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【WHITE ALBUM2】冬馬かずさスレ 砂糖60杯目 [無断転載禁止]©bbspink.com
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0001名無しさんだよもん2016/01/14(木) 11:57:33.20ID:K8ob4k3c0
【WHITE ALBUM2】冬馬かずさスレ 砂糖60杯目

孤高。そして、孤独。

冬馬 かずさ (とうま かずさ)

Personal Data
(introductory chapter)
  峰城大付属3年E組。
  誕生日、5月28日。
  窓際の席で常に居眠りしている。遅刻・サボリの常習犯。
  雪菜と対極にいる時代錯誤の不良娘。
  裕福な家庭だが、親がほぼ不在。
  長く艶やかな黒髪、モデル顔負けのスタイル、切れ長の瞳。
  外見のイメージに反して、甘い物(プリン・ポートワインなど)好き。
  どちらかと言えば緒方理奈派。
(closing chapter)
  多分ピアニスト。きっとウィーン在住。その他の詳細不明。
  母であり、欧州を中心に世界中で活動するピアニスト冬馬曜子は、
  たびたび日本のメディアにもその活躍ぶりが紹介されているが、
  その不良娘にして実績のない若手ピアニストのことは、
  今現在でも日本ではまったく知られていない。
  彼女がふたたび日本の地を踏むことは、果たしてあり得るのか…

【WHITE ALBUM2】冬馬かずさスレ 砂糖59杯目 [転載禁止](c)bbspink.com
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1447098546/


※次スレは>>950頃に宣言してからスレ立てをして頂けますようお願い致します。



シナリオ担当・丸戸史明による冬馬かずさ評

「捨て犬に懐かれると、とんでもないことになるという見本。というわけであまりにも忠犬。
吠えても噛みついてもすねても常に尻尾は振ったまま。
さらにやっかいなのは、元捨て犬のくせにじつは血統書付きで毛並みが最高なこと。もふもふしてあげるとわかりにくく超喜びます。
でも放っておくと砂糖しか食べないので、厳しい管理が必要です。
というわけで彼女を幸せにできるのは、人生を犬に捧げたトップブリーダーだけです。みなさん頑張ってください」

ソース:【電撃PlayStation】『WHITE ALBUM2』シナリオ担当の丸戸史明氏自らヒロイン5人を紹介!
http://dengekionline.com/elem/000/000/573/573553/ 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
0002名無しさんだよもん2016/01/14(木) 11:58:42.25ID:K8ob4k3c0
かずさのcoda2周目追加シーン
※PS3版とPSV版にはシーン回想モードが搭載されています

12/23 オリエント急行内の会話
12/24 かずさと曜子の電話(駅とホテルで2回)、春希を追いかけるかずさ
12/25 オリエント急行内の会話
1/4 旧冬馬邸(かずさに追加台詞)
1/7 かずさと曜子の会話
1/13 かずさと曜子の会話、夜に眠れないかずさ
1/15 ピアノの練習に行くかずさに追加台詞
1/17 朝の散歩(1周目で聴き取れない台詞が聴き取れるようになっている)
1/21 「ずっと、残しておきたい」を選択(かずさの独白が追加)

現在、公式サイトでソフマップ特典「WHITE ALBUM2 ピロートークCD 幸せの日~ベッドの上の物語~」が公開中。
closing chapterプレイ終了後に聴くことを推奨します。

