今日は思ったより早く仕事が終わった。急いで帰宅し、着替えもそこそこに、ワインとチーズを用意して、パソコンを起動する。
まだ7時までには時間があるなあ、それまでちょっとワインの味見でもと思っていたら、モニターには、もうまなちゃんがスタンバっていた。
「お待ちしてましたよ。はい、遅れちゃったけど、はいプレゼント。」
モニターに映ったまなちゃんの目の前には、ローソクとイチゴの乗ったショートケーキが置かれていた。
「まなちゃん、お互いの誕生日は7月でしょ、まだ早いわよ。」
「ふふふ、フィギュア班に配属おめでとう!」
「え?」
そして、一本だけ刺された小さいローソクに灯された火を、まなちゃんは自分でフッと消してみた。
「こっそり見たんだ、就活の時のヨーちゃんのエントリーシート。フジに入ったらフィギュアスケートを担当したいって。でも自分が踊ってる姿を描いて、何か勘違いしてないかと(爆)」
「何でそれ見たのよぉ、あのエントリーシート、面接で三宅さんに笑われたんだよ、うちはスケート連盟じゃないって(苦笑)」
「平昌五輪の時、私はスポーツから縁遠いと思ってたから、何もかも知らなかった、もちろんフィギュアも。羽生結弦選手は知ってたけど、彼の背景を知らなかった。それを教えてくれて、ありがとう。」
「いや、あの話はほとんど三田さんの請け売りよ(笑)三田さんがフィギュアのファンから色々言われて、それでもコツコツ勉強して努力して。その姿を見て、私はただの憧れに過ぎなかったんだなって。」
そのことを思い出すと、やっぱり涙目になってしまう。私はやりたいことがやれずに、報道や競馬やバラエティに回され、どんどんやりたいことから遠くなっていって、焦っていた時期だった。
「まなちゃんが平昌で活躍してるのに、私は競馬があるから、会場へ行けず、ビデオで繰り返し何度も見て。まなちゃんがどんどん遠くなって、とてもつらかった。
でも、一緒にまなちゃんとめざましやってた頃からわかってた。私が戦うのはまなちゃんじゃない、自分自身なんだって。そう思ったら、どんな仕事もやる気が出てきたの。」