WHITE ALBUM 2 *157 [無断転載禁止]©bbspink.com
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もうすぐ、新しい冬が来る。
あのひとといられない、そしてあいつのいない冬が。
ホワイトアルバムなんて知らない。
だって、もう何も歌えない。
届かない恋なんてしない。
だって、もう人を愛せない。
『 W H I T E A L B U M 2 』
WHITE ALBUM 2 〜introductory chapter〜
Windows 18禁 / 2010年3月26日発売
初回限定版:税込定価6,090円 / 通常版:税込定価5,040円
WHITE ALBUM2 〜closing chapter〜
Windows 18禁 / 2011年12月22日発売
書き下ろしノベル付初回限定版:税込定価8,190円 / introductory chapterセット版:税込定価10,290円
★製作スタッフ
シナリオ:丸戸史明
原画:なかむらたけし(CC:桂憲一郎、柳沢まさひで、甘味みきひろ)
★WHITE ALBUM 2 introductory chapter 公式サイト
(p)http://leaf.aquaplus.co.jp/product/wa2ic/
★WHITE ALBUM 2 closing chapter 公式サイト
(p)http://leaf.aquaplus.co.jp/product/wa2cc
★前スレ
WHITE ALBUM 2 *156
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1447471457/
★過去スレまとめ
http://w.livedoor.jp/white_album2_ss/d/kakolog
★関連スレ
** WHITE ALBUM #33枚目** [Leaf・Key板]
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1379781080/
【PS3】WHITE ALBUM -綴られる冬の想い出- 10枚目
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/gal/1327017577/
【AQUAPLUS】WHITE ALBUM2 幸せの向こう側10
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/gal/1416892595/
丸戸史明総合スレ その20 [転載禁止]©bbspink.com
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1448480657/
【WHITE ALBUM2】小木曽雪菜スレ ヒトカラ17曲目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1411899086/
【WHITE ALBUM2】冬馬かずさスレ 砂糖59杯目
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1447098546/
【WHITE ALBUM2】杉浦小春スレ 3年参り [無断転載禁止]©bbspink.com
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1450550138/
【WHITE ALBUM2】和泉千晶スレ ネコ2匹目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/
【WHITE ALBUM2】 最強OL 風岡麻理スレ ピル2錠目 [Leaf・Key板]
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1333452576/
【WHITE ALBUM2】 友近 浩樹 スレ 2人目 [Leaf・Key板]
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1328941153/
【WHITE ALBUM2】 北原春希スレ 2
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1352121979/
【WHITE ALBUM2】 亜子・小百合・矢田 三人娘スレ [Leaf・Key板]
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1326879965/
【WHITE ALBUM2】柳原 朋スレ [Leaf・Key板]
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1326881733/
【WHITE ALBUM2】水沢依緒 [Leaf・Key板]
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1326017951/ ★WHITE ALBUM2 同好会ラジオ(現在休止中)
ttp://www.onsen.ag/program/wa2/