「忠犬はご機嫌斜め」(冬馬かずさ)
http://leaf.aquaplus.co.jp/product/wa2cc/special_pt.html


かずさが弾いた曲リスト 暫定版

バッハ作曲「3声のシンフォニア第2番」ハ短調 BWV.788
ショパン作曲「練習曲黒鍵 op.10-5」(空港の次の場面)
「練習曲op.10-5」
「革命」Op.10No.12
「舟歌 嬰ヘ長調op.60」(冬馬がコンクール曲で弾いた曲)
「華麗なるワルツop.34-1」
ラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」(冬馬と春希の重奏)
ドビュッシー作曲「ベルガマスク組曲 第4曲パスピエ」(はじめての「WHITE ALBUM」合奏の直前)
「ピアノのために トッカータ」(冬馬がノートを取り上げられそうになり飛び出した次の場面)
ベートーヴェン作曲「ピアノソナタ第32番 第1楽章」(第二音楽室の主を探す場面。)
「ピアノソナタ第23番「熱情」 第3楽章」(冬馬と春希が職員室で説教された次の場面)
「ピアノソナタ第5番 ハ短調 作品10 第1楽章」(コンクールの場面で使用されている)

ヘンデル作曲「lascia ch'io pianga」(元はアリアだがピアノにアレンジされている)
フォーレ作曲「夢のあとに」(学園祭ライブの終わった後の場面。元は歌曲だがピアノにアレンジされている)
リスト作曲「愛の夢 第3番」(旅行に行く直前)
「仰げば尊し」
0003名無しさんだよもん2016/01/14(木) 12:01:30.21ID:K8ob4k3c0
★WHITE ALBUM2 ミニアフターストーリー
Windows用ADVゲーム『WHITE ALBUM2 ミニアフターストーリー』(丸戸史明書き下ろし)を応募者全員にプレゼント。
収録内容は下記の2本となり、ゲーム版のアフターストーリーをプレイできます。
小木曽雪菜ミニアフターストーリー
冬馬かずさミニアフターストーリー
(応募は2014年11月末に締め切られました)

http://leaf.aquaplus.jp/product/wa2cc/special.html#i2014-01-24


Coda
ショパン/ポロネーズ第6番「英雄」変イ長調Op.53
リスト/愛の夢 第3番
ヴェルディ/歌劇「椿姫」より「乾杯の歌」
ショパン/即興曲「幻想即興曲」嬰ハ長調Op.66
チャイコフスキー/バレエ「くるみ割り人形」より「あし笛の踊り」
チャイコフスキー/バレエ「くるみ割り人形」より「トレパック」
ショパン/ポロネーズ第15番「別れ」変ロ短調

リスト/パガニーニによる超絶技巧練習曲集 第3番「ラ・カンパネラ」嬰ト長調
シューマン/ピアノソナタ 第2番 ト短調 第1~第4楽章
ショパン/24のプレリュードOp.28ハ長調 (時の魔法イントロ)

以降コンサート
ポロネーズ第15番「別れ」変ロ短調が1曲目と2曲目
ラ・カンパネラが3曲目
ピアノソナタ 第2番 ト短調 第1~第4楽章が4曲目。
0004名無しさんだよもん2016/01/14(木) 12:03:29.47ID:K8ob4k3c0
最新?追加情報
WHITE ALBUM 2 SPECIAL ENCORE 再会と贖罪のニューイヤー 生アフレコドラマCD
(コンサートif。vita特典の映像で見るか、ドラマCDを高値で買うかしかないかも)
WA2novel2届かない恋、届いた(丸戸短編小説。公式HPでダウンロード)
SETSUNA MCディスク (手に入りにくい幻のCD?)
WHITE ALBUM 2 ノベライズ 雪が紡ぐ旋律 6巻 巻末書き下ろし短編(丸戸短編小説。かずさT後の2人の話)
WHITE ALBUM2 ミニアフターストーリー(かずさT後の2人の話) ←NEW!

