの主人公は繭。
じゃあ繭を変えたのは浩平かといえば、それも多分違う。
自分の足で立つことを、他人との接し方を、人から頼られることの意味を、
「生き方」を、繭は勝手に何かもぞもぞやってる浩平から自分で学び取ったのであり、
要するに繭シナリオでの浩平って、ストーリーの組み立て方から言えば、
匿名化された「ちょっと優しい他者」の象徴みたいなものなんだよ。
繭にとって自分の隣にいるのは浩平である必要はないし、
だからあの場面で浩平が「浩平らしく」振る舞う必要もないんじゃないか、と思う。
繭にとってその行為はある種の暴力でしかないし、
その描写は繭シナリオの中でノイズとしてしか働いていないような気がする。