★PS3版 White Album 2 2012年12月20日発売
パッケージ版…2,800円(税抜) DL版…2,057円(税込)
【プレミアムエディション】
描き下ろし特製パッケージ
WHITE ALBUM2 同好会ラジオ特別版CD
WHITE ALBUM2 ピアノスコア
ICカードステッカーセット
オープニングアニメ絵コンテ集
・主な変更点
モーションポレート採用
新イベントCG追加
BGM、歌の追加
新キャラ追加はなし
丸戸氏によるエクストラエピソード「不倶戴天の君へ」及び修正部分の監修
WHITE ALBUM2 PS3版公式サイト
http://aquaplus.jp/wa2/
★PS Vita版 WHITE ALBUM2 2013年11月28日発売
パッケージ版…2,800円(税抜) DL版…2,057円(税込)
限定版には、にいてんご「雪菜」「かずさ」を同梱
追加要素:
名場面マーカー(名場面でのスキップ無効化)
テキストをビジュアルノベル方式に変更できる
(モーションポートレートは採用されていません)
WHITE ALBUM2 PSvita版公式サイト
http://aquaplus.jp/wa2vita/
★WHITE ALBUM2アニメ版公式サイト
http://whitealbum2.jp/
WHITE ALBUM2(ホワイトアルバム2) 35曲目
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1398817335/
書き下ろしショートノベルPDF形式『届かない恋、届いた』掲載
http://aquaplus.jp/wa2vita/special/index.html
★WHITE ALBUM2 ミニアフターストーリー
Windows用ADVゲーム『WHITE ALBUM2 ミニアフターストーリー』(丸戸史明書き下ろし)を応募者全員にプレゼント。
収録内容は下記の2本となり、ゲーム版のアフターストーリーをプレイできます。
小木曽雪菜ミニアフターストーリー
冬馬かずさミニアフターストーリー
(応募は2014年11月末に締め切られました) ★WHITE ALBUM 2 推奨攻略順
1. 「-introductory chapter-」1周目
2. サウンドノベル「雪が解け、そして雪が降るまで」
3. 「-introductory chapter-」2周目(イベントが追加されている)
4. (C78)ドラマCD「祭りの前〜ふたりの24時間〜」+付属ノベル「雪菜の三十分」(ap storeにて通販可)
5. 書き下ろしノベル「Twinkle Snow〜夢想〜」(オフィシャルサイトにpdf形式にてDL公開)
6. サウンドノベル「歌を忘れた偶像(アイドル)」
7. 「-closing chapter-」千晶、麻理、小春 ルート(順不同)
8. 「-introductory chapter-」3周目(イベントが追加されている)
9. ドラマCD「祭りの日〜舞台の下の物語〜」(「-closing chapter-」予約キャンペーン特典)
10 「-closing chapter-」雪菜ルート 以後最後まで
11 (C81)購入者限定販売書き下ろしドラマCD「一泊二日の凱旋」(ap storeにて通販可)
12 ソフマップ初回限定特典ピロートークCD『幸せの日〜ベッドの上の物語〜』
ソフマップ様の御厚意により、全て公式サイトで公開中
・一生分の幸せ(小木曽雪菜)
・通い妻の矜持(杉浦小春)
・心温まる猥談(和泉千晶)
・10分でできること全部(風岡麻理)
・忠犬はご機嫌斜め(冬馬かずさ)
※ピロートーク以外はPS3、vita板に収録
| ̄ `.>'´ -─- .、 `ヽ ハ
| ̄/ \ハ ハ
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/ \ \ \ ハ ',
/ / l | \ \ ハ ハ. ヽ
/ / / l | ', \ \ ハ ハ\ \
l /| / | | | ト、 \ ヽ\-‐\ ハ | \ \
l | | l | | | |, ゝ‐ \ '´\>ミ、\ l | \ \
l | | l | レ'´! 斗ミx\ ヽ. Y f::::ぅ、゙Ylレ'⌒! \ \
l | | l | | |.∨f:::::ハ  ̄` l:::::::::} l ,八 \ \
j/ ', ∧∧,斗.! {{ v::::::ハ ゝ- ' ,' r / \ \ \
∨ l { ヘ ゝ‐'゚ , ム イ \ \
ト、 ゝ、 .ヘ r ┐ ∧ \
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次スレは>>950あたりが宣言して立てて下さい >>1………お前は本当に駄目な奴だ
だから…………俺が>>1乙するしかないだろ? あたしは久しぶりにスレ立てしてもらったからって、すぐ>>1乙するようなバカ犬じゃない
たくさんレスしてもらわないと>>1乙しない、賢い犬なんだからな >>1 乙
『冬馬かずさ、急死
2月14日、ピアニストの冬馬かずさ(28)が現在活動拠点としているウィーンの病院で亡くなった。