SSについて
WHITE ALBUM2 SS まとめwiki (簡易ブログ・ツイッターまとめなども)
http://seesaawiki.jp/white_album2_ss/
今のところ
SS職人ができる対応
・ろだに上げてリンク貼る
・コテハン付ける

読みたくない人ができる対応
・スルー

「かずさ好きで集まるこのスレの住人に読んでもらいたい!」
という職人側の気持ちもあると思うの。できればそれは、尊重したいな。
元をただせばここにいるのは、かずさ好きで集まった住人だし。
それに、今までの作品の次回作を楽しみにしてる人もいるだろうしね。
互いにちょっとづつ気配りして、同居する形でいければベストだと思うんだ

避難所
【WHITE ALBUM2】冬馬かずさスレ 避難所
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/59384/1446135555/

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http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1326881733/
【WHITE ALBUM2】 亜子・小百合・矢田 三人娘スレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1326879965/
0005名無しさんだよもん2016/01/14(木) 14:24:22.66ID:cQNq3+CU0
>>1

『冬馬かずさ、急死

 2月14日、ピアニストの冬馬かずさ(28)が現在活動拠点としているウィーンの病院で亡くなった。
 1月末に行われた野外コンサート期間中に演奏を行ったことで体調を崩し、その後の活動の強行で肺炎を引き起こし、入院時には既に手術や投薬治療も間に合わない程弱っていたという。
 彼女の所属する冬馬曜子オフィスでは、故人の葬儀をウィーンで行った後、遺骨を日本に送り、社長である故人の母冬馬曜子が引き取る流れになっているという。
 冬馬かずさがウィーンでの活動を始めたのは……』

「申し訳ありません!」

 北原春希がソファーにも腰掛けず、床に這いつくばるようにして深々と土下座を繰り返した。そんな春希を工藤美代子は向かいのソファーの後ろでただオロオロと見詰めているだけだった。

「あなたの責任じゃないわよ……春希君」

 そしてその向かいのソファーに座っていた女性、冬馬曜子——今の春希の義母——は、思い掛けない形での五年ぶりの再会の場で、それこそ母親の眼差しと声で春希を優しく包み込んだ。

「でも、でも俺、あいつを、かずさを……」
「だからそれは、あなたの責任じゃない。あの子の自己責任よ」
「それだって、全部俺が背負うものだったのに。あいつの全てを守るはずだったのに」
「……そのことで、あの子はあなたに恨み言をぶつけた?」

 ハッとしたかのように春希は顔を上げた。曜子の顔は娘を失った母親とは思えない程に穏やかだった。

『かずさ、しっかりしろ!』
『春希……情けない顔、するな』
『でもお前、このままじゃあ』
『何を勘違いしてるかは……知らないが、あたしは……幸せだったよ』
『過去形かよ!俺たちまだこれからじゃないのかよ!?』
『春希……ありがとうな』
『止めろ!そんな言葉、お前から聞きたくない!』
『……』
『……かずさ?』
『……あ、あ……』
『かずさぁ!』

「あなたが何もかも捨てて自分の側にいてくれたんだもの。あの子は幸せだったと思うわ、きっと」
「でも、俺はかずさを守れなかった。あいつを今以上に幸せにできなかった。
 あいつが本当に幸せになる道を、永遠に閉ざしてしまった……」

 向かい合ったソファーの間に置かれたテーブルの上、かずさの死が掲載された新聞が開かれている。既に日本でもこのことは公にされているのかと、春希の心は更なる重しに圧し掛かられた。

「でもありがとう。わたしはもうこんな身体だから、あなたがかずさの遺骨や遺品を持って来てくれて、正直感謝してる」
「……本当に、ごめんなさい」
「いいのよ。あの子だってきっと後悔はしていない。
 むしろ、あなたに辛い思いをさせてしまってごめんなさい」
0006名無しさんだよもん2016/01/14(木) 14:25:24.44ID:cQNq3+CU0
「脳のここの部分に腫瘍がありますね。最近、頭痛を感じた事は?」

