0003名無しさんだよもん2012/04/11(水) 05:14:50.58ID:hDfrXKJT0 最古の記憶は。 日付さえおぼろげな、遠い霞のなか。 貴族的な気品を抱く、豪華な私室。 そこには天蓋つきの寝台も欧羅巴製の椅子もあった。 けど床に座るのが一番好きだった。 こんな日は特に。 窓から見える黒の帳は星月夜。 枠に切り取られた散在する瞬きに目を奪われる。 外界と室内を隔てる窓ガラスに、己の姿が映る。 深窓の令嬢――― 洋風のドレスに身を包む、楚々とした少女。 きみはいったい、だれですか?