1月末に行われた野外コンサート期間中に演奏を行ったことで体調を崩し、その後の活動の強行で肺炎を引き起こし、入院時には既に手術や投薬治療も間に合わない程弱っていたという。
彼女の所属する冬馬曜子オフィスでは、故人の葬儀をウィーンで行った後、遺骨を日本に送り、社長である故人の母冬馬曜子が引き取る流れになっているという。
冬馬かずさがウィーンでの活動を始めたのは……』
「申し訳ありません!」
北原春希がソファーにも腰掛けず、床に這いつくばるようにして深々と土下座を繰り返した。そんな春希を工藤美代子は向かいのソファーの後ろでただオロオロと見詰めているだけだった。
「あなたの責任じゃないわよ……春希君」
そしてその向かいのソファーに座っていた女性、冬馬曜子――今の春希の義母――は、思い掛けない形での五年ぶりの再会の場で、それこそ母親の眼差しと声で春希を優しく包み込んだ。
「でも、でも俺、あいつを、かずさを……」
「だからそれは、あなたの責任じゃない。あの子の自己責任よ」
「それだって、全部俺が背負うものだったのに。あいつの全てを守るはずだったのに」
「……そのことで、あの子はあなたに恨み言をぶつけた?」
ハッとしたかのように春希は顔を上げた。曜子の顔は娘を失った母親とは思えない程に穏やかだった。
『かずさ、しっかりしろ!』
『春希……情けない顔、するな』
『でもお前、このままじゃあ』
『何を勘違いしてるかは……知らないが、あたしは……幸せだったよ』
『過去形かよ!俺たちまだこれからじゃないのかよ!?』
『春希……ありがとうな』
『止めろ!そんな言葉、お前から聞きたくない!』
『……』
『……かずさ?』
『……あ、あ……』
『かずさぁ!』
「あなたが何もかも捨てて自分の側にいてくれたんだもの。あの子は幸せだったと思うわ、きっと」
「でも、俺はかずさを守れなかった。あいつを今以上に幸せにできなかった。
あいつが本当に幸せになる道を、永遠に閉ざしてしまった……」
向かい合ったソファーの間に置かれたテーブルの上、かずさの死が掲載された新聞が開かれている。既に日本でもこのことは公にされているのかと、春希の心は更なる重しに圧し掛かられた。
「でもありがとう。わたしはもうこんな身体だから、あなたがかずさの遺骨や遺品を持って来てくれて、正直感謝してる」
「……本当に、ごめんなさい」
「いいのよ。あの子だってきっと後悔はしていない。
むしろ、あなたに辛い思いをさせてしまってごめんなさい」 「あ、瀬ノ内さん。今日は…」
板倉記者が口を開いたところを、すかさず千晶は自分のセリフを重ねてつぶす。
千晶はいつもこの手でこの小うるさい雑誌記者をはぐらかしていた。舞台の間の取り方を逆用したワザである。
「ああ、冬馬さん。わたし。クラス別だったけど学年同じだったよ。でも覚えてないよね。瀬能千晶っていうんだけど」
突然見知らぬ学友に話しかけられ、今度は冬馬が泡を食う。
「え、ええ?」
かまわず千晶は続ける。
「ひょっとして、今の舞台見ていた? ごめんごめん、全然気付かなかった」
そういう千晶の顔は悪戯を見つけられた少年のものだった。だが、その目はひそかにかずさの反応を注意深く見ている。
「あ、いや、今日は別件で…」
その答えを聞き、千晶は軽い舌うちとともにぼやいた。
「やっぱりか…、ちぇ。春希も雪菜もチケット渡したのに見に来なかったし…」
そのつぶやきは誰にも聞きとれないほど小さかった。しかし、ピアニストであるかずさの耳にははっきりと聞こえた。
「…春希たちの知り合い?」
かずさの声のトーンが微妙に変わったのを千晶は聞き逃さない。
「うん、春希とは何度か寝たよ」
「…っ!」
「わたしはベッドで春希は床で」
「………」
からかわれたことに気付いたかずさは凶悪な目つきで千晶を睨む。しかし千晶は気押されることなく、飄逸な口調をやめない。
「ごめんごめん、ゆるしてちょんまげぇ〜…って」
かずさから、けして許すまじとばかりの怒りのオーラが立ち上る。
千晶はその様子をひととおり観察し終わるや、カバンから何かを取り出し、両手を前で組んで言った。
「まぁ、おわびといっちゃあなんだけど…『かずさぁ、明日ヒマ?』」
その言葉に、かずさは不意をうたれる。
急になれなれしく名前で呼ばれたことに対してではない。
その声色、口調、しぐさがまるで…かずさの不倶戴天の親友のまさにそれであったから。
「???っ…あ、ああ…」
かずさは思わず肯定の返事を返してしまった。
「『よかったぁ。じゃ、絶対絶対来てよね。…来てくれないとちょっとだけ傷ついちゃうかもなぁ…』」
そう言って、千晶はかずさの手に強引にチケットを2枚握らせる。
その際の演技も完璧に『小木曽雪菜』のそれであった。
かずさは混乱のあまり何も反抗できずにチケットを受け取る。
「『じゃあ、見終わったらまたこの場所で会おうね』」
「…あ、うん…」
かずさは呆気にとられ、こくりとうなずくばかりであった。
その後の事はかずさはよく覚えていない。
たしか、瀬能千晶と名乗るあの新人女優は板倉記者にもチケットを渡して去っていった。
板倉記者からはいろいろと質問されたが、何も答えられなかった。
ただ、一緒に翌日の舞台を見に行く約束だけして別れた。
自分と峰城大付の同学年ということだが、もちろん覚えはない。
『春希』と『雪菜』を名前で呼ぶあの人物は何者? ただの大学とかの同窓生?