「いいえ…」

 春希はそう答えた。しかし、実のところ慣れない異国での激務で身体に不調を感じることは頻繁であったので、最後に頭痛に襲われたのはいつかなど覚えてはいなかった。

「浸潤が激しく、悪性である疑いが高いです。摘出手術が困難な箇所ですが…化学療法や放射線治療もあります。希望を持って治療を続けて下さい…」

「はい…」

 誰にも相談できない。特にかずさには…

◆◆ 

「ただいま」

「遅いぞ、春希」
 玄関のドアが開き、片付けのできないかずさの待っていた家からはカビと生乾きの洗濯物の匂いがした。

「誰の尻拭いで遅くなったと思っているんだ?」
「あたしの尻を追っかけるしつこい記者を追い払うのも春希の仕事だろう?」

 気怠い身体を引きずって帰って来ても玄関で待つのは憎まれ口。そんな生活を今まで続けてきた。

 医者から言われた事が頭の中で泥色の渦をまく。何も考えたくない。休みたい。
「今日は疲れたよ。明日も早いしもう…」

 しかし、そんなささやかな望みさえ、我が侭放題に育てられた愚妻は許してくれない。
「3日も待ったんだぞ」

 かずさがナメクジのように腕をからめてくる。胃の底に生ぬるい鉛を流し込まれたような気分だ。

 眠い。この腕を払って眠ることができればどんなにか楽だろう。

 ベッドを一つにするんじゃなかった…
 逃げ道など最初からない。首筋に湿った唇が押しあてられる。
 鈍い悪寒が背筋をこわばらせた。

 流しには腐臭をまとわりつかせた食器が積み上がっていた。
 明日になればさらに耐えがたい臭いを放つだろう。

 玄関でしっかりと靴を拭わずに部屋に入ってくれるものだから部屋が砂ぼこりくさくなる。
 脱ぎ捨てられた服や空のワインボトルが床に散らばっているのなんてもうご愛嬌だ。

 子供がいなくて良かったと心底思った。

 吐き気をこらえつつ洗ってあるものと思しきグラスを一つ取り水でよくすすいだ上で、冷蔵庫から炭酸水のボトルを取り、注いで飲む。
 まずい
 だが、苦味すら感じるほどの硬度の水道水より遥かにマシだった。

 紅茶でも沸かそうかと電気ポットを見て舌打ちする。
 ものぐさなことに、電気ポットに直接紅茶の葉をぶち込んで、飲み終わってそのまま放置していたのだろう。
 電気ポットの中には2日前の紅茶の葉が黒っぽいカビと共に鎮座していた。

「何をしてるんだ? 早くしろよ」
 急かすかずさを無視してゴミバケツにカビだらけの紅茶の葉をぶち込んだ。

 居間のテーブルの上には固まった極彩色の脂を浮かべたカップラーメンの容器が整列している。
 もう嗅覚は麻痺していたが、まとわりつく不快感はどうにもならない。

 居間から逃げるように寝室に入り、こぼれたワインのシミのついたベッドに手をついた。
0007名無しさんだよもん2016/01/14(木) 14:26:08.03ID:cQNq3+CU0
かずさ派は自分の悪行忘れることに定評ある食糞駄犬だから、忘れないよう再貼りしておいてやんよ

330 名無しさんだよもん sage 2015/07/29(水) 09:29:32.10 ID:tFeStDMd0
コピペ野郎から必死に逃げようと無理に話題振ってお前らかなり痛いというかわざとらしいなw
その努力は感服ものだよ…
まあそろそろここで全ての思惑を伝えよう

331 名無しさんだよもん sage 2015/07/29(水) 09:38:26.28 ID:tFeStDMd0
SSをコピペしまくったのは俺だよでもそれはいつまでたっても糞SS野郎がSS投下を止めないから
このスレじゃなくて本スレや雪菜スレも荒らせば糞SS野郎もSSの投下を止めると思ったからだ
実際のところ糞SSの投下は無くなっただろ
ほかにも愉快犯がいたみたいだけど7割くらいは俺だよ
素直にかずさファンには謝罪をしておくよ悪かった

