「でも、普段お酒は飲めないの?」
「大学の頃はもっぱらハイボールでしたね。」
そして彼女は、ポツポツと自分の身の上を語り出した。
大学時代は学園祭の実行委員として駆けずり回ってたこと。大学生の意識調査の研究発表を見ていた人に誘われて、エミー賞の視聴者レポーターに抜擢されたこと。そこからアナウンサーという職業を意識し出したこと。
私は大人しそうに見える彼女の行動力を垣間見た気がした。
「アナウンサーって、舞台できらきら輝くミスやミスターがなるものと思っていたから、その舞台裏にいた自分がなれるなんて、思わなかった。」
「すごいよ、それこそシンデレラストーリーじゃない。こういう人こそ、アナウンサーになるべきなのよ!」鼻息が荒くなった私に、彼女は淡々と話した。
「私はシンデレラへの階段を昇っていった。でも、シンデレラにはなれなかった。」
私は彼女の言葉を理解できなかった。理解する前に酔いが回り、いつしかテーブルに突っ伏して寝ていたようだ。