あの時見せた演技は何? ただのモノマネ上手?
いろいろ考えたけど埒があくはずもない。
かずさは考えるのをやめた。明日、あの瀬能千晶という女に直接聞けばわかることだ。
寝床に転がりながら眺めた、シーリングライトに透けるそのチケットには「5/13(木) シアターモーラス 劇団コーネックス二百三十度『届かない恋』」と印刷されていた。 >>1 乙
『冬馬かずさ、急死
2月14日、ピアニストの冬馬かずさ(28)が現在活動拠点としているウィーンの病院で亡くなった。
1月末に行われた野外コンサート期間中に演奏を行ったことで体調を崩し、その後の活動の強行で肺炎を引き起こし、入院時には既に手術や投薬治療も間に合わない程弱っていたという。
彼女の所属する冬馬曜子オフィスでは、故人の葬儀をウィーンで行った後、遺骨を日本に送り、社長である故人の母冬馬曜子が引き取る流れになっているという。
冬馬かずさがウィーンでの活動を始めたのは……』
「申し訳ありません!」
北原春希がソファーにも腰掛けず、床に這いつくばるようにして深々と土下座を繰り返した。そんな春希を工藤美代子は向かいのソファーの後ろでただオロオロと見詰めているだけだった。
「あなたの責任じゃないわよ……春希君」
そしてその向かいのソファーに座っていた女性、冬馬曜子――今の春希の義母――は、思い掛けない形での五年ぶりの再会の場で、それこそ母親の眼差しと声で春希を優しく包み込んだ。
「でも、でも俺、あいつを、かずさを……」
「だからそれは、あなたの責任じゃない。あの子の自己責任よ」
「それだって、全部俺が背負うものだったのに。あいつの全てを守るはずだったのに」
「……そのことで、あの子はあなたに恨み言をぶつけた?」
ハッとしたかのように春希は顔を上げた。曜子の顔は娘を失った母親とは思えない程に穏やかだった。
『かずさ、しっかりしろ!』
『春希……情けない顔、するな』
『でもお前、このままじゃあ』
『何を勘違いしてるかは……知らないが、あたしは……幸せだったよ』
『過去形かよ!俺たちまだこれからじゃないのかよ!?』
『春希……ありがとうな』
『止めろ!そんな言葉、お前から聞きたくない!』
『……』
『……かずさ?』
『……あ、あ……』
『かずさぁ!』
「あなたが何もかも捨てて自分の側にいてくれたんだもの。あの子は幸せだったと思うわ、きっと」
「でも、俺はかずさを守れなかった。あいつを今以上に幸せにできなかった。
あいつが本当に幸せになる道を、永遠に閉ざしてしまった……」
向かい合ったソファーの間に置かれたテーブルの上、かずさの死が掲載された新聞が開かれている。既に日本でもこのことは公にされているのかと、春希の心は更なる重しに圧し掛かられた。
「でもありがとう。わたしはもうこんな身体だから、あなたがかずさの遺骨や遺品を持って来てくれて、正直感謝してる」
「……本当に、ごめんなさい」
「いいのよ。あの子だってきっと後悔はしていない。
むしろ、あなたに辛い思いをさせてしまってごめんなさい」 ・取材後
春希「……」
麻理「ふむ。まあ、固くなるな。もう上司でも部下でもないのだからな。
事情は曜子社長から聞いた。私はお前が選んだ道を肯定したり否定するつもりはない」
春希「…ありがとうございます」
麻理「だが、お手並みは最悪だ」
春希「!?」
麻理「北原、お前は冬馬かずさを助けたいのか?」
春希「な!? 助けたいに決まっています」
麻理「助けたいがために開桜社にも何も語らなかった。そうか?」
春希「はい…」
麻理「全く、これほど先の見えてない男だとは思ってなかったな」
春希「!?」