332 名無しさんだよもん sage 2015/07/29(水) 09:47:02.26 ID:tFeStDMd0
雪菜スレを荒らしたのはあちらの住民には悪いがSS投下を止めさせる意図もあった
でも純粋に雪菜が大嫌いなのもあったから
そうまさに一石二鳥作戦だったんだよ雪菜ファンには申し訳ないが人柱だな
俺もかずさファンだし糞SS野郎がいつまでも駄文を投下してスレ妨害するのが我慢ならなかった
0008名無しさんだよもん2016/01/14(木) 14:26:58.74ID:cQNq3+CU0
春希 「驚いたなぁ。かずさにそんな人がいたなんて」
曜子 「…あまり動揺してくれないのね」
かずさ 「こういう男だ。春希は」
春希 「いやいや。驚いていますよ。あんなに曜子さんに仕事漬けにされていた上に、俺たちと会ったときもそんな浮いた様子一つもありませんでしたから」
かずさ 「そんなの隠していたに決まってるじゃないか」
春希 「そりゃ、自分みたいなマスコミの記者に話すなんて日本全国に広めてくださいって言っているみたいなものだしな。
   でも、祝福してくれる人もたくさんいると思うぞ。俺もそうだし」
かずさ 「そういう意味じゃない。ったく」
春希「?」
曜子 「…まあ、いいわ。ともかく、かずさが選んだ事だし。私みたいな趣味の悪い女がとやかく言える話じゃないわね」
春希 「それで、相手の人ってどんな人なんですか?」
かずさ 「橋本健二さん」
春希 「え、えと。どんな人かって質問なんだけど」
かずさ 「な!? お前はアホか?
   なんで今を時めく若手ナンバーワンピアニストの健二さんを知らないんだ? 仮にも記者のはしっくれだろ? お前は!」
春希 「え、えーと。かずさに比べて特徴ない人だから…」
曜子 「おやおや。女王杯始め数々の賞を取った身長2m弱の巨漢の化け物ピアニストが『特徴ない』なんて、まぁ。
   ま、胸の大きさなら私の娘も十分化け物級だけど」
かずさ 「健二さんを化け物呼ばわりするな。あの人はああ見えてそういうのすごく気にする人なんだ」
春希 「はは。無知ですいません」
曜子 「ま、ギター君はできないと自分で決めちゃった線からは本当に努力しないコだもんね。
   ギターの腕にせよ、クラシック知識にせよ」
春希 「…返す言葉もありません」
かずさ 「ふん」
曜子 「ま、人間手の届かない才能目差した努力はしない方がいいわよ。
   幸せにできるのはその手の届く人だけ。好きなだけ崇拝してるだけでは、2、3年は良くても結局5年10年はうまくいかないものよ」
かずさ 「ふん。とっかえひっかえした経験者の言葉かい?」
曜子 「ええ。だから、橋本さんとの縁は本当に歓迎しているわ。
   あなたのような、ピアノだけのちょっといびつに育ってしまった娘を、その才能を、崇拝でもなく知識としてでもなく、同じ才能を持ち共に歩んで行ける存在として受け止めてくれる人と出会えたんだから」
かずさ 「ふふん♪」
春希 「良かったですね」
曜子 「おや? あなたの『良かった』は『フった女が幸せに収まりそうで良かった』の意味じゃなくて?」
春希 「ぐ…」
かずさ 「ちょっと! 母さん! それはやめろよ!」
曜子 「あらあら。ギター君、わかりやすい表情。ひょっとしてかずさがこの先独身だったらどうしようとか気に病んでくれてた?」
春希「……」
かずさ 「フフン。残念だったな」
春希 「い、いえ。…そ、そういえば、お二人の馴れ初めなど聞かせていただけると…」
曜子 「かずさの方からよ。もう、猛烈アタック。そうしなきゃダメって経験が生きたわね」
かずさ 「(赤面)ちょっと! 母さん!」
春希 「はは…普段のかずささんからはなんだか想像できませんね」
曜子 「冬馬家の女の性欲なめんな。男ナシで20代の盛りを乗り切れるワケないでしょ」
春希 「……」
かずさ 「…あんたの血を受け継いでこれほど後悔した日はないな」
曜子 「ま、そういうワケで。明日の記者会見までは口外禁止でね」
春希 「いえいえ。ありがとうございました」
曜子 「じゃ、またね」
かずさ 「またな、春希。…あ、そうだ。もうひとつだけ教えてやる。耳を貸せ。春希」
春希 「なんだい? かずさ」
かずさ 「(ゴニョゴニョ)」
春希 「…(がくっ)…そりゃ、向こうは身長2mで…(ぶつぶつ)」
かずさ 「じゃあな。春希」


