1. 当地人
・中国語:「当地人」は古典から使われる語で、少なくとも中華古典(漢代以降)に「その地域の住民」を指す言葉として定着しています。
・韓国語:韓国語では使われず、「현지인(現地人)」が普通。
・日本語:日本語では使われず、「地元民」、「現地の人」が一般的。
2. 必然性(「必要性」の意味での使用)
・中国語:「必然性(biranxing)」は古代から論理的必然性を指す語として存在し、現代でも使われますが、文脈によっては「必要性」に近い意味としても使われることがあります。
・韓国語:「필연성」(必然性)および「필요성」(必要性)は19〜20世紀に漢字語として導入され、区別され定着しています。
・日本語:「必要性」は古くから使われる一般語。「必然性」は文学・哲学文脈で使用され、必要性の意味で語義が混用されるのは誤用とされます。
3. 日華事変
・戦時中の日本政府:「支那事変」(宣戦布告を避けたため)
・戦後すぐの日本:「日華事変」(GHQの検閲と中国への配慮)
・今の日本(学術や教科書):「日中戦争」(学術的で中立)
・中国本土(中共):「抗日戦争」(抗日・愛国の意味を強調)
・台湾・一部中国語圏:「中日戦争」(学術的で中立)、日清戦争との区別のため「第二次中日戦争」とも。
4. 心の安寧を得る
・中国語:「安寧」は『史記』など紀元前の文献にも登場する古典語です。時代を経て現代中国語でも「平穏である」意味で存続しています。
・韓国語:「安寧(안녕、アンニョン)」として古くから使われ、日常語として定着(例:「안녕하십니까、アンニョンハシムニカ」)。
・日本語:「安寧」は奈良時代〜平安時代に文献(『続日本紀』715年など)で見られます。現代では文語・書き言葉で「社会の安寧」など限定的に使用されます。
5. (他者を)卑下する
・中国語:「卑下(bēixia)」は古典語として存在し、「自分を卑しくする」意味で使われますが、「貶す」の意味では使用少。
・韓国語:「卑下(비하)」は20世紀以降に導入され、「相手や自分を貶す」の意味として一般化しています。
・日本語:「卑下」は明治〜近代以降に取り入れられ、「自分を低く置く」の意味で使われます。「他者を貶す」の意味での使用は誤用とみなされます。
6. 韓国血脈
・中国語:「血脉(xuemai)」は古くから存在する語で、仏教・医学・文化継承などで「血筋」や「系譜」の意味で使われています。
・韓国語:「혈맥(血脈)」は古典・文学や仏教語彙で使われることがありますが、日常では「혈통(血統)」が主です。
・日本語:「血脈」は古文・文学・仏教語として奈良・平安以降の文献に見られますが、現代では非常に限定的。
7. 公平的
・中国語:「公平的(gōngping de)」は比較的近代(20世紀)以降、社会・法務・政治文脈で一般化した語彙です。
・韓国語:「공평적(公平的)」は漢語直訳語として存在しますが、「공정한(公正な)」が主流。
・日本語:「公平的」は翻訳文や文章語に近い形で使われることも稀にありますが、会話や自然文では「公平な」「公平に」が主流。
8. 物理的な道理
・中国語:「物理道理」または「物理的道理」は、近代以降、科学や哲学文脈で自然な表現として成立しています。
特に「道理」は古典から現代まで一貫して「物事の本質的な理(principle)」を含意し、物理現象の説明にも使われます。
・韓国語:「물리적 도리(物理的道理)」はやや硬い印象ながら成立する語で、儒教哲学での「도리(道理)」が自然法則や正しい理としても機能するため、
文語・抽象的文脈では使われますが、日常では「물리 법칙(物理法則)」や「원리(原理)」の方が一般的です。
・日本語:「物理的な道理」という表現は、日本語では非常に珍しく、通常の自然科学文脈では「物理法則」「自然法則」「原理」が使われます。
「道理」は主に倫理的・常識的な筋道を指すため、物理現象の客観的記述には不自然に響きます。
◉日本語における使用頻度まとめ
当地人 使われない
必然性(必要性の意味で) 誤用
日華事変 低い
安寧 低い
卑下(他人を貶すの意味で) 誤用
血脈 非常に低い
公平的 低い
物理的な道理 使われない