-----
やよいって、好きなことを語り出したら何もかも忘れて突っ走れるのよね。
みゆきちゃんもどうやら似たタイプの子みたいね。
星空さんは…あ、目が合ったわ。
ちょっと呆れるように肩をすくめて笑ってる。
私も同意するように顔を作って頷いておこう。
「ねえ、みゆき、やよいちゃん、このショッピングモールにはいろいろ店があるから
見て回りながらもっと話に盛り上がったら?私たちはここで待ってるから」
「そうしようか」
「そうだね」
「じゃあ行ってくる!」
やよいたちは行ってしまった。本当に楽しそう。
「まさに話のドッジボールですね」
星空さんがそう言った。
「楽しそうだからいいんじゃないかと思います」
私がそう返したら返事はこうだった。
「そうね、女の子同士の話って大体そういうものよね」
あれ、敬語じゃない…本当に自然に近づいてくる人だわ。やっぱりみゆきちゃんのお母さん。
「ホントそうね」
「じゃあ、私たちも女の子同士の会話で盛り上がらない?」
「どういうこと?」
「黄瀬さんって、ご主人を亡くしているんでしょう?」
「ええ」
「ということは、男性と付き合ってもおかしいことはないわよね?」
「…まあ、そういうことになるのかな」
「いい人とかいないの?」
私は黙って首を横に振る。
「私はいまでも亡くなった夫の勇一が好きなので…新しい父親や兄弟姉妹ができたとして
やよいと上手く行くとは限らないし…だから私はこれからも勇一の妻でいたいと思っているの」
「純愛ね…いい話だわ。勇一さんってどんな方だったの?」
「見た目も性格も男性的な人だった。でも荒々しさみたいなものはなくて優しくて…護ってくれる人だった。
そんな印象がいまでも残っているわ」
「素敵な人だったのね…純愛になるのもわかる気がする。男性的と優しさって兼ね備えている
男の人はなかなかいないものね」
「星空さんはどうなの? ご主人とは上手くやっているの? お名前は何と仰るの?」
「名前は博司。博士の博(はく)に司(つかさ)と書いて博司。博だけでも『ひろし』なのに
なぜ司をつけたのかはわからないけど」
「どんな方なの?」
「うん…ちょっと頼りないけどいい人、というところかしらね。見かけも結構若く見える方だと思うし、
結婚生活に不満はないわ。みゆきも今のところいい子に育ってくれているし」
夜の生活についてはどうなの…なんて、訊けないわよね、さすがに…
しかし、なんて言うか、ちゃんと家庭を取り仕切っている主婦の余裕と貫禄みたいなものを感じるな…
-----
ではまた約1週間後に。