曜子 「さっきギター君に何吹き込んだの? カレ、心へし折られたような表情してたわよ」
かずさ 「…いや、健二さんの方が大きくて固かったって」
曜子 「…えげつない子ね。さすが私の娘ね」
かずさ 「いや、自分でもえげつないと思うけど、あたしやっぱり母さんの娘だよ」
0009名無しさんだよもん2016/01/14(木) 14:27:31.84ID:cQNq3+CU0
・取材後

春希「……」
麻理「ふむ。まあ、固くなるな。もう上司でも部下でもないのだからな。
 事情は曜子社長から聞いた。私はお前が選んだ道を肯定したり否定するつもりはない」
春希「…ありがとうございます」
麻理「だが、お手並みは最悪だ」
春希「!?」
麻理「北原、お前は冬馬かずさを助けたいのか?」
春希「な!? 助けたいに決まっています」
麻理「助けたいがために開桜社にも何も語らなかった。そうか?」
春希「はい…」
麻理「全く、これほど先の見えてない男だとは思ってなかったな」
春希「!?」
麻理「確かに、一時のマスコミの興味本位の報道から免れることはできたな。そのために自らの退社理由を隠し、冬馬かずさが日本を去ることもひた隠しにし続けた」
春希「はい…」
麻理「どうなったと思う?」
春希「ご迷惑おかけしました…」
麻理「…全くわかってないようだから説明しておこう。お前たちの出国から一週間足らずで冬馬かずさがお前と共にウィーンにいることが知れた。
 すぐに事の次第も明らかになった。
 大変だったよ。
 浜田やアンサンブル編集長は矢面に立たされたし、冬馬曜子オフィスと我が社の関係は最悪になった」
春希「そ、それは…」
麻理「新人一人やめた程度と思ったか? 残念ながらお前はただの新人どころかかなりの有望株だった。だから期待もコストもかけていた。
 例えすただの新人でも取り引き相手からの無断引き抜きなんて言語道断の掟破りだ。
 日本から静かに去るために誤情報流すのもな。日本での活動を支援するために方々回っていたアンサンブル編集長がどんな目に遭ったか想像できるか?」
春希「す、すいません…」
麻理「日本から去るから開桜社にはいくら迷惑かけても良いとでも思ったか? 残念ながら、この狭い世界、ましてや狭すぎるクラシック界ではな、お前のやったことは恥知らずの所行にしか過ぎない」
春希「しかし、自分はかずさを…」
麻理「守りたかった。それはわかる。しかし、冬馬かずさをピアニストとして活動させる為には最悪だったと言わざるを得ない。
 迷惑は巡り巡って自分の所に降りかかるものだ。アンサンブルが社内から槍玉に挙げられ、これを機にと社内のメセナ活動でアンサンブルの持ってた枠を奪う動きが起きた。そんなドタバタは社外にも伝わった」
春希「……」
麻理「最初の一年半、全く仕事取れなかっただろ? お前の語学力とかの問題じゃないぞ。英語もできるんだし」
春希「な、何かあったんですか?」
麻理「冬馬曜子オフィスは味方も敵も多かった。そんな中、ウィーンで有力なある日本人が『冬馬かずさを使うのは避けたい』と言った。開桜社とのトラブルを避けたいがために。たったそれだけの事だ」
春希「え?」
麻理「企業同士のトラブルなんて『もう仲直りしましたよ』ということを知らしめるのが一番難しいんだぞ。
 まして、お前たちが日本の仕事避けまくってるから尚更だ」
春希「そ、そんな…」
麻理「あの狭い業界、仲違いしても結局すぐ仲直りしないといけないし、人と仲違いしたらそれ以外の人間から避けられまくるから気をつけろ」
春希「はい…」
麻理「ウィーンの件の人物も悪い人じゃない。甘いもの好きだから、金沢『やまむら』の甘納豆でも買って持って行け」
春希「何から何まで…ありがとうございます」
麻理「本来、新人が取り引き相手に引き抜かれたといっても、双方了解済みの話なら歓迎しても良いくらいの話なんだぞ。新たな方面へのパイプとして期待できるわけなんだからな。
 了解の有無で婿入りと駆け落ちくらいの雲泥の差がある」
春希「そ、そうは言われてましても…」
麻理「まあ、お前の場合はこれからだ。悪いが、期待かけていた分まで働いてもらう。ビジネス相手としてな。
 お前は私が育てあげた男だ。逃げられると思うなよ」
春希「…楽しそうですね。麻理さん」
麻理「当たり前だ。曜子社長の粘り強さのおかげでやっと社の関係も戻り、お前とこうして会えるようになったからな。
 グラフも『ブラックだから人が逃げた』とあらぬ誹りを受けている。しっかり拭ってもらわないとな」
春希「(十分ブラックですよ…)」
麻理「これからもよろしくな。北原」
0010名無しさんだよもん2016/01/14(木) 14:30:11.05ID:cQNq3+CU0
・意地の悪い指揮者と商談中

