社会に出ることを恐れているきみは、ただ金を貰うだけの仕事など望んでいないだろう。
「仕事の成功者はずるい汚い奴ばかりなんだ」
「仕事にうつつを抜かす奴らは『人生とは何か』を真剣に考えないアホばかりなんだ」
「知性のカケラもない職場は嫌だ。下品な職場も嫌だ」
「顧客にペコペコする仕事も嫌だ」
「ワンマン社長がふんぞり返っている職場も嫌だ」
あれも嫌だ、これも嫌だ、
と自分の“適性”をきわめて狭く絞って、そのハードルをことごとくクリアするような仕事を望んでいる。
しかも、きみはさらに生きがいのある仕事、つまり自己実現できる仕事を望んでいるのだ。
そして、来る日も来る日も「ない! ない!」とため息をつき、呻き声をあげているのだ。
きみはみずからの欲求に耳をふさぐのではなく、逆にその声からわずかなヒントでも見出して、
何をすべきかを徹底的に考えなければならない。
きみのような人間は、たとえ不幸になっても、「身の程を知らない」生き方を熱心に探究すべきだと思う。
たとえ、きみが不幸に陥り家族など周囲の者を不幸に落し入れることになろうとも、その生き方を貫くよりほか仕方ないと思う。
じっくりこの難しい道を探らねばならない。それ以外の道はない。
きみは、かなりの蓋然性をもって成功しないだろう。
しかし、それもまた豊かな人生になり得るんだ。
きみは自殺しないで生きている。
そして、運よく40歳、50歳まで生き延びることができれば、
きみは知らないうちに数々の宝を手にしていると思うよ。