遠くで雷鳴が響いている。テーブルを挟んで、向かい合う私と彼女。いつものように澄んだ眼差しで私を見ている彼女と、その彼女を見つめるの私。どちらから話すでもなく、ただ黙っている。
目を瞬いて、私の方から口火を切る。
「新美さん、あなたのパズル、解いたわ。今日は一体、何の用事?」自分でも冷たく言い放つ私。
「るりさん、この頃どうされたんですか?いつも以上にハシャぐ日もあれば、廊下の壁に寄っかかったままの時も。いつものるりさんらしくないです。」
彼女にはすべてお見通しだった。
「駅の公園で二人で話した時から、私が本気で結婚を考えている人のことを話してから、私を避けるようになって。」
彼女の目から涙が溢れる。私の心の中からも、思いが溢れようとしていた。
「もしかして・・・あの、その、るりさん、私を、私のことを・・・」
「そうよ!私はあなたのことが、新美さんのことが、好きよ、大好きなの!」
ついに、思いを告げてしまった。
「初めて会った時から、私は一目惚れしたの。それがなぜなのか、よくわからない。最初は単に美しいから、キレイだから、ただそれだけだったかもしれない。」
私も次第に涙が頬を伝わってきた。
「そのうち、みんなに気を使い、率先してアイデアを出したり行動したり。私はそんなあなたに、大人の女性の姿を見たの。」
もう、互いに涙で顔がグシャグシャになっていた。
「私は、普通の女の子が普通の女性になる過程も経験を捨ててこの世界に入ったから、子どものままスレてしまったの。だけどあなたは、そんな私を、普通の、学校に通っていた時の友達のように接してくれて。」
涙を拭う彼女。流れるまま、さらに堰を切ったように話す私。
「だから、あなたから好きな人が出来ましたと告白された時、素直に「良かったね。頑張ってね。」って、言えれば・・・良かった
・・・けど、そう言うには、あなたを好き過ぎてしまったの。」
もう、歯止めが利かなくなっていた。
「ただ好きなだけじゃない。あなたにキスをしたい、唇だけじゃなく、あなたの至る所を、ずっと、ずっと愛したい。そして、あなたを彼から奪いたい。それほどあなたが好きなの。もう、私は止められない。」
・・・何か、すべてが終わったような。でも、心の叫びをすべて口に出した開放感。
「私、るりさんに見せたいものがあります。」いつもの大きな肩下げバッグとは違う、黒革のハンドバッグから、手帳とビニールのパックを取り出した。
「そのパック・・・。」私は戸棚から、以前部屋に落ちていた、薬のパックを持ってきた。「もしかして、これと同じもの?」一瞬彼女の顔が引きつっていた。「私、るりさんのところに落としていたの・・・。」