指揮者「ふむ。それはいいがミスター北原、私の問いには答えてくれていないようだが?」
春希「あ、はい。その件については…自分には少し専門的すぎてお答えしかねます」
指揮者「ほう。素晴らしい。私は冬馬かずさのマネージャーと話をする予定だったのだが、どうやら間違えてコメディアンと話し込んでしまったようだ。すまないがマネージャーを呼んできてくれるかい?」
春希「…フランツさん。私が冬馬かずさのマネージャーです」
指揮者「なんと!? いやはや。コメディアン呼ばわりしてすまなかったな。君はコメディアンよりずっと愉快だよ。
 しかし、冬馬曜子オフィスがうらやましいな。音楽家崩れの未成年も雇わず、君のような素晴らしくユーモア溢れる人材を抜擢する余裕があるなんてね」
春希「あの、フランツさん。仕事の話を進めませんか?」
指揮者「残念ながら君と話してるほど長い休暇は取れそうもない。冬馬かずさに来てもらえるかな?」
春希「残念ですが、かずさと直接の交渉はお断りしております。特にあなたのような方とはゴメンだと、かずさからも言われております」
指揮者「そうか。全く、冬馬かずさも幸運な女性だな」
春希「何か?」
指揮者「君という男を選んだばかりに母親のようなピアニストにならずに済んだのだからね」
春希「…それはどういう意味ですか!?」
指揮者「なに。親子で好みが違う事は珍しくない。冬馬曜子は自分を頂点に導く男を好むが、冬馬かずさはその性癖を受け継がなかっただけだろう」
春希「…あなたとはこれ以上話にならないようですね。失礼します」
指揮者「君は君の幸運さを知った方がいい。頂点に立ちたいと思わないピアニストにとって君は最適のパートナーだよ」
春希「くっ…」
0011名無しさんだよもん2016/01/14(木) 14:32:45.20ID:cQNq3+CU0
春希 「驚いたなぁ。かずさにそんな人がいたなんて」
曜子 「…あまり動揺してくれないのね」
かずさ 「こういう男だ。春希は」
春希 「いやいや。驚いていますよ。あんなに曜子さんに仕事漬けにされていた上に、俺たちと会ったときもそんな浮いた様子一つもありませんでしたから」
かずさ 「そんなの隠していたに決まってるじゃないか」
春希 「そりゃ、自分みたいなマスコミの記者に話すなんて日本全国に広めてくださいって言っているみたいなものだしな。
   でも、祝福してくれる人もたくさんいると思うぞ。俺もそうだし」
かずさ 「そういう意味じゃない。ったく」
春希「?」
曜子 「…まあ、いいわ。ともかく、かずさが選んだ事だし。私みたいな趣味の悪い女がとやかく言える話じゃないわね」
春希 「それで、相手の人ってどんな人なんですか?」
かずさ 「橋本健二さん」
春希 「え、えと。どんな人かって質問なんだけど」
かずさ 「な!? お前はアホか?
   なんで今を時めく若手ナンバーワンピアニストの健二さんを知らないんだ? 仮にも記者のはしっくれだろ? お前は!」
春希 「え、えーと。かずさに比べて特徴ない人だから…」
