>>757の続き

春希「麻理さん。一人で勝手に話を進めないで俺の話も聞いて下さい!」
麻理「お前の話?どうせ言い訳だし。まあ、後腐れを残さない為に聞いてやるよ」
春希「確かに取材対象としてコンサートでウィーンから帰国した冬馬に会っていました」
麻理「取材対象だって?それだけじゃないだろ」
春希「少し黙って聞いてくれませんか」
麻理「あぁ悪かったな。それでどうしたんだ?」
春希「冬馬の奴、最初のうちは俺に気の無い素振りを見てていましたけど…」
麻理「けど、違っていたと」
春希「そ、そうなんです…。俺の事を片時も忘れられなかった様で…」
麻理「北原。お前、男冥利に尽きるじゃないか」
春希「ま、麻理さん…。からかわないで下さいよ」
麻理「別にからかった訳じゃないが。まあ、話を続けろ」
春希「と、冬馬が俺のマンションの隣部屋に住む羽目に…」
麻理「な、何だとっ!」
春希「お、落ち着いて下さい!彼女の母親に嵌められただけですって」
麻理「彼女の母親って、冬馬曜子の事か」
春希「そうです」
麻理「それにしても本当なのか?お前が彼女を囲うために隣部屋を用意したんじゃないのか」
春希「本当ですって!受け入れたのは取材の為ですから。少しは俺を信用して下さい」
麻理「それにしても娘の為とは言え、彼女にはいつも驚かされるな」
春希「あの人だけは敵にしたくないです…」
麻理「それで半同棲な生活が始まったと」
春希「あの子を受け入れるか、きっちり振ってあげるか、どちらかにしてと言われました」
麻理「随分と虫のいい話だな」
春希「彼女からすれば、それだけ可愛い娘なんでしょうね」
麻理「それでお前は喜んで面倒を見たということか」
春希「喜んでいませんって!あくまで仕事です」
麻理「それで焼け木杭に火が付いたという訳だ」
春希「違います!」
麻理「そうは言っても一回ぐらいは良い雰囲気になったんじゃないのか?」