ヨコオ氏:
 僕はデザインされていない部分に価値を見出すので。クリエイターは神様じゃない,という考え方と同じです。
これはブログでもいろいろと書いたんですが,「ドラクエV」って結婚する相手を選べるじゃないですか。
僕はストーリーライン的に,一番本命っぽいビアンカと結婚するのかなぁと思っていたんです。そしたら,
町の人が「フローラかわいい」とか言ってて。……ということは,ビアンカはかわいくないのかなって。

4Gamer:
 えっ?

ヨコオ氏:
 フローラはかわいいけど,言動が好きじゃなかったんです。でもビアンカはかわいくないらしい。
デボラはそもそも好きじゃない。そこで辿り着いた結論は「誰も選びたくない」でした。
僕の「ドラクエV」は,そこで終わったんです。

4Gamer:
 ヨコオさん……あんたやっぱり破滅に向かって突き進む運命だよ!

ヨコオ氏:
 違うんです,聞いて下さい(笑)。そうして僕の中で「ドラクエV」は,結婚もせずにキラーパンサーを連れて
延々と放浪する男の物語になったんですよ。ゲームというものは「ここで終わろう」と思えばそこで終われる。
人によってデザインされていない部分に価値を見出だせる,珍しいメディアだと思うんです。

4Gamer:
 では,ここまでの話を踏まえたうえで……最新作である「DOD3」は,ヨコオさんが考える“ゲーム”の答えにはなったのでしょうか?