>>76
「えー、私の背景にあるものを、この自撮りカメラを使って、説明いたします。」
リモート日の新美ちゃんが、私にリモート部屋を説明してくれる。
「私は着道楽なので、人に一通り貸せるくらいの衣装など一式を、予め何パターンも用意してます。お気に入りはこのモスグリーンのワンピースとその一式。これ着てる時は、勝負してると思って下さい(笑)」
新美ちゃん、この頃番組など取り上げたものを色々と試すのが好きなようで、最近は自撮りカメラがすっかりお気に入り。
「ねえ、そのそばにあるベットは、旦那さんとのダブル?」
「えっ、こ、これは・・・。」
「そこで「有加を一杯愛して」「有加、愛してるよ。」とか言ってるでしょ。妬けるねえ。」
「もう、ふざけないで陽子ちゃん!」
顔を赤くして怒り出す新美ちゃん(笑)

一通り説明し終えて、モニターに向かい合う。この頃付箋紙でしか会っていない、まなちゃんの話になる。
「愛海ちゃんは「真っ直ぐ」だから、突然今までと違うやり方でやらなきゃいけないことに対して、拒否反応を示してるんだと思う。そうしないと命にもかかわるという状況なのは、頭で理解してるんだろうけどね。」
こう冷静に分析してくれる新美ちゃん。
「でも、普段から少しずつ生活は変わってきて、それに順応してるじゃない。例えば普通の電話がケータイを経て、今やスマホがパソコンの代わりにまでなって。だけどそのスマホを、愛海ちゃんは普通に使ってるよね。」
そういえば、私も何かというとスマホを使うのが当たり前になってる。
「みんな急激な変化を強いられ、戸惑っている。特に東京五輪・パラリンピックが延期になって、愛海ちゃんはとても辛いと思う。
その彼女の辛さを受け止めてあげられるのは、大学時代からの付き合いの長い陽子ちゃんよ。あなたなら、しっかりと受け止められる。」
えっそうなのかな。何か照れるな(笑)
「私が色々と辛かった時期も、何かと話を聞いてくれてたじゃない。聞くだけだったけど(笑)でも、それが一番大切なのよ。」
何だか大事な同期から、ヒントを授けられたような気がした。