曜子 「おやおや。女王杯始め数々の賞を取った身長2m弱の巨漢の化け物ピアニストが『特徴ない』なんて、まぁ。
   ま、胸の大きさなら私の娘も十分化け物級だけど」
かずさ 「健二さんを化け物呼ばわりするな。あの人はああ見えてそういうのすごく気にする人なんだ」
春希 「はは。無知ですいません」
曜子 「ま、ギター君はできないと自分で決めちゃった線からは本当に努力しないコだもんね。
   ギターの腕にせよ、クラシック知識にせよ」
春希 「…返す言葉もありません」
かずさ 「ふん」
曜子 「ま、人間手の届かない才能目差した努力はしない方がいいわよ。
   幸せにできるのはその手の届く人だけ。好きなだけ崇拝してるだけでは、2、3年は良くても結局5年10年はうまくいかないものよ」
かずさ 「ふん。とっかえひっかえした経験者の言葉かい?」
曜子 「ええ。だから、橋本さんとの縁は本当に歓迎しているわ。
   あなたのような、ピアノだけのちょっといびつに育ってしまった娘を、その才能を、崇拝でもなく知識としてでもなく、同じ才能を持ち共に歩んで行ける存在として受け止めてくれる人と出会えたんだから」
かずさ 「ふふん♪」
春希 「良かったですね」
曜子 「おや? あなたの『良かった』は『フった女が幸せに収まりそうで良かった』の意味じゃなくて?」
春希 「ぐ…」
かずさ 「ちょっと! 母さん! それはやめろよ!」
曜子 「あらあら。ギター君、わかりやすい表情。ひょっとしてかずさがこの先独身だったらどうしようとか気に病んでくれてた?」
春希「……」
かずさ 「フフン。残念だったな」
春希 「い、いえ。…そ、そういえば、お二人の馴れ初めなど聞かせていただけると…」
曜子 「かずさの方からよ。もう、猛烈アタック。そうしなきゃダメって経験が生きたわね」
かずさ 「(赤面)ちょっと! 母さん!」
春希 「はは…普段のかずささんからはなんだか想像できませんね」
曜子 「冬馬家の女の性欲なめんな。男ナシで20代の盛りを乗り切れるワケないでしょ」
春希 「……」
かずさ 「…あんたの血を受け継いでこれほど後悔した日はないな」
曜子 「ま、そういうワケで。明日の記者会見までは口外禁止でね」
春希 「いえいえ。ありがとうございました」
曜子 「じゃ、またね」
かずさ 「またな、春希。…あ、そうだ。もうひとつだけ教えてやる。耳を貸せ。春希」
春希 「なんだい? かずさ」
かずさ 「(ゴニョゴニョ)」
春希 「…(がくっ)…そりゃ、向こうは身長2mで…(ぶつぶつ)」
かずさ 「じゃあな。春希」


曜子 「さっきギター君に何吹き込んだの? カレ、心へし折られたような表情してたわよ」
かずさ 「…いや、健二さんの方が大きくて固かったって」
曜子 「…えげつない子ね。さすが私の娘ね」
かずさ 「いや、自分でもえげつないと思うけど、あたしやっぱり母さんの娘だよ」
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