麻理「確かに、一時のマスコミの興味本位の報道から免れることはできたな。そのために自らの退社理由を隠し、冬馬かずさが日本を去ることもひた隠しにし続けた」
春希「はい…」
麻理「どうなったと思う?」
春希「ご迷惑おかけしました…」
麻理「…全くわかってないようだから説明しておこう。お前たちの出国から一週間足らずで冬馬かずさがお前と共にウィーンにいることが知れた。
すぐに事の次第も明らかになった。
大変だったよ。
浜田やアンサンブル編集長は矢面に立たされたし、冬馬曜子オフィスと我が社の関係は最悪になった」
春希「そ、それは…」
麻理「新人一人やめた程度と思ったか? 残念ながらお前はただの新人どころかかなりの有望株だった。だから期待もコストもかけていた。
例えすただの新人でも取り引き相手からの無断引き抜きなんて言語道断の掟破りだ。
日本から静かに去るために誤情報流すのもな。日本での活動を支援するために方々回っていたアンサンブル編集長がどんな目に遭ったか想像できるか?」
春希「す、すいません…」
麻理「日本から去るから開桜社にはいくら迷惑かけても良いとでも思ったか? 残念ながら、この狭い世界、ましてや狭すぎるクラシック界ではな、お前のやったことは恥知らずの所行にしか過ぎない」
春希「しかし、自分はかずさを…」
麻理「守りたかった。それはわかる。しかし、冬馬かずさをピアニストとして活動させる為には最悪だったと言わざるを得ない。
迷惑は巡り巡って自分の所に降りかかるものだ。アンサンブルが社内から槍玉に挙げられ、これを機にと社内のメセナ活動でアンサンブルの持ってた枠を奪う動きが起きた。そんなドタバタは社外にも伝わった」
春希「……」
麻理「最初の一年半、全く仕事取れなかっただろ? お前の語学力とかの問題じゃないぞ。英語もできるんだし」
春希「な、何かあったんですか?」
麻理「冬馬曜子オフィスは味方も敵も多かった。そんな中、ウィーンで有力なある日本人が『冬馬かずさを使うのは避けたい』と言った。開桜社とのトラブルを避けたいがために。たったそれだけの事だ」
春希「え?」
麻理「企業同士のトラブルなんて『もう仲直りしましたよ』ということを知らしめるのが一番難しいんだぞ。
まして、お前たちが日本の仕事避けまくってるから尚更だ」
春希「そ、そんな…」
麻理「あの狭い業界、仲違いしても結局すぐ仲直りしないといけないし、人と仲違いしたらそれ以外の人間から避けられまくるから気をつけろ」
春希「はい…」
麻理「ウィーンの件の人物も悪い人じゃない。甘いもの好きだから、金沢『やまむら』の甘納豆でも買って持って行け」
春希「何から何まで…ありがとうございます」
麻理「本来、新人が取り引き相手に引き抜かれたといっても、双方了解済みの話なら歓迎しても良いくらいの話なんだぞ。新たな方面へのパイプとして期待できるわけなんだからな。
了解の有無で婿入りと駆け落ちくらいの雲泥の差がある」
春希「そ、そうは言われてましても…」
麻理「まあ、お前の場合はこれからだ。悪いが、期待かけていた分まで働いてもらう。ビジネス相手としてな。
お前は私が育てあげた男だ。逃げられると思うなよ」
春希「…楽しそうですね。麻理さん」
麻理「当たり前だ。曜子社長の粘り強さのおかげでやっと社の関係も戻り、お前とこうして会えるようになったからな。
グラフも『ブラックだから人が逃げた』とあらぬ誹りを受けている。しっかり拭ってもらわないとな」
春希「(十分ブラックですよ…)」
麻理「これからもよろしくな。北原」 あたしは久しぶりにスレ立てしてもらったからって、すぐ>>1乙するようなバカ犬じゃない
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