天使ちゃんが美少女である事が知られたのはある男がそれを公表してしまったからである。

彼は、天使ちゃんとは生前から面識があった。
正確には天使ちゃんにつきまとっていたのであって、要するにストーカーなのだが。
天使ちゃんは過去に一度心臓移植を受けていたが、その心臓の提供者がストーカーの妹であった。

制度上、ドナーと患者はお互いの情報を知ることが出来ない。家族は言うに及ばず。
だが彼は死んだ妹に執着するあまり非合法な手を使って心臓の移植先を突き止め、
天使ちゃんに辿り着いたのである。
彼は自分の妹が心臓を提供したという理由で天使ちゃんを強迫し、我が物にしようとした。
警察に逮捕されたストーカーは、全ての臓器を天使ちゃんに提供するという一方的な遺書を残して自殺する。
手違いからそれが天使ちゃんに伝わってしまったことで、天使ちゃんは精神に異常を来し、
病院を抜け出すなどの異常行動を取るようになり、適切な治療を受けられなくなって死ぬ。

死後、救済の世界に迷い込んだ天使ちゃんは、自分を非業の死に追いやったストーカーに「お礼」する為に
この世界での命を費やすことを誓う。
だが自殺した人間がこの世界に来ることは滅多に無く、呼び寄せに大変苦労する。
天使ちゃんは苦労の末ようやくストーカーを呼び寄せ、彼を無間地獄にたたき落とすべく奮闘を始める。

天使ちゃんを苦しめたストーカーの名を、音無結弦といった。